韓国で開催中のスカウトジャンボリー、運営不良により継続困難...最大参加国の英国に次いで米国、シンガポールと続々離脱の話

世界スカウト機構主催の国際キャンプ大会(スカウトジャンボリー)が韓国のセマングムという所で開催中(12日まで)でしたが、早期終了の危機にあります。これを書いている時点でまだ結果は出ていないんですけど、このまま続けるか、中止(早期終了?)するか、組織委員会が協議しています。
今のところ、すでに最大規模の参加国である英国、次いで米国とシンガポールが退所を決定し、ドイツとベルギーも早期撤退を検討中とのことです。

大きな原因は暑さということになっていますが、運営側の準備不足・運営力が本質的な問題ではないか、との指摘が相次いでいます。なにしろ、正確な参加人数すら把握できていないらしいです。
関連予算は当初491億ウォン(約49億円)→938億ウォン(約93億円)と倍増しているのに、そのお金はどこに使ったのかや、関連省庁から関係者がスイス、イタリア、オーストラリア、米国などに出張に行ったのは何だったのか、などの批判も出ています。

中には8年前の2015年に日本で開催されたときの様子に触れ、今回の事態は「予期されたもの」だったとも。ちなみに、このときの日本の総予算は38億円となっています。

 



韓国日報の記事からです。

8年前、日本で鳴った「警告音」を聞いても...相対的混乱ぶりを見せたセマングム・ジャンボリー


全羅北道扶安郡セマングムで行われている第25回世界スカウト・ジャンボリー(4年ごとに開かれる世界青少年キャンプフェスティバル)の運営が尋常ではない。開幕2日目にも200人を超える「温熱患者」が続出した。

(中略)

3日、組織委員会によると、前日にも207人(午後10時基準)の熱中症患者が出た。同日午後8時から開かれた開会式では100人以上の参加者が眩暈などを訴えて病院を訪れ、ついに消防当局は対応2段階を発令し、組織委員会側に行事中断まで要請しなければならなかった。

猛暑が避けられない側面はあるが、連日数百人の熱中症患者が殺到し組織委員会はずさんな対応体系をそのまま露出した。

(中略)

干拓地きらら浜で開催された日本の世界ジャンボリーでも40度に迫る気温と80%を超える湿度で熱中症、脱水、やけどなどを訴える患者が多数発生した。参加者3万3628人のうち3247人(10.4%)が病院を訪れたほど相当な困難を経験した。8月の猛暑と木一本無い干拓地、高い湿度と虫問題などセマングムが十分反面教師にするに値する。

しかし猛暑に備えて組織委が準備した施設は日除けや蔓のトンネル、シャワー場、給水台などの水分供給施設が全てだった。それさえも新型コロナウィルス感染症(COVID-19)事態を理由に施設工事が遅れ、蔓トンネルは開催辞典まで完工せず臨時テントを設置しなければならなかった。事前点検は思いもよらなかった。また4万人以上が集まったが備えた病床は50床しかなく、押し寄せる温熱患者を収容するには力不足だった。

(中略)

組織委はこれまで正確な参加人数さえ集計できなかった。前日基準で世界ジャンボリー・ウェルカムセンターを通じて登録した参加者は2万9000人余りで、最大9000人程度が登録されていないものと見られる。組織委員会は開会式に4万人、ジャンボリー・キャンプ場内に4万1000人余りが居ると推定するだけだ。

さらに、どれだけ患者が発生したのかも分からない。患者発生現況を測定する電子義務記録(EMR)システムは依然として試験稼働中であり、前日発生した992人の患者の内、207人が猛暑が原因になったというのが組織委員会が持っている統計のすべてだ。

現況把握が不十分なため、医療人材の確保もおおざっぱに行われている。組織委員会は追加温熱患者の発生に備え、医師30人と60人の漢語人材を確保する計画だと発表したが、具体的な基準がなんなのか合理的な回答を出していない。

(後略)



韓国日報「8년 전 일본서 울린 '경고음' 듣고도... 총체적 난맥상 드러낸 새만금 잼버리(8年前、日本で鳴った「警告音」を聞いても...相対的混乱ぶりを見せたセマングム・ジャンボリー)」より一部抜粋

まあ、日本は無事日程を消化しましたけどね。
当時のネットニュースを見てみましたが、特に混乱した様子を伝えるものはありませんでした。だから「反面教師」にはならなかったのかもしれません。しかし参考にはなったはずなのに...スイス、イタリア、オーストラリア、米国に行く方が楽し...参考になると思ったんでしょうか?日本よりスカウト文化が盛んですしね。


記事中で出て来る「病院を訪れた」ですが、こう聞くと「周辺の医療機関を受診した」あるいは「救急搬送された」と受け取るかもしれませんけれど、正確には「救護所を訪れた」の意です。少なくとも日本で開催されたときの3247人はそうです。
日本で開催されたときは、中央救護所1ヵ所と応急手当を行うファーストエイドポイント4ヵ所が設置され、20ヵ国の医療関係者200人が待機しており、中央救護所利用者がのべ3247人だったそうです。(参考


一部ではこの件で「国格」がどうとか、「国際的な恥」という側面で非難する声もあります。そんなこと言ってる場合じゃないでしょうに...。政治的には「準備してきたのは前政権」と、ムン政権のせいであるかのような無責任発言があったりと、こっちの方が「恥ずかしいこと」じゃないかと感じます。
本質的にはこうした「無責任」の蔓延が原因じゃないですかね?