「クアッドはクアッドのままで」...の話

韓国は順番にすごく拘ります。電話会談の順番とか、定番ですよね。まあ、日本もちょっと拘る部分がありますが、これはやはり序列意識というのが働くのだろうと思います。

ただ順番の重要性というのは時と場所で変わります。最初が重要な場合と最後(トリ)が重要な場合とイロイロですよね。
韓国ではあまり後ろが重要視されることはないようで、5月下旬にバイデンさんが日本より「先に」韓国に行くことについて、順番の意味に重きを置いた見方が支配的です。
要するに「日本より先に来るから日本より韓国を重視している」、こういう見方ですね。他にも、対中路線に偏っていたアジア政策を北朝鮮重視に修正するのではないか、そんな意見もあります。

個人的に、もしそうなら政策協議団はバイデンさんやブリンケンさんに会えたはずでは?と思うのですが...何も実績が無い状態で、順番一つでそこまでポジティブに考えられるのはある意味才能でしょうか?
韓国の本音としては「日本をハブ(除け者)にしてやりたい」があると思うので、少しでも自身に都合の良い状況があればバイアスが掛かってしまうのだと思います。

そして他でもない日本(多分)がこの件について気にしている素振りを見せたことにも気を良くしていると思います。
バイデンさんの東アジア歴訪の「順番」についてホワイトハウスの定例ブリーフィングで日本人記者と思しき人が質問をしました。内容的には韓国が望んでいるような「Welcome to Quad!」ではありませんが、そんなことより日本より先に韓国を訪問することについて「最初というのは重要」と言った記者に報道官が「そうですね」と、あたかも重要であることに同意したように取れる返答をしたことの方がポイント高かったようです。

 



韓国日報の記事からです。

「韓国のクアッド合流に線引き、北の議題を確認して...」韓米首脳会談の輪郭を描いた米ホワイトハウス


「我々は韓国がジョー・バイデン(米国)大統領が(5月20〜24日、韓日歴訪で)訪問する最初の東アジアまたはアジア国家になると聞いている。実際60年間、どの米大統領も任期中、(日本より)韓国を先に訪問しなかった。彼らは通常、日本を最優先する」(ホワイトハウス担当記者)
「しかし、多くの米大統領が時間が経つにつれて韓国を訪問しました」(ジェン・サキ報道官)
「そうです。でも最初というのは重要です」(記者)
「そうですね」(ジェン・サキ報道官)

2日(現地時間)、ワシントンのホワイトハウスで開かれた定例ブリーフィングの途中、ある記者とサキ報道官の間でこのような問答が交わされた。サキ報道官は「歴訪の順序に関して過度には解釈しない」としながらも、このような答弁をした。

(中略)

サキ報道官は「韓国を最初の歴訪先に選択したことが北韓問題に集中するとか、韓国をクアッドに合流させるなど米国の東アジア政策変化の信号ではないか」という質もに「米国が韓国に関与するには多くの方法がある」と一線を引いた。「米国は日本、韓国と強力な(同盟)関係を結んでいる」とも述べた。

また「クアッドはクアッドのまま維持されるだろう」とし、当分クアッドメンバーを拡大する計画がないことも明らかにした。

(後略)



韓国日報「韓 쿼드 합류 선 긋고, 北 의제 확인하고..' 한미정상회담 윤곽 그린 美 백악관(「韓国のクアッド合流に線引き、北の議題を確認して...」韓米首脳会談の輪郭を描いた米ホワイトハウス)」より一部抜粋

ホワイトハウス議事録と公式Youtubeチャンネルの動画を確認しましたが、質問した記者がどこの報道機関の人物なのかは分かりませんでした。
東アジア系の男性記者であることは間違いありません。恐らくですけど日本人じゃないかと思います。英語に韓国人特有の「ㄹ(Rの音に特徴が出る)」の訛りがなく、日本語訛りっぽい音だったので。

ただ原文を見た(聞いた)限りでは、これは「質問」というより記者の「考え」を開陳した形になっています。「私はこう考えるのですがどうですか?」みたいな。
特に↓の部分。

I mean, the U.S. will focus more on, for example, the issue of North Korea and also maybe have — invite South Korea to join Quad.
(つまり、米国は、たとえば北朝鮮の問題にもっと焦点を当て、韓国をクワッドに招待するかもしれない、ということです)


この部分は記者の言葉なのですが、完全に彼の個人的解釈を開陳してますよね。
それに対するサキさんの回答が「クアッドはクアッドのまま維持される」になります。

ちなみに、記事冒頭の「でも最初というのは重要です」という記者に対してサキさんが「そうですね」と返した部分。ここの原文は「Okay」になっています。「You're right」とか「Right」とかなら、記者の言い分にある意味「同意した」という意味の「そうですね」と考えられなくもありませんが、単に「Okay」と返しただけなので先を促すための相槌程度の意味でしょう。