韓国では個人投資家のことを「東学アリ」と言います。アリは昆虫の蟻です。東学は1894年頃に起こった東学運動(農民運動)に由来するそうです。
東学運動はざっくり言うと権力に対する反抗運動です。投資の世界の場合、巨大な海外資本に「アリ」のように小さな国内個人投資家が束になって挑む...そんなイメージでしょうか。
今年に入ってからこの「東学アリ」たちがコスダック市場で買い越した金額の半分が「借金」だったことが分かりました。以前から「ビットゥ(借金して投資)」が流行していましたし、先日も韓国投資証券が信用融資業務の一時中断を発表した件をお伝えしましたが、思っていた以上に規模が大きかったです。
中央日報の記事からです。
東学アリ、資金の半分は「ビットゥ」...驚いた証券会社、融資中断に乗り出した
(前略)
勧告取引所などによると、個人投資家らは年明けから21日までコスダック市場で6兆1277億ウォン分を買い越した。同期間、機関(-3兆7911億ウォン)と外国人(-9392億ウォン)などはコスダック市場で売り越した。
個人の買い越し資金の半分は「ビットゥ(借金投資)」の資金だった。金融投資協会によると20日基準の信用融資残高は20兆2863億ウォンと集計された。信用融資残高は今年だけで3兆7676億ウォン増えたが、このうちコスダック信用融資残高増加額が2兆7008億ウォンだった。コスダック買い越し額の44%に当たる金額だ。
特に今年は2020年と2021年に比べ準買収額の中で「ビットゥ(借金投資)」の比重が増えた。シンヨン証券によると2020年と2021年のコスダック信用融資残高の増加額は純買収額のそれぞれ27%、12.8%水準だった。
パク・ソヨン・シンヨン証券研究員は「今年、コスダック市場の強勢は短期的レバレッジベッティング(借金投資)が大きな影響を及ぼし、突然信用融資が清算される状況が来れば、その後の暴風が大きい可能性もあるという意味」と話した。
(中略)
新韓金融投資によると今年コスダックで個人の買い越し代金のうち3分の2は二次電池関連銘柄に集中していた。2次電池関連銘柄が劣勢を見せる場合、市場全体が動揺せざるを得ない。
(中略)
2次電池関連銘柄に対する市場警報措置も増えている。韓国取引所上場公示システム(KIND)によると、今年投資危険銘柄に指定された銘柄は計4件(3銘柄)。
(中略)
市場警報制度は少数口座に売買が集中したり、株価が一定期間に急騰するなど不正取引の可能性がある銘柄に取引所が投資危険を告知する制度で、投資注意→投資警告→投資危険の3段階に区分される。
「ビットゥ(借金投資)」急増に一部の証券会社は新規融資を中断するなどリスク管理に乗り出した。韓国投資証券は21日から屎尿融資と証券担保融資など新規営業を中断した。キウム証券も担保要件を強化するなど貸出増加速度を下げている。各証券会社は信用取引融資や証券担保融資などの信用供与を自己資本の100%までしかできない。
中央日報「동학개미 자금 절반은 '빚투'…놀란 증권사 대출 중단 나섰다(東学アリ、資金の半分は「ビットゥ」...驚いた証券会社、融資中断に乗り出した)」より一部抜粋
みんながおんなじ方向に一斉に動くのが本当に不思議です。カリスマトレーダーとか人気のアナリストなんかが情報配信でもしてるんでしょうか?「今が買い時ですよ」って。
ちなみに日本の場合、業種や銘柄、売買タイミングのアドバイスをすることは投資助言と見なされるので金融商取引法によって金融庁への届け出登録が義務付けられています。もしかしたら、そういう法整備がないのかもしれません。