現代グロービスの貨物船(ゴールデンレイ号)事故の続報の話

うっかり見落としていましたが、9月8日に米ジョージア州で発生したゴールデンレイ号の転覆事故の調査について、地元メディアのThe Brunswick Newsが11日に少し報じていました。
事故に関する韓国メディアの報道はこちらで紹介しています。


調査には時間がかかることを前置きした上で、最大の可能性として 「貨物の安定性」に問題があったのではないかとしてます。
少なくとも記事内では直前にすれ違ったという日本の船舶(エメラルドエース)については一言も触れられていません。


地元メディアThe Brunswick Newsの記事の概略

  • ゴールデンレイ号が不安定な兆候を最初に示したとき、船は右側の航路を通過していた。
  • 船は「右舷へ重度の傾き」を開始し、午前1時35分以降にロールバックして左側で完全に転倒した。
  • 何人かの港湾、船内関係者は原因として貨物の安定性の問題が高いことを示唆している。
    • 2015年に英サウサンプトンで起きたHöegh Osakaの事故は貨物の安定性の重要性を示す事例として上げられた。
  • 出港前に船長には貨物を安定して輸送できること(耐航性)を確認する国際的な規制がある。


記事内で触れられているHöegh Osaka号の事故は次のようなものです。

全長179.9mのHöegh Osaka号は2015年1月3日午後7時30分頃、サウサンプトンハンプシャーを出港した。バスとレンジローバーなどの貨物を積んだ船は右舷旋回でソーン海峡に入ったが、ソレントの西ブランブルブイを一周した際、右側に大きく傾いた。一部の貨物が移動し、船体の破損と浸水が発生した。傾きが40度を超えると、船は推進力を失った。


状況としてはゴールデンレイ号とよく似ています。

この事故に対する調査報告書の要約には

事故後の安定性モデリング分析は、不適切な安定性で港を出港した結果として、Höegh Osaka号が右に大きく傾いたことを示している。貨物の配分は、上部の車両デッキが満杯で、下部の車両デッキが軽くなっていた。Höegh Osaka号はバンカー燃料油が少なく、船内の低い場所に保管されていた。出発前に追加のバラストが搭載されていなかったため、船の全体的な重心は比較的高くなっていた。 また、船の過剰な傾きのために貨物が移動した可能性が最も高く、それは事故の原因ではなかった。


このような記述があります。
(「事故の原因ではなかった」というのは、貨物の移動が傾きの原因ではない、という意味です)
Höegh Osaka号は当初の旅程を変更して貨物の積み込みを行っていたのですが、その際に船舶の安定性に関する再計算を行っていなかったそうです。


事故の状況が似ているため、原因も似ていると考えるのは自然の流れですね。

事故調査は始まったばかりですから、大した事実は判明していません。ですので当然と言えば当然なのですが…韓国メディアの報道はピタっと止まりました。
とりあえず第一声で「日本のせい」を主張できたので満足したのかもしれません。


ちなみに、Höegh Osaka号は「Osaka」と付いていますが日本の船ではありません。
日本生まれ、シンガポール籍(船籍)、シンガポール在住(管理会社)、ノルウェー企業所属(保有企業)の船舶です。