三菱徴用工原告、賠償金の20%を支援団体に寄付する契約を交わしていた...第3者弁済金の支給で後日履行を迫る可能性の話

徴用訴訟の第3者による代位弁済が始まっていますが、2012年10月に三菱の原告が訴訟を提起する前日、支援団体と原告との間で三菱から得られる賠償金の20%を支援団体に寄付する約定が交わされていたそうです。
そのお金は「日帝被害者人権支援事業、歴史的記念事業および関連公益事業のために使えるよう」にする、と。
またその際、賠償金は原告ではなく、指定された受任者が受け取ることになっており、そこから関連事業を行う団体へ支払われることになっていたようです。

 



朝鮮日報の記事からです。

[単独]「徴用賠償金を受け取ったら20%支払え」支援団体、被害者と11年前に約定


(前略)

22日、本誌取材を総合すると「勤労挺身隊おばあさんと共にする市民の集い(以下、市民の集い)」と三菱重工業(名古屋)徴用被害者5人は、2012年10月に約定を結んだ。被害者が三菱を相手に光州地裁に訴訟を起こす前日だった。A4用紙2枚の約定書を見ると「この事件と関連して損害賠償金・慰謝料・合意金など、その名称を問わず被告から実際に支給された金銭のうち20%に該当する金額を日帝被害者人権支援事業、歴史的記念事業および関連公益事業のために使えるよう会に交付する」となっている。

これとともに三菱が裁判所の判決により損害賠償金を支給しても被害者ではなく、受任者がまず金銭を受け取って20%を支援団体に支給するようにした。「委任者(被害者)は受任者が被告から直接損害賠償金を支払えば、定めた金額を市民の集まりに直接支払うことに同意する」となっている。民弁出身で被害者の法律代理人であるイ・サンガプ弁護士が受任者代表として名前を挙げた。被害者たちは約定書に印鑑、または拇印を押して同意を示した。

(中略)

支援団体と被害者が約定した時点は2012年10月だ。同年5月、最高裁が「新三菱重工業新日本製鉄が徴用被害者9人に損害賠償する義務がある」と判じた。日帝植民地支配で被害を受けた韓国人が日本企業に勝訴した最初の司法的判断で、以後各地域で訴訟提起のための動きが活発になった。

(中略)

被害者たちは約定締結翌日に裁判所に訴訟を提起し、2018年11月29日に最高裁が上告を棄却し原告一部勝訴を確定した。

支援団体が交付を約定して掲げた名目は被害者の人権支援事業、歴史的記念事業、関連公益事業などだ。「支給されたお金を定めたとおりに使い、委任人が生存している間、毎年1回その具体的使用内訳を委任人に通知しなければならない」と話した。イ・サンガプ弁護士は本紙との通話で「金銭的賠償を受ければ色々な支援団体交易弁護士の活動結果として得ることになるが他の公益弁論のための財源として活用しようということ」とし「お金を分けようという趣旨ではない。当事者たちにすべて説明し、みな快く同意した」と話した。

(中略)

ただし、この時約定した被害者5人のうち3人が亡くなった。このような中で遺族の一部が3月に発表した政府解決策に賛成し、先月日帝強制徴用被害者支援財団から判決金約2億ウォンを受け取ったことが分かった。外交筋は「このため、支援団体が約定書を根拠に判決金交付を要求することもあり得る」と話した。政府の解決策には反対しながら判決金の一部を要求する場合、議論が予想される。また、政府案に反対して内容証明まで送った生存者1人が考えを変えることを考慮していることが分かると支援団体が受け入れ意思を撤回せよという趣旨の手紙を送ったりもした。この団体は「この戦いを国民が見守っている」「私たちが最後まで共にします」と話した。ただし、これに対して支援団体は「被害当事者だけの孤独な戦いに放置しないという議論があっただけ」と反論した。



朝鮮日報「[단독] “징용 배상금 받으면 20% 내라” 지원단체, 피해자와 11년전 약정([単独]「徴用賠償金を受け取ったら20%支払え」支援団体、被害者と11年前に約定)」より一部抜粋

弁護費用を賠償金の何割かで支払うというのは別段珍しいことでもないのですけど、事業への寄付を強要しているかのような形態はどうなんでしょう?
私には「寄付」という形を取ったピン〇ネに見えますが、言い方悪いですけど。

また気になるのがこの「約定」が代位弁済にも適用できるのか、という点です。原文でも「約束」ではなく「約定(약정)」となっているので書かれた約定書は法的効力があるものなんでしょう。
しかし原資が「三菱重工業が支払った賠償金」にのみ限定されるものだったら、代位弁済で支払われたものには適用されないかもしれません。

今分かっているだけで代位弁済を承諾した原告は10人で支払われる金額は1人当たり2億~2億8千万ウォン、単純に日本円に直すと2千万~2千8百万円です。その20%ですから、1人当たり400万~560万円。総額だと4千万~5千6百万円です。結構な額ですよね。

代位弁済は既に支給が始まっているはずですが、記事の書き方からするとお金は受任者代表にではなく、原告に直接渡っているようですがはてさて...。