ゴールデンレイ号の最終報告書の話

国家運輸安全委員会(NTSB)が2年前の2019年9月8日、米ジョージア州沿岸で転覆したゴールデンレイ号の最終報告書を公開しました。

公聴会の雰囲気などから予想されていたことではありますが、NTSBは事故を「ヒューマンエラー(人為的ミス)」と結論付けたようです。

転覆の直接的な原因はバランス喪失によるものですが、その原因となったのが安定性計算プログラムにバラスト水の量を入力した一等航海士(チーフオフィサー)の入力ミスと いう結論です。

また、本来閉まっているはずの2箇所の水密扉が開いていたことで船内への海水の流入が起こり、4人の船員の逃げ道が塞がれる要因となったと考えられています。

NTSBのニュースリリースから一部抜粋すると

NTSBはゴールデンレイ号の転覆の原因はチーフオフィサーがバラスト量を安定性計算プログラムに入力する際にミスをしたため、船舶の安定性を誤って判断し、その結果ゴールデンレイ号がブランズウィック港からセントシモンズサウンドを通過する歳の旋回時に発生する力に対抗するための復元てこが不十分であったことと判断しました。事故の一因は、G-Marine Sevice Co.(船のオペレーター)が安全管理システムにおいて安定性計算を検証するための有効な手順を欠いていたことにあります。


NTSBはゴールデンレイが出港時に国際的な安定性基準を満たしておらず、チーフオフィサーの計算よりも安定性が低かったと判断しました。


NTSBによると、転覆後、水密戸が開いていたため船内に浸水し、4名の乗組員が閉じ込められていたエンジンルームからの主要な脱出口が塞がれました。事故前、2つの水密戸が約2時間にわたって開いたままになっていました。また、出港前に水密戸が閉まっていることを確認した船員もイませんでした。


(中略)


調査の結果、NTSBはG-Marine Service Co.Ltdに対して2つの安全勧告を行いました。

安定性計算を検証する手順を確立し、出港前に船舶が安定性要件を満たしているかを確認する監査手順を実施するために安全管理システムを改訂すること。

安全管理システムの監査プロセスを修正し、水密戸の閉鎖に関する到着/出発チェックリストを乗組員が遵守していることを確認すること。


(後略)


このようになっています。

結局、「日本」は韓国の国内向け報道にしか登場しませんでした。

でもきっと未だに「日本の船を避けようとしたから」と思っている韓国人は居るでしょうから、もしそんな人を見かけたら優しく「事故調査報告書はそんなこと言っていないよ」と教えてあげてください。

最終報告書のpdfはここで見られます。

ゴールデンレイ号の撤去は先月下旬に最終パーツの切断作業が始まり、ようやく撤去作業の終わりが見えてきたところです。