虚偽の売買契約によって不動産価格を釣り上げていた事例が一部発覚した話

2020年から2021年に掛けて、韓国ではマンション価格の高騰が大きな関心を集めました。

日本の場合、不動産の取引において登記手続きや固定資産税関連の手続きで必要な書類というのはありますが、不動産の取引行為そのものを申告する義務はないはずです。(あったらすみません。が、少なくとも私は思いつきません)
韓国ではこれが2006年から義務化されています。二重契約などのトラブルや不動産取引の透明化を目指してのことだそうです。

実はこの報告(不動産取引管理システム)を利用して価格のつり上げ行為が行われていたようです。新高値で売れたかのように報告し、他の人に仲介した後でその報告を「取り消す」という方法です。これらは不法行為には当たりません。

 



毎日経済の記事からです。

「え?最高価格で売れた家、いつキャンセルになった?」信じられない新高値


(前略)

2020~2021年、恐ろしくマンション相場が急騰しました。先を争って新高値価格が出ましたが、一部の団地では「こんなに高いのにまた上がるの?」との言葉が出るほど高値が押されました。ところが、これらの高値価格の一部は遅れて取引解除されたことが分かりました。すべての高値価格が「疑惑取引」とは見なせませんが、呼び値を引き上げるための「ニセ高値価格」も多いという疑惑が提起されました。これに伴い、政府が高値価格取引解除に対し調査を始め、実際に「ニセ高値価格取引であることが明らかになった」と明らかにしました。

国土交通部が12日発表した「虚偽解除高値による相場捜査集中調査」の中間結果によりますと、京畿道楊州市(36件)、始興市(29件)、華城市(27件)などで実取引価格を引き上げる疑い事例が多いことが分かりました。ソウルでは瑞草区(25件)と江南区(24件)の疑い事例が多かったです。
これは韓国不動産院が2021年1月から今年初めまで申告された不動産売買取引を分析した結果です。

高値価格で取引した後、すぐにキャンセルすると呼び値に反映されません。そこで「疑い取引」は高値価格を取引した後、直ちに取り消すより6ヵ月後に取り消す方式で巧妙に進化したことが分かりました。高値価格を取引登録した後、人々に「このように相場が上がった」と知らせ、その後これより高い価格で取引を誘導し、6ヵ月後にこっそりと取り消す方法です。

(中略)

契約後3ヵ月以内の解除は2021年の第1四半期に88%から、2023年の第1四半期は41%に減りました。しかし6ヵ月後の解除は2021年の第1四半期の1.7%から2023年の第1四半期には44.3%に増えました。

(中略)

不動産の実取引申告は取引から1ヵ月以内に行われます。住宅取引契約が取り消された場合も、実取引システムに申告する必要があります。虚偽で高い価格の実取引価格情報を登録した後、契約を取り消す方式(自転取引)で市場価格かく乱が起きかねないという理由から政府が実取引解除申告も登録するようにしました。

しかし取引がなされ取引解除がなされるのは民間の領域なので「いつまで」の解除申告を許容するという法律はありません。そのため直前の高値価格取引が6ヵ月後に「解除」されても不法ではありません。

(後略)



毎日経済「“어? 최고가 찍은 집, 언제 취소됐지”...믿지못할 신고가 [매부리레터](「え?最高価格で売れた家、いつキャンセルになった?」信じられない新高値)」より一部抜粋

記事で事例を2件紹介していました。
1件目は平均相場2億4000万ウォンの住宅を親戚に3億1500万ウォンで売却したと申請したケースです。この人は別の相手に「こんな高値で取引された」と伝えて今度は3億5000万ウォンで仲介し、しばらくしてから最初の親戚に提示した3億1500万ウォンの方の「新高値価格取引」を解除しました。

2件目は本人名義の不動産を高値価格で買ったと申請して、より高値で仲介してから取り消したというケースです。

本人名義の不動産を本人が買ったと申告できるとは...システム自体がザルですね。「取り消し」が出来るのは、実取引の報告ではなく「契約」段階で申請するからでしょう。その後、価格を釣り上げて一番高値を付けた人に売るということが可能になります。
オンラインで申告できるようですし、実際の取引が無くても簡単に申告できる上、チェックもされていないんでしょう。

また「高値」を付けることがセールスポイント(不動産の価値)と見なされるのですから、買い手側も価格が上がることを求めて購入しているわけで投資目的でしょうね。

しかしこんな手口、自分で考え付くものでしょうか?情報商材などで出回ってるとか?