中国「自国内優先供給」のために尿素の輸出自制を要請...韓国の対中尿素依存度は2年前に比べ71%→91%に増加という話

2021年に尿素水の供給難が起こったことを覚えてますでしょうか?と言っても、日本ではほとんど問題になりませんでしたが、お隣の韓国では「尿素大乱」と呼ばれ社会的混乱が起こりました。(一部、日本のオークションサイトに外国向けにアドブルーが出品されたりしてた覚えがあります)

原因は中国の尿素輸出が止まったことです。2020年5月にオーストラリアからの石炭輸入が止まった(豪のクアッド加入が発端)ことにより、中国国内での石炭需給バランスが崩れ、石炭から作られていた尿素の製造にも支障を来したとされます。
尿素水はディーゼル車に必須です。2021年には輸入全体の71%を中国からの輸入に頼っていた韓国ではディーゼルの普及率も高くクリティカルヒットを食らいました。輸入先を多角化しようにも、他の国も余裕のある状況では無かったためおよそ2ヵ月に渡り、かなり大きな問題として扱われていました。

それから約2年。中国が再び「自国内優先供給」のために尿素輸出企業に輸出自制を要請したことが分かり「第2の尿素大乱」が警戒されています。
しかし何と、この2年で韓国の中国への尿素依存率は減るどころか逆に増しているのだそうです。

 



東亜日報の記事からです。

尿素水の中国依存率71%→91%...中国の輸出クォーター制の兆しにまた品薄懸念


(中略)

チョン・ジェホ駐中韓国大使は4日、北京駐在韓国大使館で開かれた定例ブリーフィングで「先月17日、中国窒素肥料供給協会が会長会社に窒素肥料(尿素肥料の上位概念)の輸出を自制し、中国国内に優先供給することを要請する文書を発表した」とし「以後同月30日に実際の通関困難が確認された」と明らかにした。彼は「1日、中国国家発展改革委員会と関税庁、商務部、外交部に尿素輸入問題を提起し、師匠の無い通関を要請する公文書を発送した」とし「中国側は公文書受付当日に『関連内容を把握し、必要な後続措置を講じる』と答えた」と伝えた。

さらに中国政府は尿素輸出量を国別に制限するクォーター制まで検討しているという。国内にある尿素水輸入・流通企業関係者は「中国肥料業者などから輸出クォーター制関連内容を直接伝達されたことはない」として「ただし、2024年からクォーター制を施行するという現地報道が最近出てきており、私たちもまず施行すると見ている」と付け加えた。

(中略)

政府は2年前、尿素水大乱を経験しても確実な対策をたてられず尿素水危機が繰り返されているという指摘が出ている。

(中略)

2021年の尿素水大乱以後、政府は特定国に対する輸入依存度が高い4000余りの品目を対象に早期警報システム(EWS)を稼働し、200品目は経済安保核心品目に指定するなどの対策を出した経緯がある。

しかし、尿素を含めた核心品目の場合、国内備蓄物量と生産基盤を拡大し輸入先も多角化して供給を安定させるという計画が、実際には遅々として進まないという指摘だ。サプライチェーン安定化委員会を新設し、経済安保の観点からサプライチェーン管理に乗り出す内容の「経済安保のためのサプライチェーン安定化支援基本法」は昨年10月に発議されたが、1年3ヵ月の間国会に係留中だ。関税庁によると2021年に71%だった車両・産業用尿素の中国輸入比重は、昨年は67%と小幅に下がったが今年1~10月に再び91%まで高くなった

(後略)



東亜日報「요소수 中의존 71%→91%… 中 수출쿼터제 조짐에 또 품귀 우려(尿素水の中国依存率71%→91%...中国の輸出クォーター制の兆しにまた品薄懸念)」より一部抜粋

人間は「目に見えないモノ」を怖がります。逆に言うと「目に見えるモノ」、あるいは「目に見えた時点」で怖くなくなります。
正確には「不安が無くなる」と言った方が良いかもしれません。見えないと不安だけが膨張していきますが、見えるとそうでもない…だから脅威や危機を認識できた時点で安心するようです。備えてなくても。

多分ですけど、使う脳の回路が違うんだと思います。リスクを認識する回路と、それを回避する回路と。それらが連携して動く(リスク認識後、速やかに回避回路に切り替わる)必要があるのですが連動しない人たちが居るようです。(問題解決能力の高さとは、もしかしたらコレのことかも?)
連動しない人たちは「リスクを認識」した時点でタスクが完了して「安心」してしまうのかもしれませんね。