1970年代、海外養子縁組ブローカー問題を韓国政府が「黙認」していた話

「真実・和解のための過去史整理委員会」が1974~81年に韓国外交部が作成した公式文書から、海外養子縁組問題を韓国政府が「黙認」していた「証拠」を見つけたそうです。

文書によると当時、ベルギー領事が外交部に「ブローカー」の介入を指摘、是正措置を取るよう要請していたものの担当部署が違う、とたらい回しにした挙句、担当部署では「養子縁組は民間レベルの事業」であることを理由に韓国政府の関与を拒否。手数料を受け取るブローカーがいるならそれは「ベルギーの問題だ」と一蹴していたとのこと。

 



ハンギョレの記事からです。

[単独]「韓国の子どもは1200ドルで取引」...パク・ジョンヒ元大統領との会談を要求したベルギー


(前略)

ハンギョレが12日、国家記録院から入手した1974~1981年に外務省が作成した「孤児国外養子縁組」関連の対話録文書を見ると、当時、ベルギー政府が違法ブローカー介入など韓国児童の海外養子縁組を巡る問題を数回提起したが、韓国政府が黙認した情況が多数確認される。業を煮やしたベルギー政府はパク・ジョンヒ大統領との面談まで要請した。

(中略)

養子縁組の見返りに金銭が行き来すれば自動売買と見なされるため、ベルギー政府はこれを深刻な事案として受け止めたものと見られる。バンホーブ領事はク欧州局長に「昨年も保健社会部局長に会ってこの問題を申し上げたが、何の結果も得られなかった。韓国政府が積極的に(ブローカーの介入を)阻止するよう駐ベルギー韓国大使にも忠告したが、何の措置も取られなかった」と強く抗議した。

(中略 ※当時の韓国の国内法でも手数料として請求できるのは養子斡旋に掛かった実費のみと規定されていたことに触れ)

会談でバンホーブ領事は、韓国政府高官が養子縁組の手数料を受け取っているというベルギー内の噂にも言及した。民間業者と政府間のある種のカルテルがあるのではないか、という圧迫だった。

ク欧州局長は「担当の(保健社会部)婦女児童局長に会って話すように」と答えた。しかし同日の面談の1年前の1977年6月27ん地位、バンホーブ領事はすでに保健社会部の婦女児童局長に会い、同様の要旨で抗議したことがある。特別な措置がなされなかったため、1年後に保健社会部ではなく外務部を訪ねたのだが、再び保健社会部に差し戻されたのだ。

翌日、バンホーブ領事に会ったポ・サブ婦女児童局長は「孤児の養子縁組問題は民間レベルの事業だ。韓国政府は関与していない。もし(手数料を受け取るブローカーが)いるなら、それはベルギーの問題だ」と答えた。

その後、問題は解決されないまま国外の養子縁組はさらに拡大した。昨年報道された1998年保健社会部作成の青瓦台報告文書を見ると「4つの養子縁組機関が里親から児童1人当たりの養子縁組手数料450ドルと航空料を受け取っており、養育費の他にも3千ドルから4千ドルの斡旋費を追加で受け取っている」という内容が含まれている。

(中略)

1977年にベルギーに養子縁組されたユング・ピエレンスさん(47)は「当時、韓国政府が養子縁組の誤った慣行に目をつむったという事実は衝撃的だ」とし「このような不注意が数万人の子どもや家族、養父母に及ぼした被害は相当なものだ。韓国政府が必要な措置を取っていたら、私のような養子が実の親から離れて地球の反対側の国に連れて行かれなかっただろう」と話した。



ハンギョレ「[단독] “한국 아이 1200달러에 거래”…박정희 면담 요구한 벨기에([単独]「韓国の子どもは1200ドルで取引」...パク・ジョンヒ元大統領との会談を要求したベルギー)」より一部抜粋

「民間のやることに政府は関与できません」...よく聞く言葉です。「民主主義」は「民間のやることを止められない」の意味だと思っているんでしょうかね?

韓国が国ぐるみで海外養子縁組を奨励(?)していたことはまず間違いないことです。ユダヤ人への憧れから国為的にディアスポラ状態を作ろうとでもしたんでしょうかね。各国に居る同胞たちが裏から国家を牛耳るとか、韓国人が好きそうな陰謀論的発想じゃないですか?
ちなみに、2020年時点で公式データで分かるだけでも海外養子縁組の件数は未だ世界3位(266人)です。少子化で大騒ぎしているというのに。

それでも、最後の養子縁組された「被害者」の弁にはちょっと違和感があります。
我が子を手放すまい、と必死で抵抗する実の親から子どもを引き剥がして海外に売り飛ばす...そういう絵を想像させようとしているような気がします。

恐らくですが、この記事に「政権批判」の意図があるのだと思います。取り上げられている海外養子縁組の件自体は過去のケースですけれども、韓国の海外養子縁組は現在も行われていますし、昨年にはニューヨークタイムズが繰り返し取り上げ、それを受けて韓国国内メディアが「ビジネス」や「輸出」という側面で海外養子縁組の「闇」を記事化しています。
その際、現行の「養子縁組特例法」に触れ、事後管理が充分行き届いていないにも関わらず監督部署が2025年まで現行法を維持する意向であることを批判的に報じていました。


つまり、選挙前のこの時期に海外養子縁組の「闇」を暴くことは、そのまま現政権への攻撃にもなるってことです。
実際はパク・ジョンヒ政権から現ユン・ソンニョル政権まで、右派も左派も関係なく、問題をスルーしてきた全政権を攻撃することになるんですけれど、時系列という「流れ」ではなくピンポイントの「点」で物事を認識したがる韓国人には関係ありません。