米専門家「歴史問題は難しいので置いといて経済、外交など他分野で関係を発展させれば」という話

知日派の米国外交専門家が韓国メディアとのインタビューで日韓関係が「小渕ー金大中宣言」当時に戻るのは難しいとの見方を示しました。
むしろ歴史問題は解決できないとの認識の上で、悪化しないよう管理だけして置いておいて、協力できるところだけ協力すれば良いのでは?そんな意見です。

記事が公開されたのは昨日(10月8日)です。しかしインタビューが行われたのは先月16日。NY国連総会の前で日韓首脳会談を両国が「快く了承」したという報道が韓国側から一方的に出された直後です。
韓国メディア的には首脳会談への期待で胸を膨らませていたことでしょう。そこに冷や水を浴びせらるようなインタビュー内容だっただけに、もし韓国側の発表通り「快く了承された」日韓首脳会談が行われていたならこの記事はお蔵入りになっていたのではないでしょうか?

 



文化日報の記事からです。

「韓日関係改善?」...米専門家「歴史問題が『ちゃんと』解決するには...」


ユン・ソンニョル政府が金大中・小渕宣言時代に韓日関係を復元するという意志を示した中、ワシントンの外交街では「過去に戻るのは難しい」という見方が出て注目されている。

米国内の日本権威者であるシーラ・スミス米外交協会(CFR)専任主任研究員は先月16日、韓国記者団に対して「韓日関係があまりにもよくなかったので両国首脳が会うだけでもとても良く感じる」としながらも「小渕時代を再現したい思いがあるが、過去に戻ることは出来ないと思う」と話した。当時はユン・ソンニョル大統領と岸田文雄日本総理が米ニューヨークで会談を控えていた状況だった。長期間にわたって悪化した韓日関係が短期間で改善されるのは難しいという診断だ。

スミス研究員は「両者とも関係を改善しようとする意志があるが、過去に比べて両国間の失望感がより大きく、互いを許せないという感じを受ける」として「ユン政府と岸田政府ともに韓日関係で失敗したときのリスク負担が大きくならざるを得ない状況」と話した。それと共に「韓日関係が過去のように良くなるか分からないし、より悪くならないようにしなければならないと考える」とも付け加えた。スミス研究員の発言は、韓日関係改善に対する米国内の低い期待感を反映した発言と解釈される。過去、米政府は韓米日3ヵ国協力が米国の安保に及ぼす影響を強調し、韓日関係が悪化する度に積極的な仲裁努力を傾けてきた。

スミス研究員が韓日関係に多少保守的な展望を出した背景の一つは韓日歴史問題だ。彼女は「慰安婦や強制徴用賠償問題は単純に政府が交渉して解決策を出せば良いのではなく、国民感情も絡んでいる」とし「すごい解決策を期待している方々がいるが、こういう歴史問題を乾杯して解決するのは難しそうだ」と話した。

その一方で「発展的な方向に韓日関係が発展していかなければならない」と強調した。スミス研究員は「両国が歴史問題は解決が難しいという点を認める土台の上で両国関係をさらに悪化させずに経済、外交などで色々な分野で関係を発展させていくことが重要だと思う」と話した。

(後略)



文化日報「‘한일관계 개선?’...美전문가 “역사문제가 ‘짠’하고 풀리기엔...”(「韓日関係改善?」...米専門家「歴史問題が『ちゃんと』解決するには...」)」より一部抜粋

タイトルの「ちゃんと」と訳した部分は原文では「짠」です。乾杯ことで、グラスをぶつける「チン」の音なんですが日本語だと「チーン」というとおりんの音で逆の意味っぽくなるので変えてます。



記事は最終的に、安保面での協力は危機の際に同じ対応を取る(=同じ陣営)という象徴的意味があるという点を強調して終わっています。
「歴史問題を解決する」を「共通の歴史認識を持つ」と似たような意味だと考えると、私は解決するわけがない(共通の歴史認識は不可能)と考えているので、日韓協力を重視するならそれを脇に置いておけという意見は一理あると思います。

ただ、そうすると「両国が歴史問題は解決が難しいという点を認める~」の主語は「韓国が(は)」にしてほしいです。というのも、この前の日米韓共同演習に対して大きな反発が起こっているからです。
もう大騒ぎです。訓練自体は数年前から継続して行われていたものです。訓練実施の事実は非公表だったらしいですが ...それでも意味が分からないくらい大騒ぎしています。
現在、共に民主党代表になっている、みんな大好き(?)イ・ジェミョンさんはこの合同訓練を「極端な親日行為」と言って糾弾しました。ある意味同じ立場である日本でこんな騒ぎが起こっていないことを考えると、やはり異常としか思えません。

以下、ソウル新聞からです。

イ・ジェミョン「韓米日合同訓練、親日」対、国民の力「竹槍歌シーズン2」

(前略)

イ代表は前日*1民主党最高委員会議を通じて「なぜよりによって独島近くで韓米日合同訓練をしなければならないのか」とし「日本の軍事利益を守る行為で極端な親日行為であり、対日屈辱外交に続く極端な親日国防」と批判した。

先立ってイ代表は去る6日にも国会国防委員会の合同参謀本部に対する国政監査を通じて「日本自衛隊と、特に独島近海で合同訓練をすれば自衛隊を正式に日本軍隊として認めるのではないか」と指摘した。

彼は「そうではない」というキム・スンギョン合同参謀議長の回答に「歴史的にそう解釈される余地がある」とし「韓米日軍事同盟は単純な問題ではない。日本が独島を自分の土地だと言い張り、経済侵奪までしているのに何をそんなに急いでいるのか、自衛隊を正式軍隊として認める根拠になり得る訓練を独島近くで行うのか。屈辱外交だ」と述べた。



ソウル新聞「이재명 "한미일 합동훈련, 친일" vs 국힘 "죽창가 시즌2"(イ・ジェミョン「韓米日合同訓練、親日」対、国民の力「竹槍歌シーズン2」)」より一部抜粋

合同訓練をすれば自衛隊を日本軍と認めることになる...この理屈が全く意味不明です。



*1:10月7日