帯状疱疹予防ワクチンの話

f:id:Ebiss:20190310130114j:plain:w450


一時期はヘルペスって呼んでたと思うんですけどね。
性病のヘルペスと混同されてしまうせいか、最近は帯状疱疹(たいじょうほうしん) と呼ぶのが一般的になっています。

いつの間にやら予防ワクチンが認可されていました。
「50歳以上の人はしっかり予防を!」と言われますが、別に50歳を超えていなくても罹る人は罹ります。

私は小学生のときに水疱瘡に罹患して、中学生で帯状疱疹になりました。めちゃくちゃ痛かったです。


帯状疱疹とは


水痘・帯状疱疹ウィルス(VZV)が原因で発症します。
水疱瘡(みずぼうぞう)の原因となるウィルスで、水疱瘡に罹患したことがある人は100%原因ウィルスを体内に持っています。

水疱瘡はVZVに初めて感染したときに発症する急性のウィルス感染症です。
水疱瘡の症状が治癒した後もVZVは知覚神経節内に潜伏し続けます。

普段はとても大人しいのですが、何らかの理由で免疫力が低下すると再活性化し、帯状疱疹となることがあります。
神経節内の潜伏しているため、神経を通って全身どこに現れてもおかしくありません。

帯状疱疹の発症率を年齢別に見ると50代から上昇し、70代が最も高く、80代までに3人に1人が経験すると言われています。


特徴的な症状として、痛みと発疹があります。

まず、初期段階に神経痛に似た痛みが起こります。
神経に直接針を刺されたようなチクチク・ズキズキ・ジンジンする痛みです。

症状が進むと、熱を持ってきます。
その後、水ぶくれのような発疹が帯状に現れます。(まれに発疹を伴わない場合もあります)
発疹が出る場合、身体の片側にだけ現れるのが特徴です。
※腹部なら、おへそを挟んで右側だけ、耳の場合、片耳だけ、というように身体の片側にだけ帯状に発疹が出ます。


治療は皮膚科で


帯状疱疹の治療は皮膚科一択です。
皮膚科の先生なら、まず見逃されることはありません。
他の科の専門医の場合、帯状疱疹を知らないことも珍しくないそうで、見逃されて重篤化することもあるとか…。


帯状疱疹が出る場所は人によってまちまちです。
私は耳に出ました。(頭部の発症率は10〜15%程度と言われています)

耳鼻科に行くか皮膚科に行くかで迷った挙句、金曜日の午後の診療時間ギリギリに皮膚科に連れられて行きました。
先生は特に検査などせず、チラっと見ただけで「ああ、ヘルペスですね」と言われるくらい皮膚科では一般的な症状です。(当時は普通にヘルペスと呼んでいました)

処方された塗り薬と飲み薬(抗ウィルス薬)で2週間くらいで治ります。


再発


帯状疱疹は左右非対称で発生します。
片側の耳が治った直後に、逆の耳に出ました。
そういうことは「よくある」らしいです。

一度経験すれば忘れない痛みなので、再発すればすぐに分かると思います。
帯状疱疹が出たら、しばらく反対側に注意してください。


帯状疱疹予防ワクチン


2016年に帯状疱疹予防の生ワクチンが、昨年2018年にはサブユニットワクチンが認可されました。

生ワクチンとは、原因となるウィルスの毒性を弱めて病原性を無くしたものを原材料として作られれます。
毒性を弱められたウィルスが体内で増殖し、免疫を高めます。
デメリットとして、免疫力が弱っている人は接種できません。

サブユニットワクチンとは、抗体を作るために必要なウィルスの一部だけを集めてワクチンにしたものです。
生ワクチンと違って、免疫力が低下している人でも接種できます。
また、生ワクチンに比べて帯状疱疹の予防効果が高かったという実験データがあります。


まとめ


2014年には水痘ウィルスの定期接種が始まりましたので、これにより将来的に帯状疱疹の罹患者は減少するだろうと言われています。

ですが、過去に水疱瘡に罹ったことがある人は水痘ウィルスに触れる機会が減ることで免疫増強が行えないために、逆に帯状疱疹が発症するリスクが上がるとも言われています。

人間の持っている抗体は一生モノではないということは既に分かっています。
抗体には有効期限があり、年齢を重ねるごとに弱くなっていきます。

年をとると免疫力も落ちます。
そうなると普段は大人しいウィルスを抑えておけなくなってしまうんですね。

また、若くても油断は出来ません。
私のように水疱瘡から10年経たずに帯状疱疹が出たケースがあります。
水疱瘡の症状が軽くて抗体が不完全だったのか、何らかの原因で免疫力の低下が起こっていたのか分かりませんが帯状疱疹は放っておくと重篤化し、神経に後遺症を残す怖い病気です。

水疱瘡に罹ったことがある人は、いつか帯状疱疹に罹ると思っておいた方がいいでしょう。
50歳を超えるとその確率が一気に跳ね上がるので、予防としてワクチン接種を検討してみてください。
もちろん、ワクチン接種で100%防げるわけではありません。
でも、あの痛みを回避できる可能性が少しでも高まるなら…経験した人間にしかあの痛みは理解できないですが、知らないに越したことはないです。