鉄筋抜けマンション全数調査する話

今年4月に発生した建設中マンションの地下駐車場崩落事故により明らかになった鉄筋抜け...いわゆる「骨抜き」マンション。連日、関連報道が続いており、大きな社会的関心事となっています。
住宅公社が発注した無梁版構造マンション91ヵ所中15ヵ所で鉄筋抜けが新たに確認されると、同じ無梁版構造を採用している民間293のマンションの全数調査が行われることになりました。このブログでは取り扱いませんでしたが、実は昨年1月に外壁の崩落事故があった光州のマンションも住居部に無梁版構造が採用されていたのだそうです。
住宅公社発注のマンションは無梁版構造が駐車場部のみに使用されているのに対し、民間マンションの一部は住居部にも使用されており、さらに検査対象の64%はすでに入居済みという状況。結果次第では相当な混乱が起こりそうです。

 



聯合ニュースの記事からです。

全数調査293の民間マンションのうち一部は住居棟にも無梁版を採用


(前略)

1日、国土交通部によると2017年以降に竣工した全国の民間マンションのうち無梁版構造を採用した団地は293ヵ所だ。

このうち105団地は現在工事が進行中であり、188の団地はすでに入居を終えた。

韓国土地公社(LH)発注のマンションは地下駐車場にだけ水平柱である梁を無くし、柱が直接スラブ(コンクリート天井)を支える無梁版構造を使用した。

地下駐車場の上部に住居棟がないため政府は鉄筋抜けが確認されたLHマンションに対して住居の安全が懸念される状況ではないと明らかにしている。

しかし、全数調査対象の民間マンションは地下駐車場はもちろん、住居棟にも無梁版構造を使用したところが混ざっている。

(中略)

国土部は今月中に293のマンション団地の点検日程と方法を明らかにした後、本格的な点検に入る予定だ。
点検結果が出れば波紋は相当なものと予想される。

(中略)

ある建設業界関係者は「無梁版構造に罪があるのではなく、その構造をきちんと設計・施工・監理できなかった韓国建設業界の実力に問題がある」と話した。

(中略)

政府は2017年を点検基準に定めた理由について、LHが本格的に無梁版構造を導入したのが2017年であるためだと説明した。

また、通常マンションは竣工後2~4年周期で精密安全点検を受けるため、2017年以前竣工のアパートは精密安全点検を一度以上経たと見て全数調査対象から除外した。

(後略)



聯合ニュース「전수조사 293개 민간아파트 중 일부는 주거동에도 무량판 채택(全数調査293の民間マンションのうち一部は住居棟にも無梁版を採用)」より一部抜粋

全数検査の対象が2017年で区切られているのには、ムン政権期間であったことも関係あるのではないか、との見方もあるそうです。行政としての責任をムン政権に押し付けようとしているというものです。


「きちんと設計・施工・監理できなかった韓国建設業界の実力に問題」、これは別に技術水準が低いとかそういう問題ではなく、不正・不良に対する意識の問題、または安全性への認識の問題と言えます。「これくらい大丈夫っしょ」という甘さです。「みんなやってるし」という勝手な解釈です。なんのための基準なんだか...。
最近、シンシアリーさんの著作の一部がSPAに掲載されていまして、その内容が「遵法精神の弱さ」をテーマにした部分だったのですが一脈通じるものを感じます。