「慰安婦は売春」発言のリュ・ソクチュン元教授が在宅起訴されたの話

昨年9月に「慰安婦は売春婦」と大学の講義で発言したリュ・ソクチュン元教授(8月に延世大を定年退職)が栄誉毀損の疑いで在宅起訴されました。
ほぼほぼ間違いなく有罪判決が下されるでしょうけれど、ちょっと妙なのが名誉毀損が適用されたのが(自称)元慰安婦に対してだけなのです。

元教授は挺対協(現・正義記憶連帯)についても慰安婦を「教育(創作)した」という趣旨の発言をしており、北朝鮮との結びつきも強調するなどしていました。
そのため、正義記憶連帯からも名誉毀損の告発を受けています。そっちについては「嫌疑なし」です。


ソウル新聞の記事からです。

検察、「慰安婦妄言」のリュ・ソクチュンを在宅起訴


(前略)

ソウル西部地検刑事1部(部長パク・ヒョンチョル)は名誉毀損の疑いでリュ元教授を在宅起訴したと29日明らかにした。ただし、検察は正義記憶連帯(正義連)の前身である韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)に対する侮辱容疑については嫌疑なしとした。

検察によると、リュ教授は昨年9月19日、延世大学社会学科専攻科目の発展社会学の講義で、50人以上の生徒に対し「日本軍慰安婦は売春に従事するために自発的に慰安婦になった」という趣旨で虚偽の事実を発言した疑いを受ける。

また、「挺対協が日本軍に強制動員されたかのように証言するように慰安婦たちを教育した」、「挺対協役員が統合進歩党幹部であり、挺対協は北韓と連携して北韓に追従している」という趣旨の発言をして正義連関係者の名誉を毀損した疑いも受ける。

(後略)

ソウル新聞「검찰, ‘위안부 망언’ 류석춘 불구속 기소(検察、「慰安婦妄言」のリュ・ソクチュンを在宅起訴)」より一部抜粋


正義連への名誉毀損は嫌疑なしなのに、わざわざ「疑いも受ける」と書く意味が分かりません。


それはさておき、慰安婦への名誉毀損は成立して、正義連への名誉毀損は目溢しされたのは、「虚偽の事実」という部分がポイントでしょうか?

つまり「すべての慰安婦自発的に慰安婦になった」と解釈すると、これは間違いです。
本人の意思に関係なく「売られた(嫌な表現ですが)」人も少なからずいたでしょう。

しかし、挺対協が主張していたような「日本軍による強制連行」、これもやはり虚偽の事実です。
一般的な韓国人が認識しているかどうかはともかく、韓国であっても学会では日本軍が銃剣を持って「人狩り」を行ったなどという主張は支持されていません。
挺対協が広めたような主張は明らかな虚偽のため、挺対協への名誉毀損は成立しないと見なされたのかもしれません。

※日本軍による強制連行が無かったと認めているのに、なぜ「日本の責任」を問う声が上がるのかは次のようなロジックがあるからです。
「日本による植民地支配の結果、(朝鮮人女性たちは)慰安所に送られて『地獄』のような生活をした。よって、日本政府に対して植民地支配の『贖罪』をすべき」
より詳しくは以前、「帝国の慰安婦」の著者であるパク・ユハ氏について書いたときに触れていますので、そちらの記事を参考に。