韓国の対中消費財輸出の減少傾向は10年前から…半導体増加分が穴を埋めてただけという話

昨年5月以来、韓国の対中貿易は悪化し続けています。国交正常化以降、27年9ヵ月の間で韓国の対中貿易収支が赤字に転落したのは昨年5月が初めてのことです。
9月にはわずかばかり黒字に戻ったものの、10月から再度赤字に転落、以降、現在発表されている4月実績分まで全て赤字です。

韓国政府と主流メディアは基本的にこの流れを「世界的な景気低迷に伴う半導体不況」と判じていました。もちろん、一部メディアからは貿易構造の変化を指摘する声も出ていましたが、主流意見と言えるほどの勢いは無い印象でした。
しかし本日、ハンギョレが出した記事によると、対中貿易で減少しているのは半導体だけではなく消費財全般に渡っており、こうした現象は10年前から始まっていたものの、半導体輸出の増加分がその減少分を埋め合わせてしまっていた、とのこと。

 



ハンギョレの記事からです。

対中輸出不振、半導体のせいではない…「韓国産消費財」の競争力下がる


昨年6月、関税庁が「5月対中貿易収支」を発表すると韓国経済界は大きな衝撃に陥った。中国との貿易で27年9ヵ月ぶりに記録した初の赤字だったためだ。以後、対中貿易収支は昨年9月を除いて4月までずっと赤色を維持している。今年に入って4ヵ月間で記録した対中赤字だけでも計78億ドル(約10兆2000億ウォン)に達する。

(中略)

短期的に見ると、対中赤字の最も大きな原因は「半導体業況不振」だ。関税庁の輸出入貿易統計を見ると、半導体を含めた電子集積回路(HS品目コード8542)の今年1~4月の対中輸出額は98億ドルで、昨年同期(171億ドル)の57.3%水準に減少した。黒字額の減少はさらに激しい。電子集積回路の今年1~4月の黒字額は41億ドルで、昨年同期(94億ドル)の半分以下に落ち込んだ。韓国の取得輸出品である「PC用DRAM汎用製品」の価格は昨年7月の1個当たり4.10ドルから10月には2.21ドルに下がり、今年に入ってからは1ドル台に下がった。世界的な景気下落で情報通信(IT)不況が続き、半導体価格が下落し、対中赤字が続くわけだ。

もちろん、半導体価格が回復すれば韓国の対中貿易収支は一定程度改善されるものと見られる。しかし中身を覗いてみると問題は簡単ではない。電子修正回路は韓国の対中輸出の25~30%を占めるが、これを除いた対中貿易実績が悪化し続けているためだ。

関税庁の統計によると、昨年の電子集積回路を覗いた対中輸出額は1069億ドルだった。これは2013年の同じ条件での輸出額(1280億ドル)より211億ドルも減ったものだ。同期間、電子集積回路の対中輸出額が178億ドルから488億ドルへと310億ドル増加し、この減少分を埋めていた。チ・マンス韓国金融研究院選任研究委員は「韓国輸出で半導体比重があまりにも高く実績も良いため、対中輸出が良好だという一種の錯視効果があった」と話した。

この10年間で何があったのだろうか?まず、対中輸出で消費財の存在感がほとんど無くなった。韓国の代表輸出品である自動車・スマートフォン・電子製品などは適当な品質と低価格を備えた中国製に代替された。食品・衣類が善戦しているが、中国産が急速に追撃しており見通しが明るくない。中国輸出の9割を占める中間財の輸出も減少傾向にある。10年以上韓国の対中輸出額上位5位圏を維持してきた「電気機器などと部品」、「光学機器などと部品」、「有機化学品」、「機械類などと部品」、「プラスチックとその製品」のうち半導体が含まれた「電気機器など」の輸出額が480億ドルから724億ドルに50%以上増えたが、他の3品目は輸出額が減少した。半導体を除いた核心消費財と中間財が足踏みしたり後退したのだ。

結局、対中輸出不振の根本原因を中国の技術力・競争力向上から探さなければならないという声が高い。中国は米国の全方位圧迫に対抗して輸出より内需を中心に置く「双循環政策」を展開し、消費財はもちろん半導体·自動車部品など中間財の国産化に力を入れている。現代経済研究院は先月末に出した「対中国交易構造変化と示唆点」という報告書で「中国は低技術製造業競争力が1990年から2020年の間に2倍増加し、高技術製造業競争力は同期間29倍上昇した」と評した。



ハンギョレ「대중 수출 부진, 반도체 때문 아냐…‘한국산 소비재’ 경쟁력 뚝(対中輸出不振、半導体のせいではない…「韓国産消費財」の競争力下がる)」より一部抜粋

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「中国の産業競争力が上がっただけでなく、ユン政権の親米日、反中政策が決定的な原因を提供した。ユンは基地外じみてるから...外交はどちらか一方に偏ればいいのか…クネに勝るとも劣らない情けない奴。」(共感72 非共感27)

「1号営業マン、ユン・ソンニョル!一般企業だったら左遷ないし罷免だ。バカ、問題は経済だよ!労使の悪魔化、今や全教祖のスパイ攻撃に血眼になっている。検察・警察を前面に出して第5共和国*1の頃に回帰しようとしている。間もなく最後の幕開けに入るんだ!!!」(共感22 非共感5)

「何言ってるの。 ユン·ムヌンが脱中国のような駄々をこねるからだけど」(共感15 非共感8)

「韓国の製造業が発達し固有品目(カメラ、ゲーム機など)でなければ輸入しなくなった。中国も同じだ。製造品の大量化と安価な単価で韓国品目の競争力が落ちる。技術流出を防止し、我が国だけの高技術力製品が必要」(共感6 非共感0)



*1:全斗煥大統領のころ。