韓国建設業界における下請け構造と監理問題の話

連日大きく報じられている「鉄筋抜け(骨抜き)マンション」の話題ですが、問題の根本として下請け構造と監理問題が上げられています。
建設業界において、下請け構造が品質問題の背景にあるという指摘です。設計段階で再下請けが行われており、施工工程でも不法下請けが横行していることが明らかになっています。これにより、工事費の節約が重視され、工事費の払落し(値切り)や賃金未払いなどが発生し、熟練の技術者が仕事を受けなくなってしまっていると。その結果、品質と安全に影響を及ぼしているという指摘です。
また、韓国土地公社(LH)では、退職者が監理業界に再就職することにより、その経歴や前職の関係性が業界の問題に繋がっているとも見られています。

 



文化日報の記事からです。

コスト削減圧力で下請けに再下請け...「後進的慣行」建設現場


(前略)

2日、建設業界と専門家などによると、設計から施工まで不良が発生する背景に下請け構造が位置しているという分析が提起されている。

設計段階では建築法により、建築物設計は建築士資格が無ければならない。発注元から設計用役を与えれば、設計を総括する建築士は再び構造技術士に構造設計を再下請けで与える。これに止まらず、現場で構造技術士が経験の少ない下級職員に仕事を任せてしまうと、構造設計を図面に移す作業に対して再々下請けを与える場合などが知られた。設計品質管理がまともに機能しないシステムであるわけだ。

施工工程では不法下請けが横行している。国土交通部は5月23日から60日間、292の現場を取り締まり108の現場で183件の不法下請けを摘発した。特に無資格業者に下請けを任せた事例が125件に達した。国土部は今月中に違法下請け取り締まりを続ける計画だ。このような下請け・再下請け構造に原材料価格上昇の中で工事費節約圧迫などが重なり品質と安全は後回しにされているという指摘だ。費用を節約しようとした結果、熟練した技術者を使うことが難しく、熟練工たちは報酬の低いマンション現場を避けることになるという意味だ。さらに、この過程で工事費の払落しや賃金未払いなどが発生し、これに不満を抱いた下請け勤労者たちが入居を控えた新しいマンションを毀損する事例も発生した経緯がある。

不動産好況の中でアパート建設は増えたが、設計から監理までの技術力はこれを後押しできなかったという評価も少なくない。鉄筋漏れが明らかになった韓国土地住宅公社LH)マンション15団地のうち、設計ミスが確認されたのは10ヵ所だった。このようなことが発生する原因としてLHの標準設計を受け、詳細設計を担当した用役設計事務所の技術と経験不足が取り上げられている。

(後略)



文化日報「비용절감 압박에 하청에 재하청… ‘후진적 관행’ 건설현장(コスト削減圧力で下請けに再下請け...「後進的慣行」建設現場)」より一部抜粋

冒頭部分、何を言っているのかよく分からない文章になっています。元の文章が分かりにくいのか、私の訳が悪いのか…は、ともかくとして、以下にまとめますと。
発注元から設計作業を依頼(一次下請け)されると下請け(二次下請け)に丸投げしてしまう。さらに、下請け(二次下請け)はその下請け(三次下請け)に丸投げしてしまう。このときに、技術力の低い職員が仕事を任されるなどで、まともに品質管理が出来ていない、という指摘です。
とは言え、普通どの段階の下請けだろうが資格は持っていないとダメなはずです。下請けを使うことが品質管理不良の直接の問題になることは本来ないはずですが...。


もうひとつ、業界の構造的な問題として指摘されているのが日本でいう「天下り」です。韓国土地住宅公社LH)が発注する選定業者は全てLHの元職員が再就職した業者となっているとのこと。

 

 



同じく文化日報の記事からです。

LH退職者が掌握した監理業界...「受注のことを考えると難しくできない」


(前略)

LHアパート鉄筋漏れの背景に、LH前官カルテルが位置しているという批判が提起された中で、建設・エンジニアリング業界の事情に詳しいある関係者は2日「監理業界はLHや道路公社など官や建設会社で数十年経歴を積み、退職した方々が仕事するところ」と説明し、このように話した。職員だけで9000人に近い「恐竜」組織LHでは、毎年退職者があふれ出て来るが、監理業界はこの退職者が仕事をしながら60~70代を過ごす「2次職場」に固まったということだ。LH前官問題は、昨年11月に新社長に就任したイ・ハンジュン社長が先月31日「どの業者を選定してもLH前官が入っていた」と吐露したほど、すでに根が深く広範囲に広がっているという指摘だ。

(中略)

国土交通部によると、最近発表した鉄筋漏れLHマンション15団地の監理業者のうち1社は2019年にLHを退職したA氏が建てた業者だ。LHマンションの供給が多い京畿地域に事務所を置き、LHマンション監理を集中的に受注した。そのうち2カ所が今回の鉄筋漏れマンションに含まれた。2017年に退職したB氏は、ある大型建築事務所に社長級として迎え入れられた。同社も鉄筋漏れマンションのうち2カ所を監理した。業界では「このような事例が決して特別ではない」と口をそろえる。

(後略)



文化日報「LH 퇴직자가 장악한 감리업계…“수주 생각에 까다롭게 못해”(LH退職者が掌握した監理業界...「受注のことを考えると難しくできない」)」より一部抜粋