日本半導体装備企業、「ツートラック」で特需の恩恵…という話

半導体業況の回復に伴い、半導体装備会社が「恩恵」を受けている、との記事がありましたので紹介します。
特に米国や日本の主要半導体装備会社に恩恵は集中していて、これらは中国、韓国、台湾、米国などに顧客企業を持っており、米国、韓国、台湾には先端装備を販売し、中国には旧型装備を販売する「ツートラック」が可能なことから業績が伸びている。韓国にはなぜこのような企業がないのか…な内容です。まあ、韓国にこの手の企業が無い理由については全く書かれてないんですけどね。それはいつものことです。

それはともかく、「ツートラック」は政治でも経済でも韓国が「理想」とするあり方です。韓国が目指しているのに出来ないでいることを他国が出来ている...本来、韓国が受けるはずだった「恩恵」を受けている、というところがこの記事が一番重要視している部分かな、と思います。

 



ヘラルド経済の記事からです。

「韓国にはなぜこのような企業がないのか」半導体市場の真の目玉は米国と日本だけ?[ビズ360]


(前略)

半導体業況が次第に回復し、設備投資が再び活気を帯びているうえ、半導体工程がますます高度化しているだけに、半導体装備企業の存在感もさらに大きくなるだろうという分析が出ている。特に、半導体装備市場を事実上独占している米国と日本企業の支配力にさらに力が注がれている。

半導体装備1位の米アプライド・マテリアルズ(AMAT)は15日(現地時間)、市場の見通しを上回る第1四半期(2023年11月~2024年1月)の業績を発表し、株価が時間外取引で10%以上急騰した。

(中略)

世界3位の半導体装備企業であり、日本国内1位の事業者である東京エレクトロン(TEL)も最近、半導体業況反騰の流れに乗った恩恵企業に挙げられる。やはりサムスン電子インテルTSMCなどを顧客会社として置いており、装備事業の売上は主に中国(47%)、韓国(13%)、台湾(10%)、北米(9%)で発生している。

東京エレクトロンはウェーハに回路を刻むために感光液(フォトレジスト)を塗る際に使う「コッター(Coater)」という装備と、現像するときに必要な「デベロッパー(Developer)」装備市場でグローバルトップを誇る。

最近、日本の装備会社の主要顧客は中国だ。中国が汎用半導体装備購買に熱をあげているためだ。中国は米国の規制が集中した10ナノ以下の先端工程より、20ナノ以上の旧型(レガシー)工程に力を入れることに路線を変えた。これに伴い、日本装備企業が特需を享受することになったという分析が出ている。

コ・ソンヨン・ユアンタ証券研究員は「日本の半導体装備企業などは、米国、台湾、韓国など既存顧客には先端装備を売り、旧型装備は中国に販売するツートラック戦略を追求できるようになった」として「東京エレクトロンは先端から旧型工程装備まで友好的な環境が造成された状況に、最も直接的関連がある業者」と説明した。

このように半導体装備市場の成長傾向が明確になると、これに加勢している日本企業も引き続き現れている。カメラで有名な日本のキャノンとニコンが代表的だ。1990年代まで半導体露光装備市場を牛耳っていたこれらの企業は、オランダのASMLに席を譲ったが、最近挑戦状を突き付けた。

世界2位の装備企業であるASMLは、半導体の大きさを減らす超微細工程の必須装備とされる極紫外線(EUV)露光装備を世界で唯一生産している。半導体回路をさらに薄く描くための競争が激しくなり、すべてのメーカーがASMLを眺めている。半導体回路を精密に刻むほど、より多くのトランジスタを装着して処理速度とメモリ容量を増やすことができるからだ。

(中略)

キャノンはASMLとは異なり、半導体設計デザインをウェーハに印刷するように刻印する「ナノインプリント・リソグラフィ」装備でASMLが独占した露光装備市場の隙間に入り込む計画だ。キャノンはまだ発売前の自社半導体装備に対して「光を基盤とするASML工程より最大90%電力を少なく、価格もASMLより一桁安い」と明らかにし、実際の性能に関心が集まっている。

ASMLも日本に基盤を置くキャノン、ニコンなどを主要ライバル企業と見ている。最近発刊した2023年年次報告書で「相当な財政資源を保有した新たな挑戦者だけでなく、地政学的脈略で自給自足を達成しようとする人々との競争に直面している」と明らかにした。

ASMLの言及通り、最近日本政府は莫大な補助金を前面に出して自国内の半導体生産施設の構築に攻撃的に乗り出している。それだけ日本の半導体装備産業も今後成長速度がさらに早くなるだろうという展望が出ている。



ヘラルド経済「“한국엔 왜 이런 기업 없을까” 반도체 시장 진정한 알짜는 미국·일본만 챙긴다? [비즈360](「韓国にはなぜこのような企業がないのか」半導体市場の真の目玉は米国と日本だけ?[ビズ360])」より一部抜粋

韓国の「分析」っていつもそうなんですけど、「恩恵」とか「特需」とか、棚ボタ的な見方しかしないんですよね。だから上っ面しか見てないし、浅い分析になるような気がします。
そして何かというと「補助金」。補助金があっても源泉技術が無ければ何もできないと思うんですけど。

まあ、私も別に深い分析をしているわけではないですけど、でも「特需」や「恩恵」だけで事業が成り立たないことは分かります。東京エレクトロンにしろ、アプライド・マテリアルズにしろ、以前からの積み重ねがあってこその今の業績でしょう。
キャノンにしても、記事が旧型(レガシー)と呼ぶ技術があってこその新技術・素材の開発で、これも積み重ねによるものと言えます。

「韓国にはなぜこのような企業がないのか」、タイトルにある疑問に私なりに答えを出すとすれば、それは韓国に「このような基礎技術の積み重ねを行ってきた企業がないから」です。