韓国企業の中国への直接投資額が前年比‐78%の激減した話

「中国」という巨大消費市場の斜陽というのがテーマっぽいんですが、その中で韓国の中国への直接投資が78%減と約20年前の水準に低下したこと、米国を100としたときの国家核心技術(人工知能量子力学、次世代通信・原子力、宇宙航空・海洋など136個)で韓国と中国の技術水準が逆転していることに触れた記事があったので紹介します。

 



ハンギョレの記事からです。

中国への投資を渋る資本…韓中交易量、約20年前に


韓国をはじめとする世界資本の中国進出ブームは1990年代初め・中盤から始まったので、今やおよそ一世代(約30年)が過ぎた。ところが最近、韓国と中国の貿易量(輸出・投資)と科学技術の達成度の比較で示された「反転」指標は驚くべきもので、いつのまにか「過ぎ去った昔」とすでに思わせる。

(中略)

2023年の韓国企業の中国市場への海外直接投資(FDI)は18億7千万ドル(前年比-78.1%)で韓国資本が進出した国別投資額で中国は7位だ。1992年以来初めて「上位5カ国」から追い出された。世界資本の中国市場への直接投資額も2023年に計330億ドルで1993年以来の最低値を記録した。

(中略)

韓国政府が韓国・米国・日本・中国・欧州連合EU)を対象に2022年基準の国家核心技術(人工知能量子力学、次世代通信・原子力、宇宙航空・海洋など136個)水準を比較した結果、米国(=100%)に比べて韓国は81.5%(格差3.2年)で最下位を、中国4位(82.6%・3.0年)、日本3位(86.4%・2.2年)、EU2位(94.7%・0.9年)と集計された。中国の科学技術が韓国に追いついたのは国家比較が可能になった2012年以降初めてだ。この5~6年間、韓国が中国に追い越される時期を米中先端技術葛藤がむしろ遅延させる効果を提供したという評価もある。

(後略)



ハンギョレ「중국 투자 꺼리는 자본...한중 교역량, 20여 년 전으로(中国への投資を渋る資本…韓中交易量、約20年前に)」より一部抜粋

韓国から中国への直接投資の大幅減、国家革新技術力の逆転…これらが今後、中韓関係にどのように作用してくるのかや、韓国経済にとっての「中国市場」の重要度の変化などには一切触れていません。
結局何が言いたいのかボンヤリした記事で、最後に150年前の経済学者(ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ)の言葉を今の中国に当てはめて終わっています。

「中国・インドが数年にわたり豊作になり消費市場が繁栄すればランカスターとヨークシャーの貿易好調の中で製造業者は新しい機械・工場を持ち込んで建てる。西欧で産業活動の熱気が暴走する中で太陽放射エネルギーが徐々に消え始め、製造業者が莫大な量の商品を供給しようとするその瞬間にインド・中国に迫った飢饉事態がその需要を突然遮断してしまう」

記事はこの言葉を「150年前のジェヴォンズの言葉をふと思い出したりもする最近の中国経済だ。」として結ばれています。

ジェヴォンズは「太陽周期と穀物価格」に関する論文を出していて、太陽活動と経済活動の関係を研究していました。一見、荒唐無稽に感じられるかもしれませんが、太陽黒点=太陽の活動量→気候の変化→穀物の収穫量への影響→穀物価格への影響→経済全体への影響…と考えるとどうでしょう?

上の言葉は、太陽活動が活発なとき(=穀物が豊作で経済が順調なときに)中国やインド市場に向けて、製造業者がバンバン投資してジャンジャン製品を作って「いざ」売ろうとしたとき、太陽活動が低下して不作(=不況)になって売れなくなる、ということを言っています。

なぜここでこの言葉を持ち出すのかよく分かりませんでした。
記事は中国にモノが売れなくなったのは(太陽活動云々は置いといても)「中国が不況だから」と言いたいのでしょうか?国家革新技術力が逆転したことで、今までほど韓国のモノが必要なくなったという側面はないのでしょうか?
私の読み方のせいかもしれませんが、「中国向けにモノが売れなくなった」という結果以外、ジェヴォンズの言葉とひどく乖離しているような気がします。