第3者代理返済進行により原告1組が訴訟を取り下げ...ただし、楽観はできない話

徴用関連の訴訟で賠償対象となっていた15人中1人の原告が訴訟取り消しを求める申請書を提出したとのことです。今、最高裁で「韓国内資産売却」が進められている日本製鉄の分です。
この原告...正確には(自称)徴用工ではなくその遺族ですが...は、韓国側による第3者代理返済を受け入れていました。代理返済の処理が進んだので訴訟を取り下げることにしたそうですが、集団訴訟ですので、1組が取り下げたくらいでは審理は止まりません。

 



中央日報の記事からです。

「強制徴用」遺族、第3者返済政府案受け入れ...日本製鉄相手の訴訟取り下げ


強制徴用被害者の故・ヨ・ウンテクさんの遺族が最高裁判所で審理中だった新日本製鉄(現・日本製鉄)の株式特別現金化売却事件を取り下げて欲しい旨の申請書を出した。ヨさんは行政安全部傘下の遅延利子を代わりに支給するという「第3者返済」の対象だ。強制動員被害確定勝訴判決後に賠償対象となった15人のうちの1人だ。

今回の訴訟取り下げは財団側の返済が進行したことにより既にヨさん遺族側が持っていた債権が消滅し、裁判所で進行中だった差し押さえ事件などを解除する手続きを踏む手順と見られる。財団によると、これは第3者返済案を受け入れた遺族が日本企業を相手にした訴訟を取り下げた初めての事例だ。今後、第3者返済に同意した他の9人の被害者遺族も返済が進行するにつれ順次、関連訴訟を取り下げるものと見られる。

ただし、ヨさんの遺族が取り下げた株式特別現金化売却命令事件は生存被害者であるイ・チュンシクさんを始めとする他の原告らがいる事件であり、ヨさん遺族が取り下げても審理はそのまま進行される。

(中略)

2018年、日本製鉄と三菱重工業を相手に提起された損害賠償請求訴訟で勝訴が確定した強制徴用被害者は14人だ。訴訟に参加していない被害者を含め、財団が第3者返済対象に挙げた被害者は計15人だ。このうち12人は訴訟過程で死亡し遺族が訴訟を引き継ぎ、現在生存者は3人だ。

財団によると、15人のうち10人の遺族は政府が提示した第3者返済案に同意した。イ・チュンシク、キム・ソンジュ、ヤン・クムドク生存者3人と死亡被害者2人の遺族は第3者返済案に反対している。第3者返済額は1人当たり約2億~2億8000万ウォンだ。

(後略)



中央日報「'강제징용' 유족, 제3자 변제 정부안 수용…일본제철 상대 소취하(「強制徴用」遺族、第3者返済政府案受け入れ...日本製鉄相手の訴訟取り下げ)」より一部抜粋

訴訟を取り下げたヨさん(取り下げたのは遺族ですが)は、正確には「募集工」です。1943年、18歳のときに日本製鉄の公募を見て日本に渡り、その後、国家総動員法によりそのまま「徴用工」にスライドした典型的なケースです。
1945年に工場が空襲に合ったため賃金が受け取れなかったそうです。これも請求権協定で解決されたはずの典型的な分ですね。

徴用関連で現在進行中の他の訴訟ですが、ソウル高裁で3件、中央地裁で13件が進行中です。まだまだ火種は消えていません。