ウクライナ迂回支援...日本と韓国の違いの話

少し前のことになりますが、日本製パトリオット・ミサイルが米国で輸出可能となりました。
米国が使用する前提の話ではありますけれども、それを日本製で賄うことで「それ以外」をウクライナ支援に回せるということで、間接的なウクライナ支援と見なせます。

この件は韓国メディアでも報じられています。その中に日本と韓国のやり方の違いに注目したものがありました。ロシアの反応を気にしたものです。
具体的には、韓国はすべて「密室」で決めたのに対し、日本は「公開手続き」で進めた点です。また、韓国は攻撃にしようされる弾丸が供給されているのに対し、日本は防御兵器だった点も取り上げられています。

 



ハンギョレの記事からです。

日、パトリオット米輸出ルート「ウクライナ迂回支援」...韓国とは異なる方式


(前略)

日本経済新聞は21日、岸田文雄政府が武器輸出などを厳しく規制している「防衛装備移転3原則」の運用指針を改正し、他国の特許を通じて日本で製造するミサイルなど「ライセンス完成品」を保有国に輸出できるようにする予定だと伝えた。これまで日本は「完成品」ではなく「部品」だけを輸出することができた。

(中略)

日本が米国にパトリオット完成品を輸出することにしたのはバイデン米政府がウクライナの防空網を補強するために同ミサイルを大量に供給し、物量が不足しているためとみられる。日本経済新聞は「パトリオットの輸出は米国の要請で行われるものだ。日本が米国のパトリオット不足分を埋めれば、米国がウクライナなどに引き続き支援できるようになる」と述べた。今年上半期、韓ロ関係を破綻させた155㎜砲弾「迂回支援」論議の時と同じ状況が発生したわけだ。

しかし韓日間には少なからぬ違いも目立つ。最初から最後まですべての決定を密室で下した韓国とは違って、日本は運用指針の改正だけでなく、国家安全保障会議を通じた輸出決定など、すべての手続きを公開的に行っている。輸出対象が攻撃兵器である砲弾ではなく防御兵器であるパトリオットという点も大きな違いだ。また無分別に輸出の道を開いたのではなく、対象を米国が特許を持つ「ライセンス武器」に限定した。米国を通じた「迂回支援」論議は避けられないが、戦争中のウクライナに直接日本の武器が流れることを遮断するなど「形式的名分」も確保した。

(中略)

これに比べ、韓国政府は相手の人命を直接殺傷できる155ミリ砲弾数十万発を不透明な方式で米国を通じて「迂回支援」した。 ワシントンポストは4日「韓国が究極的にすべてのヨーロッパ国家を合わせたものより多くの砲弾をウクライナに供給した」と伝えた。

(後略)



ハンギョレ「일, 패트리엇 미 수출 길 터 ‘우크라 우회지원’…한국과는 다른 방식(日、パトリオット米輸出ルート「ウクライナ迂回支援」...韓国とは異なる方式)」より一部抜粋

韓国の155㎜砲弾は50万発を「貸与」という形で提供されているとのことです。消耗品である弾薬を「貸与」というのは異例です。これは購入するのではなく、あとで同数を現品で「返す」意味となるはずです。どういう思惑からかは分かりません。

韓ロ関係の破綻というのは今年9月、ちょうどロシアと北朝鮮の首脳会談の直前に、ロシア外務省第1アジア局長に当たる人がインタビューで「ウクライナに直接・間接問わず武器や軍事装備を供給する無謀な決定を下さないよう」「無謀な軍事支援は韓ロ関係を破綻させることもあり得る」とし、「韓国の動向を注視している」と名指しで言及したことを踏まえているものと思われます。