「日本車販売台数が不買運動前の水準に戻ったのは割引セールのお陰」な話

先日、ユニクロと無印の公式アプリ利用者が不買運動前の水準に回復しつつある、という記事がありましたが、今度は日本車です。

デジタルタイムズの記事によると、KAIDA(韓国輸入車協会)が発表したデータで、2019年に韓国国内で販売された日本車は3万6661台(前年比-19%)、このうち不買運動前の上半期の販売台数が2万3483台で全体の約65%となっています。

不買運動が始まった7月以降の月販売台数は7月2674台、8月1398台、9月1103台。上半期の月平均が約4000台なので、かなりの落ち込みです。

ですが、10月以降は状況が変わります。3ヶ月で約8000台が売れた計算になります。

記事ではこの理由を「安売り攻勢」と分析しています。

デジタルタイムズの記事からです。


爆弾セールの威力..「不買」前水準に回復した日本車


日本車業界が昨年、不買運動を乗り越えて二桁シェアを守ることに成功した。
昨年9月の月間1000台の販売も危ういという懸念が提起され、年末まで続いた大規模なプロモーションに支えられた結果だ。昨年最後の月の売上高は、不買運動後の最多レベルで不買運動前を入れても5番目に多い。

(中略)

崖っぷちに追い込まれた日本車業界は10月から大規模な割引に乗り出した。販売拡大を図ると同時に、年末を控えて持っていた在庫を捌く性格も強かった。効果は十分に出た。7月に日本不買運動が本格化してから、日本車「ビッグ3*1」が同時に成長を示したのは10月が初めてだった。


(後略)

デジタルタイムズ「폭탄세일의 위력 .. '불매'前 수준 회복한 일본차(爆弾セールの威力..「不買」前水準に回復した日本車)」より


ユニクロヒートテック贈呈キャンペーンの時も同じ構図でしたが、こういう見方は止めたほうが良いと感じます。
確かに、日本車のプロモーションの影響は大きかったと思います。でも、決定権は消費者にあるわけです。
政治問題で消費者の消費行動はそうそう変わらない、という良い例だと見る方が良いのではないでしょうか。


それなのに「売れたのは割引のお陰」という一辺倒な見方をしてしまうとただの自虐になってしまいます。
愛国を叫びつつ不買運動を推進しておいて、結局割引に弱いのか、と…。
イタズラに自尊心を傷つけて劣等意識を持つ必要はありません。(なぜか韓国人はそういうのが好きみたいですが…精神衛生上、健全とは言い難いかと)


個人的には、消費者の立場からすれば「より良いもの」が欲しいというのは当然の心理であり、自分の要求を満たすものを吟味した結果、日本車を買ったという人たちは理性的だと感じます。

世論が敏感になっている時は購入を避け、落ち着いた頃を見計らって購買に動いたというのも非常に冷静な判断だと思いますし、メディアもそろそろ視点を切り替えてみる時期じゃないかと思います。政治問題は消費行動では解決できない、と。


韓国が完全に日本からの「モノ」を遮断することは不可能です。
にも関わらず、「不買」という「モノの遮断」という手段に出れば、必ずどこかで頓挫します。(個人の自己満足なら別ですが…)

その度に(勝手に)挫折感を味わい、(勝手に)自尊心を傷つけ、(勝手に)劣等感を募らせて、その矛先を再び日本に向けることを繰り返します。
そして傷ついた自尊心を慰めるために都合の良いように、都合の良い所を見て、都合の良い解釈をした精神的勝利でお茶を濁すのです(認知的不協和)。

あるいは、日本製品購入者を「親日」「売国奴」と定義し、自分たちの中で(勝手に)魔女狩りを始めます。


巻き込まれるこっちの身にしたら、たまったもんじゃありません。


*1:トヨタ、日産、ホンダ