坊主憎けりゃ袈裟まで憎い話

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」とは、「その人を憎むあまり、その人に関係のあるものすべてが憎くなるというたとえ」(goo辞書より)です。

「坊主」を「日本」、「袈裟」を「日本製ユニフォーム」「日本企業ロゴ」と置き換えたような記事がありました。
今日から始まった野球の世界大会、2019 WBSCプレミアム12の韓国代表チームのユニフォームについてです。

先日、この大会に向けて行われたプエルトリコとの親善試合のユニフォームに日本企業の商品ロゴが日本語で付いていたことが気に食わない、という内容です。


スポーツソウルの記事からです。

日本語の広告を付けた代表ユニフォーム..離れた韓国野球の位相断面【SS視線集中】


韓国野球代表チームが日本語で書かれた広告を袖に付けた。韓国野球委員会KBO)が改善するために最善を尽くしているが、資本の論理が優先だとして変更するかどうか不透明である。
2020東京オリンピック本線進出を狙う韓国野球代表チームは、本大会のチケットが掛かったプレミア12に向けて、プエルトリコと親善試合を行った。(中略)

当初支給された制服は、韓国野球委員会KBO)が自身で販売したシェル・ヒリックス・エンジンオイルの広告のみ付いていた。ただでさえ、ユニフォームの製作企業が日系企業デサントであるため、韓国代表チームが着用することが不適切だという論議が起こった。デサントは、日韓関係が梗塞する前、いわば救援投手として代表チームの支援を約束した。2013年のワールド・ベースボール・クラシックWBC)までユニフォームスポンサーとして参加していたナイキが突然足を抜いて、プロとアマを網羅したユニフォーム業社を探すことが難しかった。(中略)

代表ユニフォームの右袖には、日本語のカタカナで「リポビタンD」が原文のまま付けられた。 リポビタンは日本の大正製薬会社で開発された滋養強壮飲料だ。(中略)日本企業が作った飲み物の広告を、日本語のまま韓国代表ユニフォームにパッチ*1で付けたのか、その理由が知りたかった。

韓国野球委員会KBO)側は「世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が、プレミアム12のユニフォームパッチ広告権をグローバル広告代理店であるベース社に販売した。ベース社は12カ国がともに装着するパッチを販売したが日本企業が購入した。リポビタンのパッチはこの一環」と説明した。大会が始まると、予選に参加する12カ国が全て該当する広告パッチを身につけるという意味だ。実際、この日の親善試合に出たプエルトリコも同じ広告を付けていた。

国際大会は、大会組織委員会が成功的な開催のためにスポンサー企業を募集する。スポンサー企業が享受することができる最大効果は、広告を通じた企業露出だ。(中略)韓日関係に大きく気を使わないWBSCの立場と、巨額を掛けて広告権を購入した日本企業が韓国人の情緒のために広告を変更することは期待しにくい。 国際市場経済は、資本の論理が支配する。日本語の広告のパッチもKBOが仲裁に乗り出すとして変わる可能性が希薄な理由だ。

このような屈辱を解消することができる方法は、韓国野球代表チームが再び世界を驚かせることだけだ。スポンサー不毛の地に違いなかった韓国野球は2006年にWBC4強神話を足掛かりにし、グローバル企業が先を争って後援の意思を明らかにした黄金時代があった。その栄光を再現し、韓国がスポンサーを選択できる場所がなければならない。(後略)

スポーツソウル「일본어 광고 부착된 국가대표 유니폼..떨어진 한국야구 위상 단면[SS 시선집중](「日本語の広告を付けた代表ユニフォーム..離れた韓国野球の位相断面【SS視線集中】」)より


ユニフォームが日系企業製なのも気に食わないみたいなので、「企業ロゴが日本語」であることが問題と言うより、「日本」であることを問題にしているように感じます。(穿った見方過ぎるかしら)


KBOが仲裁に乗り出す、とか言っていますが、「仲裁」としか訳しようが無かったのでそうしました。
でも「仲裁」って、揉めてる二つ(ないし複数)の間を第三者が取り持つことですよね?
……どことどこが揉めてるんでしょう?韓国側(の記事)が一方的に問題視しているだけのように見受けられますが?

もし、「日本語」であることを要因にロゴの変更を要求するようなことがあれば、スポーツの世界に政治的問題を持ち込むことになりますし、特定の言語を排除しようとするヘイト行為とも受け取れます。


最後のところは思わず笑ってしまったのですが(失礼)、「韓国がスポンサーを選択」というのはつまり…

「韓国野球代表チームの強さを見せつけることが出来れば、スポンサーはよりどりみどり。デサントに頼らなくてもユニフォームを作らせて欲しい!と言ってくる日系以外の企業がある!
 韓国代表チームの右袖の広告費用は競争率が高くて高騰する。日本語で載せたいって言っても、韓国が嫌がれば配慮されるに違いない!」

という、夢見がちな思春期のような発想です。

いや、逆に現実的なのかもしれません。国際的な大会で結果を残すということが、競技の人気を集める→活況になる→競技人口を増やす…という好循環を期待してではなく、 「スポンサー集めのため」 という部分がなんとも夢がなくて。


ところでこの記事は「スポンサー(後援)」と一言で片付けてしまっているので混同している感が否めませんが、ユニフォームを製作するスポンサーと、広告掲載(企業ロゴ)のスポンサーとはちょっと違います。

ユニフォーム製作は、複数企業が申し出れば韓国に選択権があるのは間違いありません。
記事で言っている「韓国がスポンサーを選択できる」に含まれます。(しかし、デサントは困っているところに手を差し伸べたのにヒドイ言われよう)

でも、企業ロゴのスポンサーは広告代理店から正規の値段で広告枠を買い取った企業ですから、韓国に選択の余地はありません。
広告代理店にとって、お客さんは韓国代表チームではなく企業ですもの。まあ、韓国企業がすべての枠を買い取れば解決ですけどね。


*1:企業ロゴのワッペンのこと。