韓国で「性犯罪」容疑で身元を晒された大学生が極端な選択をした話

「デジタル刑務所」というのは聞き慣れないかもしれませんが、殺人、性犯罪などの凶悪犯罪を犯した犯罪者の身元を公開する、という名分で作られたサイトです。ただし、公的なものではなく私設のサイトです。
晒された個人情報は(今の所)30年という長い期間公開され続けることになります。

「社会正義」に酔っているんでしょうか?


ところが、正しい行いであるはずの「犯罪者の身元を公開する」行為によって、自殺者が出てしまいました。
「デジタル刑務所」に「性犯罪容疑」として身元を晒された大学生が自殺したのです。


ニュース1の記事からです。

「デジタル刑務所」に性犯罪容疑で身元公開、高麗大生死亡...警察が捜査


(前略)

5日、高麗大学コミュニティ「コパス」と警察などによると、高麗大学19学番*1の在校生Aさん(21)は、最近死亡し、警察はAさんが以前に名誉毀損で告訴したデジタル刑務所関係者を捜査している。Aさんは極端な選択をしたと伝えられた。

Aさんは生前「コパス」に先月12日、自身の身元がデジタル刑務所に上がってきたとし、「デジタル刑務所に上がった写真と電話番号、名前は私のものだが、サイトに掲載されたその他のことは決して事実ではない」と主張した。

Aさんは「7月8日午後11時頃、知らないサイトへの登録案内が来て、URLをクリックしたこともあり、また同じ頃知らない人に携帯電話を貸したこともあったが、正確な理由はわからない」と携帯電話がハッキングされたと主張した。

先にデジタル刑務所はAさんが22歳の知人に対して「知人陵辱」をしたとし、顔と写真、学校、専攻、携帯電話番号などの個人情報を後悔した。知人陵辱とは、知人の顔に卑猥な写真を合成し、インターネット上に掲載することをいう。

(中略)

Aさんと推定された人物は、テレグラム上で知人陵辱を要請し、被害事例があったと伝えられた。

(中略)

デジタル刑務所側はAさんが自分ではない、とあげた釈明文を一緒に載せ、現在も知人陵辱加害者がA氏の仕業である可能性が高いと主張している。
これに対して警察の捜査は大邱地方警察サイバー捜査が行っている。警察関係者は「デジタル刑務所と関連し、いくつかのオペレータを特定し、残りの運営者も国際協力を通じて捜査中」と明らかにした。

ニュース1「'디지털교도소'에 성범죄 혐의 신상공개 고대생 사망..경찰 수사(「デジタル刑務所」に性犯罪容疑で身元公開、高麗大生死亡...警察が捜査)」より一部抜粋


日本では所謂「晒し」と言われる行為ですね。決して対岸の話ではありません。

しかし、規模というか手口というか…本当にハッキングしてまで情報を抜いているのだとしたら、スケールが違い過ぎて、ちょっと唖然とします。

韓国はほとんどの場合、実名報道をしませんから、「ちゃんと情報を開示して欲しい」という世論とのズレがこうしたサイトの誕生に繋がったのかもしれません。


一つ言えることは、「デジタル刑務所」が載せているAさんへの容疑が本当だろうが冤罪だろうが関係なく、私刑は違法ということです。


*1:2019年入学生