「死神」の名を冠する新種の恐竜の話

多分、世の中で一番有名な恐竜と言えばティラノサウルス・レックス(T-rex)ですよね。
約6600万年前という、ちょっとピンと来ないくらい昔に生息していた肉食恐竜で、大型捕食者の頂点とされています。

このティラノサウルスと近縁関係にある新種の恐竜が発見されたそうです。
ティラノから遡ること約1200万年前のものです。

新種の学名は「Thanatotheristes Degrootorum」。前半部分はギリシャ語です。英語だと「Reaper of Death」、つまり「死神」を意味します。
後半部分は発見者の古生物学愛好家に敬意を表して、彼の名前にちなんでいます。

通称は「タナトス(Thanatos)」。二次元作品でお馴染みの覚えやすい名前になりました。


農民で古生物学愛好家のジョン・デ・グルートさんは、2010年にカナダのアルバータ州南部をハイキング中に偶然、化石の頭蓋骨の断片を発見したそうです。
カルガリー大学の研究者らによって新種と確認されました。


近縁関係と言っても、ティラノサウルスではなくて、ティラノサウルスに分類されます。
ティラノサウルス属がrexのみ、というのは変わりません。
とはいえ、ティラノサウルスの新種の発見は50年ぶりですから、大発見であることに変わりはありませんけどね。


「属」とか「科」って何なのか

生物の分類は界・門・口・目・科・属・種というように細分化されていきます。
ティラノサウルスはこの中で「ティラノサウルス科」にあたります。

その下の属で「ティラノサウルス属」に属しているのは、現在ティラノサウルス・レックスのみ*1で、「レックス」が種にあたります。

つまり「ティラノサウルス・レックス」とは、「ティラノサウルス属レックス種」と同じ意味です。
属とか、科とか日本語では表記しますが英語では「Tyrannosaurus rex」。これをカタカナ読みしているだけです。

このように属と種を併記する書き方を「二名法」と言います。
一般的じゃないはずですけど、響きも良かったからですかね、二名法での呼び方で一般に浸透するという、珍しいパターンです。


*1:一部、アジアに生息したティラノサウルス科のタルボサウルスなどをティラノサウルス属に分類すべき、と主張する研究者もいる。