急激なドル高に韓国4大銀行の外貨負債額が急増している話

ドルに対して円安が進んでいますが、同じように韓国のウォンもドルに対して安くなっています。

これにより、韓国の4大銀行が抱える外貨負債規模が拡大していることが分かりました。
5年前の2018年末時点での外貨負債額は1391億ドル、それに対して昨年末時点での負債額は749億ドル増の2140億ドルで、53%増です。韓国ウォンに直すと現在の為替レートで295兆7480億ウォンとなります。増加規模は約100兆ウォン。

 



ヘラルド経済の記事からです。

「キングドル」に銀行業界の実績「非常灯」...外貨負債5年間で100兆ウォン↑


(前略)

19日、4大都市銀行(KB国民・新韓・ハナ・ウリ)の経営公示資料によると、昨年末基準でこれら銀行が保有した外貨負債規模は計2140億ドルで、5年前の2018年末(1391億ドル)と比較して749億ドル(韓国ウォン約100兆ウォン)程度増加したことが分かった。これは現在の為替レートで295兆7480億ウォンで300兆ウォンに迫る。

銀行圏は流動性確保および海外投資などの目的で外貨資金を着実に増やしてきた。企業の外貨貸出需要を充足すると同時に、不意に発生しうる金融市場変動性に備えるための措置だ。だが、急激なウォン・ドル為替レート増加傾向が現れる場合、莫大な規模で調達した外貨はむしろ外貨関連損失を誘発する恐れがある。外貨負債償還時に発生する外国為替差益が大きくなるうえに、決算日の外貨負債評価益が増加するためだ。

(中略)

銀行が保有している外貨のうちドルの割合は最も高い。さらに、最近のウォン高の下落幅は他の通貨に比べてとりわけ急激なものだ。今月5日から16日まで7カ月連続でウォン・ドル相場が上昇したのは、16日の高値基準で52.9ウォン(3.93%)に達した。

(中略)

銀行圏では何よりも「ドル高」現象の持続性を警戒している。現象が長期化するほど為替差損を誘発する負債償還規模が増えるためだ。2022年と同様に上半期中に高為替レートが持続する場合、数千億ウォン台規模の損失が発生する可能性も排除できない。香港H指数株価連係証券(ELS)不完全販売にともなう自律賠償額支出が2兆ウォン規模と推定される中で、追加的な非経常的損失が累積するわけだ。

(後略)



ヘラルド経済「‘킹달러’에 은행권 실적 ‘비상등’…외화부채 5년 새 100조원↑[머니뭐니](「キングドル」に銀行業界の実績「非常灯」...外貨負債5年間で100兆ウォン↑)」より一部抜粋

これで今すぐどうこうなるということはまず無いと思います。

しかし、記事中で出ている香港ELSにしろ、今絶賛調査が行われているプロジェクト・ファイナンスの手数料問題にしろ(こちらは第2金融圏の話ですが) 、パターンとして金融機関側に後始末を押し付けるような安易な措置が目立ちます。こうした対応を続けていくにも限界が近いのではないかと感じます。