昨年、韓国の経済成長率(1.36%)に占める輸出の割合が86.1%(1.17%)だったことが分かりました。
輸出産業が経済成長率を牽引したという見方もできますが、裏を返すと内需がそれだけ萎縮していたとも取れます。
デジタルタイムズの記事からです。
韓国経済を支える「輸出」...昨年の経済成長率86%に寄与
(前略)
韓国貿易協会国際貿易通商研究院が2日発表した「2023年輸出の国民経済寄与効果分析」によると、昨年輸出の経済成長寄与度は1.17%ポイントで、昨年の韓国経済成長率(1.36%)の86.1%をけん引したと分析された。実質国内総生産(GDP)で輸出が占める割合は2020年代に入って最も高い35.7%を記録した。
韓国の輸出の生産誘発額は2020年以後、年平均7.4%増加し、昨年1兆2000億ドルを記録したものと推定される。昨年の総輸出額対比生産誘発額として算出した生産誘発度は1.94倍で2020年以降最高値を記録した。特に自動車輸出の生産誘発額は2313億ドルで2022年比21.7%増加し、生産誘発度も平均値(1.9倍)を大きく上回る2.5倍となった。
(中略)
昨年基準で韓国全体就業者2842万人の内、輸出と直接・間接的に関連がある就業者は483万人で全体就業者の17.0%を記録した。
(後略)
デジタルタイムズ「韓경제 버팀목 ‘수출’…작년 경제성장률 86% 기여(韓国経済を支える「輸出」...昨年の経済成長率86%に寄与)」より一部抜粋
今年4月まで7ヵ月連続で韓国の輸出は回復傾向にあるとされています。しかし、輸出景気回復は国内消費に影響を及ぼしていないようです。つまり内需はまだ回復していません。
韓国経済研究院が、今年の第1四半期をターゲットにしたレポートを発表しています。
聯合ニュースの記事からです。
現代研「輸出回復の落水効果微弱…家計・企業の確信が不十分
輸出回復による温もりがまだ内需に十分に拡散していないという分析が出た。
韓国経済研究院は2日、「ピボットまで残った時間、経済心理安定のためのブリッジ戦略が必要」というタイトルの報告書を通じてこのように診断した。
輸出は米国市場の好調、半導体輸出回復、前年度基底効果などの影響で4月まで7ヵ月連続増加傾向を持続した。
しかし輸出景気回復が消費に及ぼす「落水効果」はまだ微弱な水準と評価された。
4月の輸出増加率は前年同月比13.8%で、3月(3.1%)より大幅に上昇した。対米国輸出が好調を持続し、対中国輸出も小幅増加傾向を記録した。
一方、4月の消費販売は前年同月比2.6%減少した。特に耐久財(-3.5%)の低迷が長期間続いている点を考慮すれば、家計購買余力が回復できずにいるものと見られる。
研究院は最近、家計と企業心理に対して「高金利と高物価などの市場条件で実際の実物経済が回復するという自己確信が十分ではない」と要約した。
(後略)
聯合ニュース「현대硏 "수출 회복 낙수효과 미약…가계·기업 확신 불충분"(現代研「輸出回復の落水効果微弱…家計・企業の確信が不十分」)」より一部抜粋
レポートの分析では「消費者が先行き不安だから財布の紐を締めて消費をしない。だから消費販売は低迷している」と読めるのですけれど、しかしこのブログでも度々取り上げているように家計負債の規模は増えています。延滞率の高まりや不良債権の規模拡大を恐れた銀行圏が融資の審査基準を引き上げたという話もあります。
それを受けて、借りられなくなった人たちがカードローンに流れており、こちらの規模も急増しているとの記事を紹介しました。
その資金はどこに流れているのでしょう?レポートの分析の通りなのであれば耐久財(自動車、家具、家電などの長期間使用するもの)ではないのでしょう。
カードローンという比較的短期の低額融資であることを鑑みると、日用品購入などの生活資金に充てられているのではないかと思われます。
仮にそうだとすると、日常生活を借金に頼っているということになるわけでレポートのいう「経済回復への実感が充分ではない」だけというような軽い話では無いような気がします。