5月雇用動向、失業率は過去最低、しかし「休んだ人口」は18万人増加という話

韓国で5月の雇用動向が発表されました。5月としては歴代最高だそうです。
それだけ聞くと「良いこと」のように聞こえますけれども、60代以上の雇用ばかり増えていて逆に青年層と40代の雇用は減っているという構造は相変わらずです。

 



ニューシースの記事からです。

5月の雇用率は過去最高だが...青年・製造業は「雇用寒波」(総合2報)


(前略)

統計庁が14日発表した「2023年5月雇用動向」によると、先月の就業者数は2883万5000人で1年前より35万1000人(1.2%)増えた。就業者数は2021年3月から27ヵ月連続で増えたが、増加規模は前月(35万4000人)より小幅鈍化した。

(中略)

年齢層で見ると60歳以上で37万9000人増加した。高齢層の働き口を除けば就業者数は2万8000人減少した。30代と50代でもそれぞれ7万人、4万9000人増加したが、20代で6万3000人、40代で4万8000人減少した。

(中略)

産業別に見ると保健業および社会福祉サービス業(16万8000人・6.0%)、宿泊および飲食店業(12万8000人・5.9%)、専門科学および技術サービス業(11万1000人・8.7%)などで増加した。一方、建設業は6万6000人(-3.0%)減少し、2017年11月(-7万人)以降3年6ヵ月ぶりに最大の減少幅を見せた。製造業(-3万9000人・-0.9%)も5ヵ月連続下落傾向を続けた。

従事者別の地位を見ると賃金労働者のうち常用労働者は59万1000人(3.8%)増加したが、臨時労働者と日雇い労働者はそれぞれ15万8000人(-3.3%)、13万3000人(-10.9%)減少した。日雇い労働者は昨年3月(-17万2000人)以来最大の減少幅だ。

非賃金労働者のうち雇用員のいる自営業者は5万3000人(3.8%)、雇用員のいない自営業者は4万1000人(0.9%)増加したが、無給家族従事者は4万4000人(-4.3%)減少した。

(中略)

先月の失業者は78万7000人で前年同月比10万2000人(-11.5%)減少した。失業者規模は2008年5月(76万1000人)以来最も少ない水準だ。経済活動人口のうち失業者が占める割合である失業率は2.7%で、1年前より0.3%ポイント下落した。 これは1999年の関連統計改編以来、5月基準で最も低い。

就業者でも失業者でもない非経済活動人口は1575万6000人で、前年同月比11万5000人(-0.7%)減少し、27ヵ月連続下落傾向を見せた。 このうち休んだ人口は60歳以上(17万4000人・20.1%)と20代(3万6000人・11.1%)を中心に18万1000人(8.8%)増えた。

(後略)



「5월 고용률 역대 최고지만…청년·제조업은 '고용 한파'(종합2보)(5月の雇用率は過去最高だが...青年・製造業は「雇用寒波」(総合2報))」より一部抜粋

「休んだ人口」とは、無職の中でも求職活動そのものをしていない人たちのことです。(日本だと「ニート」に近い概念)
ただ、実は韓国の統計では1時間でも賃金を受け取っていれば「就業者」に分類されるので、潜在的にはもっと居る(15~29歳の青年層で推定50万人)と言われています。

記事では失業率が「5月基準で最も低い」としていますけれども、これも「休んだ人口」は母数に入らないためです。
昨年の調査では「休んだ」理由の1位は「身体的な理由」で2位が「仕事を見つけるのが困難」だったそうです。働かなくていいから「休む」のではなく、働きたくても困難だから「休む」と考えた方が良さそうです。
そう考えると、記事の後半の部分で触れている「非経済活動人口に占める「休んだ人口」が18万1000人(8.8%)増」という部分、この人たちは潜在的失業者...つまり「隠れ失業者」と捉えた方が妥当でしょうね。