日韓首脳会談は無しになったけど両国の関係改善は加速している、という話

NATO首脳会議での日韓首脳会談は完全に無しになりました。しかし、「それでも両者の関係回復は速度を増している」とし、先週お伝えした徴用賠償解決のための官民合同機構の設立案を取り上げています。まるでこの機構が何らかの案を出せばそれですべてが解決するかのような崇めっぷりです。

まあ、実際は「代位弁済」しか無いみたいなんですけどね。単なる権威付けでしょう。「官民合同機構という組織が出した解決案」という包装紙で「代位弁済」を包んで立派なもの(正当なもの)に見せようとしているだけです。
「代位弁済」の実態が1965年の請求権協定を蔑ろにする国際法違反という部分には一切触れず「日本も肯定的」と。何とも理解しかねます。
「日本側も関係改善を願っており、韓国だけが焦っているわけではない」との思いが割と露骨に出てるな、という気がします。

 



ソウル経済の記事からです。

韓日首脳、両者会談は霧散したが..関係回復の事前作業は加速


北大西洋条約機構NATO)首脳会談を契機に韓日首脳の初会談が開かれるか関心を受けたが、結局霧散した。半月後に迫った日本の参議院選挙が決裂に決定的な影響を及ぼしたものと見られる。っただ、両者関係の回復に向けた事前作業には拍車がかかった。韓国政府は早いうちに過去史問題解決のための官民機構(仮称)を発足させ、関連議題に着手する予定だ。

27日、外交関係者によるとユン・ソンニョル政府主導で近く発足する韓日官民機構には外交部当局者や対日専門家、被害者団体関係者などが参加する。これを通じて政府は日帝強占期の強制動員被害者賠償問題の解決方案を模索する方針だ。

(中略)

外交界では、ユン・ソンニョル政府が韓日官民機構を通じて「代位弁済方式」を有力に検討すると見ている。代位弁済方式とは強制動員被害者に対する賠償金を韓国政府が先に支給し、その後日本政府に求償権を請求する方式だ。このため被害者団体の共感を得ることが必須であり、政府は関連作業も並行するものと見られる。このような代位弁済案には日本側も肯定的な立場だという。

ただ、ユン・ソンニョル政府が代位弁済案を推進する場合、一部の市民団体と野党の反発など、南南葛藤が膨らむ恐れもある。特に日本側は強制動員問題と関連して謝罪や反省の意味を盛り込んだ被害者との出会いなどを推進する考えがなく、国内反発がさらに懸念される。日本政府や企業の公式謝罪がない状況でユン・ソンニョル政府が代位弁済案を推進しては、ややもすると「親日フレーム」に巻き込まれかねないためだ。

(後略)



ソウル経済「한일 정상, 양자회담 무산됐지만..관계회복 사전작업에는 속도(韓日首脳、両者会談は霧散したが..関係回復の事前作業は加速)」より一部抜粋

代位弁済案に肯定的な日本ってどこの並行世界の日本ですか?私の知る日本は何度も拒んでますけど...。この方式だと韓国の「国際法違反状態」がまかり通ることになりますから「約束を守れ」を一貫して主張している日本は飲めません。

「韓日官民機構」と書かれていますけれど、私の知る限り日本側の参加は特にないはずです。
あたかも官民機構に日本も参加する → 両国で解決策を模索する → 日本側も了承する解決策(= 代位弁済)...であるかのようにミスリードされています。あるいは記者自身がそう信じているのかもしれませんが、これはあくまで「日本との関係改善に向けた韓国国内での独自の動き」であって「両国の動き」ではありません。
機構が何らかの答えを出すにしても日本はその答えを公式に聞いてからリアクションを取るだけです。