韓国に偉人やその人に縁の遺物が少ない理由の話

顕忠院とは、韓国の国立墓地です。
ここに残る全斗煥さんの痕跡を全て消去しよう、という動きが起こっているそうです。
まず手始めに、門に掛かっている扁額から。


顕忠院、全直筆の扁額撤去...あちこちで「全消去」


(前略)

1985年、全斗煥氏が書いた文字で作成された扁額が掛かっています。
報勲処がこの扁額を撤去することになります。国のために命を捧げた護国英霊が眠っている顕忠院に内乱罪で大統領冷遇まで奪われた人物は似合わない、という指摘を受け入れたのです。

(中略)

このように、全斗煥氏の痕跡は一つ、二つと消えているが、まだ全氏を記念する施設は全国各地に残っています。

(中略)

5・18記念財団は、罪のない市民を犠牲にした全斗煥を記念するのはあり得ないことだ、と残滓精算作業を引き続き行っていくと明らかにした。

SBSニュース「현충원 전두환 친필 현판 철거…곳곳 '전두환 지우기'(顕忠院、全直筆の扁額撤去...あちこちで「全消去」)より一部抜粋


全斗煥さんが偉人かどうか、彼の行為の是非についての評価はここでは置いておきます。

ですが、韓国に所謂「偉人」や「縁の遺物」が極端に少ない理由が分かる気がします。
その時々の評価で「ふさわしくない人」に関する、国をあげての痕跡抹消作業が歴史の中で繰り返し行われてきたからなのでしょう。


現在、首に縄を掛けられた「罪人」の姿の全斗煥さんの像が設置されています。「全斗煥恥辱像」と呼ばれているそうです。
もともとはソウルの光化門広場にあったらしいのですが、5・18民主広場に移転されたそうなのですが、靴底をこすりつけたり、ピコピコハンマーで殴ったり、液体(牛乳?)を掛けたり…何をしても許されるようです。


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ペン・アンド・マイクより
http://www.pennmike.com/news/articleView.html?idxno=31137


大手のニュースはこの像に対する市民の行為を肯定的(当然のこと?)に報じていましたが、流石に一部の市民はやり過ぎと思ったようで、光州市の女性が市役所に抗議をしたらしいです。


こうしたことを容認している社会は、少なくとも子供の情操教育にとっては間違いなく良くないです。
親が積極的に加担していなくとも社会が容認していれば、加害者(とコミュニティが認定したもの)に対して、社会的制裁を加える行為は正しいことだと教えることになりかねません。