韓国のホワイト国除外、正式決定の話

本日2日午前の閣議にて、日本のホワイト国リストから韓国を正式に除外する政令改正が決定しました。
実際にホワイト国から外れるのは今月28日からになる予定です。


韓国では午後2時に臨時の緊急閣議が招集され、その冒頭でムンさんが 「全責任は日本ある」 というよく分からない発言をされています。
よく分からないのですが、スルーをすると後々メンドー臭いことになりそうです。

少し長いですが、全文和訳で引用します。
※和訳は私が勝手に訳したものですのでニュアンスが多少違う可能性があります。大筋は合っているはずです。ソース記事はこちらからどうぞ。


第31回臨時閣議を開始します。非常な外交・経済状況に対応するため、緊急に閣議を招集しました。
今日の午前、日本政府は韓国をホワイト国から排除する決定を下しました。
問題解決のための外交努力を拒否し、事態を更に悪化させる非常に無謀な決定に深い遺憾を表します。
外交的解決策を提示し、行き止まりの道を行き、問題解決のために頭を突き合わせた韓国政府の提案を、日本政府は最後まで受け入れませんでした。
一定の期限を定め、現在の状況をこれ以上悪化させずに交渉する時間を持つことを促す米国の提案にも応じていません。
韓国政府と国際社会の外交的解決への努力を無視し、状況を悪化させてきた責任が日本政府にあることが明らかになった以上、これから繰り広げられる事態の責任も全面的に日本政府にあるという点を明確に警告します。
どのような言い訳をしても日本政府の今回の措置は、私たちの最高裁判所の強制徴用判決に対する明白な貿易報復です。また、「強制労働の禁止」と「三権分立に基づく民主主義」という人類の普遍的価値と国際法の大原則に違反する行為です。
日本がG20で強調した自由貿易秩序を自ら否定する行為です。
個人請求権は消滅していないと日本政府自信が明らかにしてきた過去の立場とも矛盾します。
私たちがより深刻に受け入れることは、日本政府の措置が韓国経済を攻撃し、韓国経済の将来の成長を妨げて攻撃するという明確な意図を持っているという事実です。
韓国の最も近い隣人であり、友好国と思っていた日本がそのような措置を取ったことが失望であり、残念です。日本の措置は両国間の長年の経済協力と友好協力関係を毀損するものであり、両国関係の重要な課題です。
また、グローバルサプライチェーンを壊し、世界経済に大きな被害を及ぼす利己的な迷惑行為に国際社会の指弾を免れないでしょう。
日本の措置により、韓国経済は厳しい状況で困難が加わりました。
しかし、韓国が再び日本に負けることはありません。私たちは逆境を乗り越え、今日に至りました。
少なからぬ困難が予想されますが、私たちの企業と国民にはその困難を克服する能力があります。
過去にもそうしてきたように、私たちは逆境をむしろ飛躍する機会とすることになります。
政府も素材・部品の交換輸入先と在庫物量確保、源泉技術の導入、国産化のための技術開発と工場の新・増設、金融支援など企業の被害を最小限に抑えるために出来るだけのサポートを行います。
更に、素材・部品産業の競争力を高め、再び技術覇権に振り回されないことはもちろん、製造業強国の地位をさらに高める契機にします。
政府と企業、大企業と中小企業、노와 사(原文*1まま)そして国民が一緒に力を集めたならば十分に実現することができることです。政府と韓国企業の能力を信じて、自信を持って一緒に団結してくださることを国民に訴えます。
一方で、決して望まなかったことだが、韓国政府は日本の不当な経済報復措置について相応の措置を断固として取っていきます。例え日本が経済大国であっても、韓国経済に被害を意図してもたらすのなら、私たちも対抗することができる方法を持っています。
加害者である日本が居直りではなく、大声をあげる状況を決して座視しません。
日本政府の措置状況に応じて、私たちも段階的に対応措置を強化していきます。既に警告したように、韓国経済を意図的に打撃を与えれば日本でも大きな被害を甘受しなければなりません。
韓国政府は今も対応と対抗の悪循環を望みません。止める手段は唯一つ、日本政府が一方的で不当な措置を一日も早く撤回し、交渉の場に出てくることです。
韓国と日本には、両国間の不幸な過去の歴史に起因する深い傷があります。
しかし両国は長い間、その傷を縫い、薬を塗って包帯を巻き、傷を癒やすよう努力してきました。ところが今になって加害者である日本がむしろ傷口を摘むのなら、国際社会が決して容認しないということを日本は知るべきです。
国民の皆さんにも申し上げます。私たちは、今年の特別3.1独立運動と臨時政府樹立100周年を記念して、新しい未来100年を約束しました。
力で相手を制圧していた秩序は過去の遺物に過ぎません。今日の大韓民国は、過去の大韓民国ではありません。国民の民主力量は世界最高水準であり、経済も比類なく成長しました。いかなる困難も十分に克服する底力を持っています。
すぐには困難があるでしょう。しかし、挑戦に屈した場合、歴史は再び繰り返されます。今の課題をむしろチャンスと思って新たな経済飛躍の契機とするならば、私たちは十分に日本に勝つことができます。
私たちの経済が日本経済を超えることができます。歴史に近道はあっても省略はないということです。


長いですね…。
この演説から何を読み取るかは人それぞれだと思うのですが、私は「中身は空っぽ」という印象を受けました。
ホワイト国除外の報から一月あったにも関わらず、具体的な措置に対しての言及がありません。
国際社会があーだこーだ、米国がどーのこーの…国民が一致団結すれば日本に勝てる………あっそ、みたいな。


いくつか気になった点は太字にしてみました。
順番に見てみます。


問題解決のための外交努力を拒否し

まず、この問題は「ホワイト国除外」に関するものです。
ホワイト国については日本の輸出管理に関する事案なので、日本の国内問題です。
そもそもが外交努力で解決することではありません。
外交努力というのは、日本側から使途について問い合わせがあった時点で韓国側が100%の回答をすることを言います。


米国の提案

ロイター「米政府高官が『紛争中止協定』に合意するよう促している」とが報じたことですね。
個人的に胡散臭いと思っています。米国高官であれば「ホワイト国除外」が紛争に当たらないことは分かっているはずです。
官房長官は即座に「そのような事実はない」と否定していますし、VOAにその手のの記事が一切上がっていません。
VOAは米国議会の一種のプロパガンダメディアですから、米国が本腰入れて仲裁に乗り出すのであれば韓国語ページ(VOAに日本語ページは無い)に関連記事が掲載される可能性が高いです。


韓国政府と国際社会の外交的解決への努力を無視し、状況を悪化させてきた責任が日本政府にあることが明らかになった以上、これから繰り広げられる事態の責任も全面的に日本政府にあると

一番気になったのがこの発言です。
ただの責任転嫁に見えますが、 今後、万が一にも韓国が「第二のIMF事態」に突入した場合、全て日本のせいにするための布石に使える発言です。


国際法の大原則に違反する行為

ものすごいブーメランですね。
そう、国際法に違反しているんです、韓国最高裁判所の判決は。
国際法は国内法の上位に位置するので、国際法で解決済みの徴用工訴訟は国内法で覆すことはできないのです。


自由貿易秩序を自ら否定する行為

この指摘は日本国内からもチラホラ聞こえてきますが、日本は売らないとは一言も言っていません。
「ちゃんと申請書を出して認可を取って下さい」と申し上げています。
なぜそうなったのかは、韓国が日本からの「使途問い合わせ」にちゃんと回答しなかったからです。
「危険物を適切に扱っているか分からないので、ちゃんと確認できてから売ります」と言っています。


個人請求権は消滅していないと日本政府自信が明らかにしてきた過去の立場とも矛盾

個人賠償が消滅していない仕組みについては「外交保護権の放棄」という考え方がコレに当ります。何ら矛盾はありません。

日本政府が韓国人の、韓国政府が日本人の請求には応じない、という取り決めがあるだけで、もし納得できないなら訴えるのは個人の自由として保証されています。
ですが、国際条約で既に決まったことなので問答無用で敗訴になります。

これに納得できないのであれば、条約を締結した自国政府を訴えて賠償請求すれば良いことになります。
ただし、自国政府に勝訴した場合であっても日本政府を訴えることはできません。国際条約は有効だからです。
賠償責任は自国政府にあることになります。


日本政府の措置が韓国経済を攻撃し、韓国経済の将来の成長を妨げて攻撃するという明確な意図
日本の措置により、韓国経済は厳しい状況で困難

自国経済の根幹を日本に握られている、という自白をしてしまっています。
「自分たちは被害者だ」を強調するあまり、とても恥ずかしいことをしているのですが気がついていないのでしょうか。


友好国と思っていた日本

2017年にムンさんは「米国は韓国の同盟国だが日本は同盟国ではない」「軍事同盟に発展させるのが望ましいとは思わない」という発言をされました。
「同盟国ではなくても友好国ではある」と思っていたんでしょうか?

どちらにせよ日本にとって、同盟国ではない国が軍事転用可能な素材を使途不明で利用可能というのは安全保障上の立派な脅威です。


国際社会の指弾を免れない

今の所、韓国以外の国は対して興味を示していないようです。
そりゃ、ホワイト国は韓国を含めて27カ国しかありません。ホワイト国以外の国の方が圧倒的に多いわけですから、韓国が自分たち(ホワイト国以外)と同じ対応をされるのに、「不当」と感じる謂れはないでしょう。
それともホワイト国以外の国々はずっと「不当」な扱いを受けているとでも言うのでしょうか?


一緒に団結してくださることを国民に訴えます。

今回の措置で国民生活に直接影響が出るものが対象になることはありません。
にも関わらず、国民に何を団結しろと訴えているのでしょうか?
一致団結して不買運動に勤しもう、と訴えているのでしょうか?


加害者である日本
日本政府が一方的で不当な措置を一日も早く撤回し、交渉の場に出てくることです。
その傷を縫い、薬を塗って包帯を巻き、傷を癒やすよう努力してきました。

「加害者である日本」…魔法の言葉です。これを出せば、日本に対してはどんな不当も「道徳的」と見なされます。
一体、何に対する「加害者」なのでしょうか?
徴用工問題であるなら、既に解決済みのものをホジクリ返しているのは韓国です。
ホワイト国除外に対してであるなら、日本国内の輸出管理の問題です。韓国は使途を100%明確にすれば済む話です。


「韓国は協議の準備をして待っているのに日本が出てこないアピールをしていますが、これについては日本側の立場を繰り返しきちんと表明すべきですね。
ごちゃ混ぜにして論点のすり替えをしています。
交渉が必要なのは「徴用工判決問題」に関してであって、「ホワイト国除外」ではありません。
更に「徴用工判決問題」に関しても韓国側の「新たな対応策」が必要です。

つまり待っているのは日本側です。


国民の民主力量は世界最高水準であり、経済も比類なく成長しました。

じゃあ、もう途上国としての優遇措置は必要ありませんね。


歴史に近道はあっても省略はないということです。

「省略」どころか「近道」もありません。


*1:こんな単語は無いので、恐らく「노동자(労働者)」の間違いと思われる。