ムン大統領、北朝鮮の謝罪を高評価する話

ムンさんが重い口を開きました。

北朝鮮軍に射殺されたAさんが行方不明になってから1週間、最初に報告を受けてから125時間、亡くなった(と思われる)時間から136時間...数えたのは私ではありません。朝鮮日報の記者です。
しかし、随分掛かりましたね。


朝鮮日報の記事からです。

文、公務員行方不明から170時間振りに「哀悼・慰労...キム委員長の謝罪は格別」


ムン・ジェイン大統領は28日、大統領府首席・補佐官会議で、北韓軍による海洋水産部職員A氏銃殺事件と関連誌て「犠牲者がどのように北韓海域に行ったかの経緯に関わらず、遺族の心痛と悲嘆に深い哀悼と慰労の言葉を申し上げる」とした。
ムン大統領はこの日、「非常に遺憾で不幸なことが起こった。いくら分断状態といっても起きてはならないことだった」と述べた。それとともに「国民が受けた衝撃と怒りも十分推測して余りある」とし「理由の如何を問わず、国民の生命と安全を守るべき政府として大変申し訳ない思いだ」

(中略)

ムン大統領はこの日、「大変申し訳ない思い」としながらも「平和」を強調して、今回の事件の北韓の責任は一切言及しなかった。代わりに、北韓の25日の通知に言及しながら、北側が謝罪と再発防止を約束した点を浮き彫りにさせた。ムン大統領は「このような悲劇が二度と発生しないようにする、という約束と共に、国民の生命を保護するための安全保障と平和の大切さを噛み締め、政府の責務を強化する契機にしたい」とした。

また「北韓当局は当初、韓国政府に責任ある回答と措置を要求したが、即日通知文を送ってきて迅速に謝罪し、再発防止を約束した」とし「事態を悪化させ、南北関係を取り返しのつかない状況に進めることを望まない北韓の明らかな意思表明として評価する」とした。

(後略)

朝鮮日報「文, 공무원 실종 170시간만에 “애도·위로…김 위원장 사과는 각별”(文、公務員行方不明から170時間振りに「哀悼・慰労...キム委員長の謝罪は格別」)」より一部抜粋


北朝鮮の通知文の謝罪って言っても、実は「미안(ミアン;未安)」としてあったらしいです。
表現としてはカジュアルで、日本語だと「ごめんね」とか「悪いね」に近いものです。以前、「天皇に謝罪せよ」と言って日本から批判されたムン・ヒサンさんが後に騒動に対して「謝った」ときに使った表現でもあります。

それに対してムンさんが使ったのは「송구하다(原文「송구한 마음」)」。これはちょっとお硬い表現で「恐縮する」、つまり「송구한 마음」は「申し訳ない思い」などの意味があります。


北に渡った経緯如何に関わらず、というのは、犠牲になったAさんが自分の意思で北朝鮮に向かった「越北者」か、何らかの事故により漂流していったのか、はっきりしていないためです。
韓国の当局は、Aさんが「越北者」だったとする事実証拠を掴んでいる、と発表しています。(ただし、機密に絡むので公表はしていない)


私は渉外や広報のプロではありませんけれども、何らかの問題が発生したときには、とにかく発表だけでも早々にすべきなんじゃないかと思います。

今回の場合だと、北朝鮮への厳しい物言いが難しいのであれば、「状況把握に努めている」程度に抑えておいて、被害者やその遺族に対する哀悼・お見舞いに焦点を絞っていち早く行うべきでした。
下手に時間が空くと、その間にメディアなどを介して新たに明らかになった事実と併せて立場表明を行わなくてはいけなくなるため、難易度が上がります。
その結果、北朝鮮擁護とも受け取れる発言のオンパレードになってしまいました。

韓国国民としては、自国民が犠牲になっている状況で、自国大統領のこの態度は感情的に受け入れ難いのではないでしょうか?