裁判所がイ・ジェミョン氏への拘束令状を棄却した話

本日(27日)未明にイ・ジェミョンさんへの拘束令状が裁判所により棄却されましたと韓国検察が発表しました。記事を読んだのは朝になってからですが、思わず「は?」と声が出てしまいました。
よくよく読んでみると、あくまで「拘束の必要性はない」という判断のようです。

イさんの逮捕状は以下の3つの容疑で出ています。
1.ペクヒョン洞開発特恵
2.対北朝鮮送金
3.偽証教唆

1つ目のペクヒョン洞開発特恵は、当時、城南市長だったイさんが何かの研究施設跡地にマンションを建てる過程で土地の用途変更などで便宜を図り城南市開発公社に200億ウォンの損害を与えたとするものです。
2つ目は2019年に中国経由で北朝鮮に送られた800万ドルの不正送金です。これは首謀者が別で逮捕・捜査されているのですが、北に渡った資金の一部がイ・ジェミョンさんの訪朝に向けた便宜をはかるためのモノだったと見られています。
3つ目は2002年の話です。KBSのプロデューサーが「検事」を名乗って当時の城南市長と通話することに加担して罰金刑を受けています。2018年の京畿道知事選のときにこの事件が「虚偽」であったかのような発言をし、再度起訴されました。その裁判である人物に「偽証」を頼んだ疑いがもたれています。今回の審査で3つ目のみ疎明されました。

 



ハンギョレの記事からです。

イ・ジェミョン拘束令状棄却...裁判所「直接的な証拠不足、防御権を保障すべき」


(前略)

ソウル中央地裁のユ・チャンフン令状専担当部長判事は同日午前2時23分頃、特定経済犯罪加重処罰などに関する法律違反(背任)、偽証教唆、特定犯罪加重処罰などに関する法律違反(賄賂)、外国為替取引法違反の疑いを受けているイ代表の拘束令状を棄却した。ユ部長判事は「被疑者の防御権保障の必要性程度と証拠隠滅憂慮の程度などを総合すれば、被疑者に対して不拘束捜査の原則を排除するほど拘束の理由と必要性があると見ることは難しい」と棄却理由を明らかにした。
疑惑と関連しては、検事詐称関連の公職選挙法違反の偽証教唆疑惑は釈明されたと見たが、ペクヒョン洞開発特恵と対北送金疑惑は争いの余地があると判断した。

(中略)

同日の令状実質審査は午前10時7分から午後7時24分までの9時間あまり続いた。ペクヒョン洞開発特恵疑惑、サンバンウルグループ対北送金疑惑、偽証教唆疑惑の順に検察と弁護団は熾烈な攻防を繰り広げた。

(中略)

1500ページ分量の意見書と数百ページのプレゼンテーション(PPT)を準備した検察は、イ代表の証拠隠滅の憂慮を強調し、イ代表側の弁護人は「罪にならないため証拠を隠滅する必要性はない」と反論した。結局、裁判所はイ代表側の手をあげた。
ユ部長判事は「ペクヒョン洞開発事業の場合、公社の事業参加排除部分は被疑者(イ代表)の地位、関連決裁文書、関係者らの陳述などを総合すると被疑者の関与があったと見るに値する相当な疑いがある」としながらも「直接証拠自体が足りない現時点で事実関係ないし法理的側面で反論している被疑者の防御権が排斥されるほどのものだと判断することは難しい」と明らかにした。
続けて「対北送金の場合、核心関連者であるイ・ファヨンの陳述をはじめとする現在までの関連資料による時、被疑者の認識や共謀有無、関与程度などに関して争いの余地がある」と述べた。

(中略)

検察はこの日、午前3時57分頃、マスコミに通知を送り「(裁判所が)偽証教唆の疑いが疎明されたと認め、ペクヒョン洞開発不正に被疑者の関与があった見るほどの相当な疑いがある」としながらも、対北送金関連に被疑者の介入を認めたイ・ファヨンの供述を根拠に争いの余地があるとした判断に対しては納得しにくく非常に残念なことだ」と明らかにした。
また「偽証教唆疑惑が疎明されたということは、証拠隠滅を現実的にしたということであるにも関わらず証拠隠滅の恐れがないと判断し、周辺人物による不適切な介入を疑うだけの状況を認めながらも証拠隠滅の恐れがないということは前後が矛盾したこと」と主張した。

(後略)



ハンギョレ「이재명 구속영장 기각…법원 “직접증거 부족, 방어권 보장해야”(イ・ジェミョン拘束令状棄却...裁判所「直接的な証拠不足、防御権を保障すべき」)」より一部抜粋

えーっと...状況証拠は十分だとしても、本人が否定していて、かつ検察側に決定的な証拠が不足している状況なわけだから、身柄を拘束するほどの強権を行使させるわけにはいかないってところでしょうか。

検察は諦めず捜査を続けるでしょうが、せっかく可決された逮捕同意案が意味なくなってしまいました。再度の拘束令状は多分無いでしょう。このまま捜査を続けて在宅起訴にするんじゃないでしょうか?