日本に「法的責任」を認めさせたい徴用訴訟の話

日系韓国人の保坂祐二さんが日本政府が言う「日本の一貫した立場」とは何なのか、それは韓国側の望む解決策と相容れるものなのかをテーマにした寄稿文を書いていたので紹介します。
保坂さんの意図としては韓国人に向けての解説なんでしょうが...日本人が「韓国が望む解決とは何なのか?」を知るのに、凄く分かりやすくぶっちゃけてくれていると感じます。

 



イートゥデイの記事からです。

「日本は今」韓日関係、「日本の一貫した立場」とは何か?


知識人たちが韓日関係を話し合う第10回韓日未来対話が9月3日、東京都内で開かれた。同シンポジウムにパク・ジン外交部長官と林芳正日本外相がメッセージを送った。
パク長官は映像メッセージで「韓国と日本は地理的・文化的に最も近い隣国だ。これまで硬直して放置されてきた両国関係を改善するために両国間の戦略的協力機会を逃してはならない」と日本側に要請した。彼は「両国関係改善のための望ましい懸案解決法案について真剣な議論を続けてきた結果、韓日関係改善の契機が用意された」と強調することもした。

(中略)

林外相は「韓日関係を健全な関係に戻すために『日本の一貫した立場』に従って韓国側と緊密に疎通していく」というメッセージを送った。

(中略)

外交部は7月はじめ、官民共同協議会を構成し、日本企業の資産現金化を避ける方式の解決策を模索しており、最高裁に解決に向けた外交的努力を説明する意見書を提出した。これに対して原告だわ支援団体は「韓国政府が日本企業の肩を持ち事実上、最高裁に判断を留保するよう要請した」と批判した。支援団体側は「外交部は意見書の提出を先に謝罪しなければならない」と主張した。9月5日に 4次協議会が開かれたが原告側は出席を拒否するなど政府に対する不信を表した状態だ。

このような困難な状況を打開するために日本側が被害者に謝罪する案も検討されているという。実際に日本政府が被害者に「謝罪」する方案が推進されればカギになる点は日本側が言う「日本政府の一貫した立場」と「被害者に対する日本政府の謝罪」が矛盾なく両立するかだろう。

ここで「日本政府の一貫した立場」というものが何かに対する理解が重要だ。これに対する答えは日本国会の対政府質問に対する政府答弁を見れば明らかだ。日本の国会会議録を分析すれば、韓国との関係に置いて「日本政府の一貫した立場」というのは「韓日間の請求権問題は1965年の請求権協定で法的にはすべて終わり、もし問題が生じれば人道的な次元で解決策を模索する」というものと分析される。

日本軍「慰安婦」問題を解決しようとする仮定がその良い事例だが、日本政府はこの問題に対して「法的問題は1965年にすべて終わったので人道上の問題としてのみ接近する」という立ち場を最後まで貫き、被害者が望む「日本政府の法的責任」を絶対に認めなかった。

今回の強制徴用問題でも同様だ。日本政府が強制徴用被害者に対して「謝罪」をするとしても、その謝罪が「法的責任」を認める次元の謝罪、すなわち日本側が過去に法的にも誤ったと認める謝罪ではなく「被害者に苦痛を抱かせたことに対して謝罪する」という程度の言葉で法的責任を巧妙に避けていくものと予想される。

直接的な加害当事者は企業であるため日本政府が曖昧に謝罪するのは道理にも合わない。謝罪するなら日本企業が直接被害者に法的責任を認めなければならないだろう。日本政府が謝罪するならば「全て合法だったが苦痛を抱かせて申し訳なかった」という意味の言葉になり得る。その後、賠償を認めず補償は1965年に全て終わったという理由を挙げて人道的な「謝罪」だけをして終える可能性がある。「賠償金」は韓国政府が日本企業に代わって「代位弁済」し、それでこの問題を解決したと幕を下ろす可能性が高い。

問題は被害者がそれで納得するかにかかっている。被害者側はこのような韓国政府の姿勢に反発している。2015年の韓日慰安婦合意の時と同じ外交的三次にならないようにしなければならない。日本側の「一貫した立場」という言葉を韓国政府がすべて受け入れるなら、韓国側が望む解決策になるはずがない。ならぜなら、韓国側の立場が明確に存在するからだ。韓国政府は「韓国側の一貫した立場」という言葉を掲げて日本側と交渉をしなければならないのではないか?



イートゥデイ「[일본은 지금] 한일관계, ‘일본의 일관된 입장’이란 무엇인가?(「日本は今」韓日関係、「日本の一貫した立場」とは何か?)」より一部抜粋

望ましい(?)懸案解決法について真剣に議論してきたというのは、例の協議会のことなんでしょうけど、その結果って「日本は謝罪せよ」でしょ?それで「関係改善の契機が用意された」と本気で考えているのなら、お世辞抜きにあたまおかしいです。



それはともかく、この人は随分と分かりやすく韓国側の目論見を暴露してくれますね。
韓国側(自称被害者側)はことあるごとに「お金の問題じゃない。謝罪だ」と言いますが、その謝罪は「法的謝罪」でないといけない、ということです。
それはなぜか。記事内にハッキリ書かれています。「日本側が過去に法的にも誤ったと認め」させるためです。「法的にも」とは、他に「人道的にも」「道徳的にも」などの意味が含まれるからでしょう。

で、もし徴用が「法的に間違いだった」となるとどうなるか。国家動員法が朝鮮人に適用されていたことが「違法」だったと解釈し始めるでしょう。
その目指すところは当然、「日本による半島併合(統治)は違法だった」です。