退職金を前借...日本でそんなことが出来るのかどうか、あいにく私は知りません。
が、どうも韓国では一般的?なのでしょうか?昨年、退職年金を解約した全会社員のうちの約80%が住宅購入費に充てる目的での中途解約だったそうです。
ただし、規模としては不動産市場の不振のため例年よりは「減った」のだそうです。
マネートゥデイの記事からです。
「家を買おうと退職年金を破った」会社員が多かったのに...今年は減った
(前略)
統計庁が19日に発表した「2022年退職年金統計結果」によると、昨年の退職年金総積立額は335兆ウォンで1年前より13.7%増加した。
(中略)
昨年、退職年金の中途引き出し人員は前年対比9%減少した5万人と集計された。男性が中途引き出し人員の75%、引き出し金額の81.9%を占めた。
中途引き出しの理由のうち、住宅費目的は80%に迫った。ただ、昨年は住宅売買が減り住宅購入目的の中途引き出しは減り、ジョンセ目的は増えた。
具体的には住宅購入目的の中途引き出し(2万3225人)は、前年比7.8%減の46.6%だった。金額基準でも住宅購入目的の中途引き出しは同期間1兆2659億ウォンから9698億ウォンに減った。
一方、住居賃借のために退職年金を解約した人は1万5742人で、前年(1万4870人)より増えた。
年齢別に見ると、30代の中途引き出しが最も多かった。30代(42.4%)、40代(32.2%)、50代(15.2%)などの順だった。
一方、昨年の退職年金全体加入者は694万8000人で、1年前(683万7000人)より1.6%増加した。
加入対象労働者1228万1000人のうち653万4000人が加入し、加入率は53.2%となった。
導入対象事業場159万5000ヵ所のうち42万8000ヵ所が退職年金制度を導入し、導入率は前年対比0.3%p減少した26.8%を記録した。
(後略)
マネートゥデイ「"집 사려고 퇴직연금 깼다" 직장인 많더니…올해는 확 줄었다(「家を買おうと退職年金を破った」会社員が多かったのに...今年は減った)」より一部抜粋
個人で老後資金を準備するための個人年金の積み立てのことなら、中途解約もあり得るかとも思ったのですが、記事の書き方からして企業共済としての退職金ですよね。
購入資金ではなく、ジョンセ資金としての中途解約も増えているというのは、銀行圏・第2金融あたりでローンが組めなくなった人たちという可能性が高いのではないでしょうか?
韓国の高齢者貧困率が高いのは、もしやこうした習慣が影響しているのかもしれません。
最近、韓国の66歳以上の貧困率が40.4%でOECD38ヵ国内で1位との報道が複数のメディアからありました。2022年基準だそうです。日本は20.2%です。
この数字に既視感があったので確認してみたら、今年の7月に朝鮮日報がすでに報じていました。なぜ今になって再スポットされているのかは分かりませんが、朝鮮日報が報じたときはこの結果を「統計の罠」「錯視」としていました。
というのが、OECDの基準だと中位所得50%未満の高齢者がどれだけ多いかという「相対的貧困率」しか分からないというのです。つまり、毎月入ってくる所得から諸経費を引いた可処分所得の話しかしていない、ということです。
しかし、韓国の高齢者は不動産資産に比重が偏っているため、純資産としてみた時の「絶対的貧困率」で見るべきだ、と。そうすると韓国の高齢者貧困率は21%程度に落ちる、と言う主張です。(それだと日本の60歳以上だって住宅所有率70%を超えていますから、日本の高齢者貧困率はもっと下がりますよ、という話になってしまうんですけどね)
この主張どう思われますか?私は変な話するなぁ、と感じました。
仮に家を「資産」と見なしても、経済的生活の余裕は可処分所得で成り立つのですから、貧困率を見るのなら可処分所得で見るのが妥当だろうと考えるからです。
不動産から家賃収入を得ているのだとしても、それは「所得」に含まれているはずですからね。
若い頃に退職年金を取り崩してマンションを購入し、見かけ上の「資産」は増えたとしても、先々の月額所得が減る...これが韓国の高齢者貧困率の高さの原因かもしれません。