韓国の出口調査は当てになりません。
日本の選挙でも出口調査を元に「当確」が発表されたりします。開票率0%でも普通に「当確」になっていたりしますが、その感覚で見ていると信じられないくらい外れます。というか、それやっちゃうと大事故になるくらい外れます。
色々と原因は指摘されているのですけれど、よく言われるものに「正直に答えないから」というものがあります。信じがたい話ですが、例えば今回のように事前に「野党優勢」と伝えられると、実際には与党に投票していても「野党に投票した」と出口調査で答える人が居たり、回答そのものを拒否したりするようなのです。
出口調査でそれをやられると、統計学の基本である「無作為なデータ抽出」が出来なくなってしまいます。結果、データ分析が正しく行えなくなります。
そんな当てにならない韓国の出口調査、総選挙は「出口調査の墓」なんて言われたりするそうですが、今回JTBCが結構精度の高い予測を出したことで話題になっていました。こちらは「出口調査」ではなく、世論調査とメタ調査を使った「予測調査」だそうです。
韓国国家負債、1100兆ウォン突破…初のGDP比50%以上という話
ユンさんは就任前の公約で財政健全化を語っていました。財政収支赤字幅を毎年、GDPの3%以内に抑えるというのがその骨子です。
そのこと自体は問題なのですが、それによって結果的に自ら国債発行のハードルを上げてしまうことになりました。
そして今日、2023年の国家決算報告書が予定より遅れて(規定では本来4月10日)発表されました。そこには国家債務が1100兆ウォンを突破したことが記載されていました。
税収不足は前々から懸念されていたことですが、予算案で出された予測値より30兆ウォン近く財政収支が赤字となっています。
政権にとっては「不都合」な情報ですよね。だから「1日遅らせたのではないか?」な声も一部から上がっているとかなんとか。
借金して投資の「ビットゥ」、半年ぶりに最大増加額という話
借金して投資するいわゆる「ビットゥ」が増えているそうです。先月末時点で、月単位の信用取引融資の増加額としては昨年9月以来最高の9510億ウォンを記録しました。
信用取引全般を一括りに「借金投資」として問題視するものではありませんが、しかしほとんどが価格変動性(ボラティリティ)の高い銘柄に突っ込まれているとのこと。それだけリスクを取っているという意味になります。
ニューシースの記事からです。
「ビットゥ」6ヵ月ぶりに最高...1ヵ月で1兆増
(前略)
10日、金融投資協会によると先月末の信用取引融資は19兆4772億ウォンで1ヵ月前(18兆5262億ウォン)より9510億ウォン増えた。月末基準で昨年9月(19兆7029億ウォン)以後、最も高い金額だ。
(中略)
信用残高比率の上位銘柄を見ると変動性が高い銘柄がほとんどだ。
(中略)
これらの銘柄は時価総額5000憶ウォンにも満たない企業で、近頃株価変動性が大きい。相当数の投資が短期間の差益目的で投資に飛び込んだものと分析される。
市場では証券市場待機資金の性格である投資家預託金も1日59兆6299億ウォンを記録し60兆ウォンに肉迫した。2022年6月2日(61兆6321億ウォン)以後、最も多い水準だ。
総合資産管理口座(CMA)残高も8日基準で81兆6101億ウォンで、2006年に関連統計を集計した以後、歴代最大を記録した。
このように投資心理が蘇ったのは半導体業況改善と政府のバリューアッププログラム推進などに起因する。
(後略)
ニューシース「'빚투' 6개월 만에 최고…한 달 새 1조 증가(「ビットゥ」6ヵ月ぶりに最高...1ヵ月で1兆増)」より一部抜粋
バリューアッププログラムだけでなく、米国の金利引き下げを期待しての動きもあるかもしれませんね。今日の夜、米国で3月の消費者物価指数が発表される予定ですからその結果次第で…と見ているのかもしれません。個人的にはそんな劇的な展開にはならないと思いますが...。
日本のマイナス金利が解除される直前にも円建て預金が人気だったと言います。マイナス金利が解除されれば円高に動くから、という理由でしたが、実際は円高になっていませんよね。
日本とAUKUSとの協力体制具体化の話
岸田さんの訪米日程が本格スタートしました。安保関連の話題は日本メディアより韓国メディアの方で積極的に報道されている印象を受けます。
今回、前々から言われていたAUKUSとの協力体制が本格的に始動するものと見られます。実際、AUKUS参加国の国防長官が「日本との協力を考慮している」と公式に共同声明を発表するなどしています。
具体的には、AUKUSは先端防衛技術分野において2本柱の協力分野があるのですが、第1の柱がオーストラリアに原子力潜水艦を提供すること、第2の柱がAI・量子技術など先端軍事技術の共同開発となっています。
このうち日本は第2の柱の先端軍事技術共同開発にのみ参加することになります。
イーデイリーの記事からです。
中国牽制網を狭める米日…オーカス、日本と軍事技術協力
(前略)
岸田訪米を機に米日同盟がアップグレード
米国は中国牽制を強化するために日本をオーカスに参加させ、オーカスをいわゆる「ジャーカス(JAUKUS)」に拡大したがっていた。英国やオーストラリアは日本と敏感な情報を共有することに慎重だったが、米国が日本との協力を貫いたという。朝日新聞は「オーカスと日本が協力しようとする背景には中国との軍事・先端技術競争がある」として「米国は日本との協力を通じて中国に強い牽制メッセージを送りたがっている」と解釈した。
バイデン米大統領と岸田文雄日本総理は10日、米ホワイトハウスで開かれる首脳会談でも日本とオーカスの協力問題を話し合うものと見られる。日本がオーカスにも参加することになれば、アングロサクソン国家だけが参加するファイブ・アイズ(米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド)を除いて、米国が主導するほぼすべての軍事協力体に直接・間接的に参加することになる。
オーカスの他にも岸田首相の国賓訪米を前後して米国と日本はこれまでになく軍事的協力を強化している。日米安保同盟を史上最大水準にアップグレードするというのが両国の目標だ。日米首脳共同宣言には核心兵器の共同開発・共同生産、自衛隊統合司令部と在日米軍間の共助強化、日本の防衛力増強に対する米国の支持表明などが盛り込まれると伝えられた。
(中略)
バイデン大統領と岸田首相は11日には、フィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領と3者首脳会談を開く予定だが、南シナ海での中国の挑発阻止が核心議題だ。このように韓米日協力、オーカス、日米フィリピン協力、クアッド(米国・日本・オーストラリア・インド)などを通じてインド・太平洋地域で中国を幾重にも包囲するというのが米国の構想だ。岸田首相も前日、CNNとのインタビューで「法治主義に基づいた自由で開放的な国際秩序を維持することが国際社会の平和と安定、繁栄のために重要だという確固たるメッセージを北韓と中国に伝えることが重要だ」とし、日本の防衛力強化の必要性を力説した。
(後略)
イーデイリー「中 견제망 좁히는 美日…오커스, 일본과 군사기술 협력(中国牽制網を狭める米日…オーカス、日本と軍事技術協力)」より一部抜粋
いい感じの流れだと思います。これは別に日本に野心があるとか無いとか、そういうレベルの話では無く、必要なことをやろうという話です。
既に死文化しているとの見方もありますが、それでもまだ国連憲章には旧敵国条項が記載されていますから、西側諸国、特に米国との利害の一致という理解(お墨付き)の下で協力体制を敷いていくことは意義のあることです。
ここまでのレールを敷いたのは間違いなく安倍さんの功績でしょうし、日本にしろ米国にしろ政権が変わったとしても政策が一貫していたからこその成果だと思います。
「韓米同盟楽観論の危険性」の話
韓国メディアにおいて、米韓同盟というのは「米国が蔑ろに出来ない物」です。なぜなら「地政学的に米国は韓国を捨てることが出来ないから」です。
実際のところはともかく、こうした見方で論じられることが多く、韓国は米国に対して「強い」立場を取れる、と精神的「甲(カプシル=甲の横暴)」を満喫している節があります。
そんな中で、少数派ではありますが「韓米同盟は楽観視できない」と警鐘を鳴らすメディアもあります。
今日紹介するのもそんなレアケースです。先月の中旬ごろに公開された記事ですが、岸田さんの訪米関連の記事と共に日米・韓米同盟絡みの記事が増えてきているのでこの機会に紹介します。
ソウル新聞の記事からです。
[開かれた世相]韓米同盟楽観論の危険性
韓国の根本的な戦略利益は、韓半島と周辺地域で膨張主義勢力を抑制できる勢力均衡を維持することだ。勢力均衡は韓国の力だけでは維持できない。核で武装した北韓の攻撃を抑制し、巨大な強大国に浮上する中国を制御できる勢力均衡を維持するためには、域外均衡者である米国との同盟が欠かせない。米国も10位圏の経済力と50万人水準の現代化された軍事力を持つ韓国との同盟が勢力均衡の維持に役立つと判断するだろう。
(中略)
しかし、同盟は常に「放棄(abandonment)」の危険をはらんでいる。状況が変わり、一方が同盟が利益ではなく負担だと判断すれば同盟国を捨てることができるのが国際政治の現実だ。一部の論者は、「韓国がどのような政策を推進しても、米国は結局、中国牽制という自分の利益のために韓米同盟を維持するので、心配する必要はない」と主張する。しかし、韓米同盟も放棄の危険から例外ではない。そして、過度な楽観は同盟管理を疎かにさせ、政策の違いを増幅させ、放棄を招く恐れがある。
(中略)
現在も相当な放棄の危険が存在する。第一に、韓国は依然として地理的な脆弱性を持っている。米国は主敵である中国に近接しており、短距離ミサイルの射程内にある韓国に軍事力を駐留させる負担を負わなければならない。第二に、米国は中国に焦点を合わせた柔軟で分散した軍事態勢を発展させている。北韓を抑制するために韓国に駐留している大規模な軍事力は、ますます米国の軍事態勢で異例のものになっている。将来、米国はさらに分散した軍事力配置の動機を持つ可能性が高い。
(中略)
多くの米国の戦略家は依然として前進防衛と韓米同盟の価値を認識している。しかし、韓国は潜在的な放棄の危険を最小化するための長期的な努力をしなければならない。まず、韓国の国家安保戦略は韓米同盟に明確な戦略的優先順位を与えなければならない。中国との関係を最大限友好的に維持することは重要だ。しかし、米中間の均衡論は韓国の戦略的意図に対する疑問を誘発し、同盟の信頼を弱め、潜在的脅威に備えた本格的な投資を難しくするだろう。第二に、韓国は現状維持の利益を共有する日本、豪州など米国の同盟国だけでなく、インド、インドネシア、ベトナムのような域内友好国との安保協力を次第に強化しなければならない。多国間連携は勢力均衡に寄与し、米国の関与をさらに元に戻すことを難しくするだろう。第三に、韓国は戦略的価値を証明しなければならない。特に、軍事革新を通じて防御力と勢力均衡に寄与する能力を強化しなければならない。
ソウル新聞「[열린세상] 한미동맹 낙관론의 위험성([開かれた世相]韓米同盟楽観論の危険性)」より一部抜粋
韓国は「国は結局、中国牽制という自分の利益のために韓米同盟を維持するので、心配する必要はない」と自己弁護しつつ、日米関係にピリピリしているのは、米韓同盟を「血盟」と呼びつつ全然米国のことを信頼してないか、あるいは自分たちが同盟に「寄与」している自信が無いってことですよね。
その自信の無さは、やはり「地政学的価値」にのみ米韓同盟の根幹価値があると考えているからだろうと思います。「韓国」という「国」ではなく、「朝鮮半島」という土地そのものの価値です。(なんか、この考え方も儒教的な気がします)
記事の最後の提言は韓国メディアが見落としがちな部分を指摘していると思います。
韓国メディアはいつも「地政学的価値」にしか言及しません。けれど、「地政学的価値」というのはノド元に突き付けられた剣が、いざというとき役に立つという前提の元成り立ちます。
だからこそ、「地政学的価値」だけではなく、「戦略的価値」…つまり「なまくら」ではない「韓国」自身の価値を証明する必要がある、と。そのような指摘に受け取れます。
韓国企業の中国への直接投資額が前年比‐78%の激減した話
「中国」という巨大消費市場の斜陽というのがテーマっぽいんですが、その中で韓国の中国への直接投資が78%減と約20年前の水準に低下したこと、米国を100としたときの国家核心技術(人工知能、量子力学、次世代通信・原子力、宇宙航空・海洋など136個)で韓国と中国の技術水準が逆転していることに触れた記事があったので紹介します。
ハンギョレの記事からです。
中国への投資を渋る資本…韓中交易量、約20年前に
韓国をはじめとする世界資本の中国進出ブームは1990年代初め・中盤から始まったので、今やおよそ一世代(約30年)が過ぎた。ところが最近、韓国と中国の貿易量(輸出・投資)と科学技術の達成度の比較で示された「反転」指標は驚くべきもので、いつのまにか「過ぎ去った昔」とすでに思わせる。
(中略)
2023年の韓国企業の中国市場への海外直接投資(FDI)は18億7千万ドル(前年比-78.1%)で韓国資本が進出した国別投資額で中国は7位だ。1992年以来初めて「上位5カ国」から追い出された。世界資本の中国市場への直接投資額も2023年に計330億ドルで1993年以来の最低値を記録した。
(中略)
韓国政府が韓国・米国・日本・中国・欧州連合(EU)を対象に2022年基準の国家核心技術(人工知能、量子力学、次世代通信・原子力、宇宙航空・海洋など136個)水準を比較した結果、米国(=100%)に比べて韓国は81.5%(格差3.2年)で最下位を、中国4位(82.6%・3.0年)、日本3位(86.4%・2.2年)、EU2位(94.7%・0.9年)と集計された。中国の科学技術が韓国に追いついたのは国家比較が可能になった2012年以降初めてだ。この5~6年間、韓国が中国に追い越される時期を米中先端技術葛藤がむしろ遅延させる効果を提供したという評価もある。
(後略)
ハンギョレ「중국 투자 꺼리는 자본...한중 교역량, 20여 년 전으로(中国への投資を渋る資本…韓中交易量、約20年前に)」より一部抜粋
韓国から中国への直接投資の大幅減、国家革新技術力の逆転…これらが今後、中韓関係にどのように作用してくるのかや、韓国経済にとっての「中国市場」の重要度の変化などには一切触れていません。
結局何が言いたいのかボンヤリした記事で、最後に150年前の経済学者(ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ)の言葉を今の中国に当てはめて終わっています。
「中国・インドが数年にわたり豊作になり消費市場が繁栄すればランカスターとヨークシャーの貿易好調の中で製造業者は新しい機械・工場を持ち込んで建てる。西欧で産業活動の熱気が暴走する中で太陽放射エネルギーが徐々に消え始め、製造業者が莫大な量の商品を供給しようとするその瞬間にインド・中国に迫った飢饉事態がその需要を突然遮断してしまう」
記事はこの言葉を「150年前のジェヴォンズの言葉をふと思い出したりもする最近の中国経済だ。」として結ばれています。
ジェヴォンズは「太陽周期と穀物価格」に関する論文を出していて、太陽活動と経済活動の関係を研究していました。一見、荒唐無稽に感じられるかもしれませんが、太陽黒点=太陽の活動量→気候の変化→穀物の収穫量への影響→穀物価格への影響→経済全体への影響…と考えるとどうでしょう?
上の言葉は、太陽活動が活発なとき(=穀物が豊作で経済が順調なときに)中国やインド市場に向けて、製造業者がバンバン投資してジャンジャン製品を作って「いざ」売ろうとしたとき、太陽活動が低下して不作(=不況)になって売れなくなる、ということを言っています。
なぜここでこの言葉を持ち出すのかよく分かりませんでした。
記事は中国にモノが売れなくなったのは(太陽活動云々は置いといても)「中国が不況だから」と言いたいのでしょうか?国家革新技術力が逆転したことで、今までほど韓国のモノが必要なくなったという側面はないのでしょうか?
私の読み方のせいかもしれませんが、「中国向けにモノが売れなくなった」という結果以外、ジェヴォンズの言葉とひどく乖離しているような気がします。
個人回生(個人再生)件数の話
2023年の個人回生申請件数が約2万件に達したと報じられました。特に20代の若年層が、件数そのものの全体に占める割合は小さいものの、伸び率が45%と急増しているとのこと。
ただ、この公表されている数字、ちょっと変なんですよね。その辺は後述します。