米韓首脳共同声明の「台湾問題」は「基本立場の原則的な表現」という話

米国シンクタンクブルッキングス研究所リビアさんは、米韓首脳共同声明を読んでその内容に驚いたと言います。 「クアッドに含まれるもの全てが入っている」 からです。
つまりクアッドに入らずしてクアッドと同じ価値を共有している、という意味です。
これにより韓国は「価値の共有」という実用面でアメリカに報い、「クアッドに入らない」という体面で中国に報いることが出来ました。
もしかしたらムン政権が落とし所として目標にしていたのはコレだったのかもしれません。だとすれば「大成功」と考えるのも当然かもしれませんね。

しかし、実際問題としてそう思っているのは韓国だけで、中国は体面だけでは納得しないんですけどね...。
共同声明で「台湾問題」が取り上げられたことに対して中国側から反発の声が上がると、韓国はそうそうに「台湾問題」を「原則的な話」と後退させました。
韓国の言う「バランス」感覚がよく顕れています。


国民日報の記事からです。

中国「台湾・クアッド・半導体」に反発...大統領府「台湾海峡は原則的な話」


中国が24日、韓米首脳の台湾問題言及に対し「内政干渉」と反発したのは予想された流れという評価だ。

(中略)

台湾問題は「一つの中国」を掲げた中国が核心利益と考える事案だ。中国としては韓国が初めて「台湾海峡の平和と安定」に言及した以上、見過ごすわけにはいかないという立場だ。青瓦台高位関係者は「両関係の特殊性を勘案し、域内情勢の安定が韓国にも重要だという基本立場を一般的かつ原則的な水準で含めた」と説明した。一つの中国の原則を否定したのではないという説明だ。

(中略)

韓国政府は韓米共同声明に台湾と南シナ海、クアッド(Quad)を含め米国と意を共にするが、中国に言及しない方式で誠意を見せた。

中国外交部は韓米首脳がクアッドの重要性に共感したことに対しては「中国は他国を狙った4ヵ国体制、インド・太平洋戦略などの排他的な小集団を作ることに反対する」と明らかにした。

(後略)

国民日報「中 ‘대만·쿼드·반도체’에 반발… 靑 “대만해협은 원칙적 얘기”(中国「台湾・クアッド・半導体」に反発...大統領府「台湾海峡は原則的な話」)」より一部抜粋


韓国にとって「バランス」とは「譲歩」のことのようです。ただし、この「譲歩」は自身が行うことではありません。他方との約束に対して勝手に解釈を変えることで韓国の裁量で譲歩させてしまうことです。

今回の例では「台湾問題」ですね。中国からクレームが付いたので米国との共同声明を勝手に再解釈し、米国から韓国への「台湾問題」の意味を「原則的な話」のレベルに譲歩させてしまいました。

韓国の言う「バランス」は、「韓国」を使って米国と中国の落とし所を作る状態です。コレって果たして韓国にとって良いことなんでしょうかね?米と中の板挟みに自ら落ち込んでいっているだけに見えてしまいますが...。
まあ、自分から苦労を背負い込むことが「求められてる」感があって好き、という人はたまにいますけれども。