韓国、「アルテミス計画参加拡大」と言いつつ何も決まっていない…NASA提案のキューブサット搭載も断っていたという話

日本の小型月着陸実証機「SLIM」の成功について、韓国メディアもいくつか注目しています。
まあ、当初は「60点成功」だけを大げさに取り上げて「失敗」と受け取れるようなニュアンスで報道していた所もありましたが、それもひと段落すると専門家の声を報じた外信記事を引用する形でその「成果」を認める報道が増えてきたように思います。

それと同時に、韓国の宇宙開発事業の実態に目を向ける記事が出てきました。主にNASA主導の下、グローバルパートナーたちが参加する「アルテミス計画」についてのものです。
その中で「キューブ衛星(キューブサット)」という重さ数キロ程度の小型衛星を搭載する計画があるのですが、NASAが「予算と衛星を出すなら載せて行くよ」と提案したのを韓国側が「予算が無い」と断っていたことが分かったそうです。

キューブ衛星は小型ですし、数百万程度で作成が可能です(日本ではJAXAとの共同プロジェクトで学生が製作するキューブ衛星の費用1000万をクラファンで集めてます)。
NASAが費用として提示した予算は約100億ウォン(約10億円)。
正直、何をケチってるんだ?ケチってる場合か?という気がします。

 



聯合ニュースの記事からです。

米「月にキューブ衛星を送る」提案に...韓国「予算が無い」と拒否


(前略)

26日、宇宙分野の複数の関係者によると、米航空宇宙局(NASA)は昨年10月末、韓国をはじめアルテミス計画に参加する国々に、現在開発中の「アルテミス2号」に各国のキューブ衛星を載せて月に送るプロジェクトを提案した。

(中略)

NASAは宇宙飛行士を乗せて月軌道を回ることを目標とするアルテミス2号に余剰スペースが確保されると、協力強化のために各国の機関や企業に月探査のキューブ衛星登載を提案したという。

約100億ウォン規模の費用とともにキューブ衛星を製作して調達すれば、これを載せて月に送るということだ。

宇宙分野のある関係者は「キューブ衛星の大きさなどは分からないが、月に衛星を送る予算としては高いとは言えない」と話した。

しかし、このような提案を受けた科学技術情報通信部は、時間が差し迫っていて予算を確保するのが難しいとし、NASAに参加が難しいと返答し、結局参加できないと通知したという。

(中略)

科学技術情報通信部の関係者は「開発先を探すなど検討をして予算を作成しなければならないが、10月末には国会常任委の審査に入らなければならない状況」とし「優先順位的に他のものが多く、最終反映されなかったようだ」と説明した。

宇宙産業界では、政府が宇宙航空庁の開庁と相まってアルテミス計画参加プロジェクトなどを具体化するというのとは異なり、このような機会を逃すなど依然として参加意志が無いのではないかという批判が出ている。

宇宙企業のある高位関係者は「20年前、米国が国際宇宙ステーションを作る際も、韓国は予算を理由に参加できなかったが、ここに参加したカナダは宇宙ステーションロボットアーム分野で独歩的な技術を持ち、今は米国がプロジェクト参加を懇願するようになった」として「今回のように、このような機会を逃せば米国が指定する『ティア1(最上位)』グループに入る機会が無いだろう」と指摘した。

政府は宇宙分野の育成を強化すると言ったが、最近、研究開発(R&D)予算削減で宇宙分野企業を支援する「スペースイノベーション」事業などが大幅に削減されるなど、現場では全く違うように感じているという声も出ている。

(中略)

科学技術情報通信部が今週、海外出張の途についたチョ・ソンギョン科学技術情報通信部1次官がNASAを訪れアルテミス参加拡大を議論すると明らかにしたが、依然として具体的な協力計画は出てこないという批判も出ている。

イ・サンリュル韓国航空宇宙研究院院長は最近、科学記者団対象懇談会で「アルテミス計画参加議論を始めたのが2017年からだったが、まだ特別な計画がないのが事実」と話しもした。



聯合ニュース「美 "달에 큐브위성 보내주겠다" 제안에…한국 "예산 없어" 거절(米「月にキューブ衛生を送る」提案に...韓国「予算が無い」と拒否)」より一部抜粋

韓国がアルテミス合意(アルテミス協定)に署名したのが2021年7月。ユンさんがNASAを訪問し、アルテミス計画に「本格的に参加」を表明したのが昨年5月。
2026年に延期になりましたが、この時点では2025年以降の予定で有人探査がすでに計画されていたというのに、そもそもが遅すぎませんか?


ところで、カナダが国際宇宙ステーションへの参加を機に技術躍進があったことは素晴らしいことと思いますけれども、韓国の理由は何か違いませんか?この書き方だと、なんというか「米国の最上位グループ」に入ることが目的みたいに聞こえます。
米国から「ラブコール」を受ける存在になりたい...そんな願望が透けて見えるというか。

そうではなくて、宇宙開発分野において「韓国」という国の立ち位置を確保しないといけないんじゃないでしょうか?
「ルールを決める側」や技術的な「デファクトスタンダード」としての「韓国」の存在意義。もっと言ってしまうと「利権」です。後進組はどうあっても不利ですし、韓国が独力でこれだけの大規模宇宙開発プロジェクトを実行できるはずがありません。
乗せてもらえるときに乗ってしまうべきなのではないか、そんな気がします。

それとも、中国かロシアあたりに入れてもらうつもりでしょうか?