韓国の過去の成長方式は「対中輸出と家計負債拡大の内需浮揚」...韓国メディアで初めて(?)触れた話

「25年ぶりに韓国が日本に押された」...ここ2~3日、この手の記事をよく見ます。最初に予測値が出たときにも騒がれていましたが、いよいよ現実的になったことで改めてその意味を考えているようです。

成長の話です。去年の韓国の成長率は1.4%(確定値)と出ました。日本の成長率は2.0%と予測されているので、それで「25年ぶりに負けた」と書き立てているのです。
が、成長率はあくまで「率」です。比較対象は1年前の自国です。成長率で日韓が入れ替わったところで、正直「別に」が私の感想なのですが、韓国メディアの書きっぷりを見ていると、なんとなく「経済ではすでに日本を超えた」という意識が強くあったのかな、という気がします。

25年間、日本より経済成長が高かったのに、GDPでは未だに追いつけていないという現実の方がショッキングではなかろうかと思うのですけどね。

 



マネートゥデイの記事からです。

25年ぶりに韓国を制覇、日本の一針…「低成長は半導体のせい?本当の問題は」


28日、韓国銀行と外信によると、昨年の韓国の成長率は1.4%で、米国(2.5%)、日本(予測値2.0%)より低かった。

一般的に、一国の成長率は経済規模が大きくなるほど低くなる。2022年基準の韓国の名目GDP国内総生産)は1兆6733億ドルで世界13位の水準だ。1位の米国(25兆4627億ドル)、3位の日本(4兆2256億ドル)と比べて経済規模が小さい。

(中略)

日本は昨年、円安の影響で輸出競争力が強化され、外国人観光客の急増で消費も良好な姿を見せた。

米国経済は昨年2.5%成長した。昨年の第3四半期と第4四半期の成長率はそれぞれ年率4.9%、3.3%の高い水準を記録した影響だ。

(中略)

昨年の成長率が逆転したのは、米国・日本の経済状況が良かったからというよりは、韓国の経済的困難が相対的に大きかったためだ。高物価・高金利の長期化はグローバル経済全般に悪影響を及ぼしたが、韓国が受けた打撃が特に大きかったという意味だ。

最も直接的な原因は半導体業況不況にともなう輸出不振だ。

(中略)

しかし、半導体業況の不況だけで成長率の逆転を説明するのは難しいという指摘が出ている。日本経済新聞(以下、日経)は最近、韓日成長率逆転の事実を報道し、韓国の構造的問題点を指摘した。中国の急速な成長に依存してきた経済構造、少子高齢化および生産性低下などで韓国も低成長を憂慮する状況だということだ。

(中略)

ハ・ジュンギョン漢陽大学経済学部教授は「中国を対象とした輸出、家計負債拡大を通じた不動産中心の内需浮揚など、過去の成長方式がこれ以上うまく作動しない状況になった」と話した。続けて「政府がデバレッジング(負債縮小)しながら、その過程で生じる内需委縮の可能性は財政を活用して対応する必要がある」として「グローバルサプライチェーン再編変化の過程での適応努力、新しい成長動力を探す努力も必要だ」と話した。



マネートゥデイ「25년만 한국 제친 일본의 일침…"저성장이 반도체 탓? 진짜 문제는"(25年ぶりに韓国を制覇、日本の一針…「低成長は半導体のせい?本当の問題は」)」より一部抜粋

韓国経済の成長原動力は「対中貿易」という話は、今までも無かったわけではありません。対中貿易が赤字になったあたりからチラホラ指摘記事を目にすることはありました。
また、その中(主に保守系メディアですが)には中国の構造変化に言及するものもありました。今まで韓国からの輸入に頼っていたものを内製できるようになった、という指摘です。

しかし、その中にも「家計負債という借金で内需経済を回していた」と指摘した記事は無かったと思います。ある種のタブーだからでしょう。この点に踏み込んだ初めての記事かもしれません。少なくとも私は初めて見ました。


今までの流れでは「中国と韓国の経済構造の変化」との主張が主流になることは無く、韓国政府をはじめ多くのメディアは「中国のリオープニングで元通り」「半導体需要が回復すれば元通り」の見方を変えませんでした。
ところが、昨年上半期に中国がリオープニングしても、下半期に入っても韓国経済は浮揚せず。こうなってようやく「やっぱり何かおかしいんじゃないか?」という目を向け始めたようです。

しかし気が付いたとして「では、どうすればいいのか?」を見つけられるのかが問題です。
簡単にそれが出来るなら、そもそもが今のような状況になってないでしょうからね。