朝鮮戦争は「米国による侵略戦争」という話

中国共産党の機関紙である人民日報や国営の中央放送を含む複数の中国メディアが朝鮮戦争「米国の侵略戦争と表現しました。
国連安全保障理事会は1950年の決議で北朝鮮による韓国への侵略戦争と定義しています。


中央日報の記事からです。

中、人民日報、臆面もなく「韓国戦争は米の侵略」..「北の南侵」そっくり抜いた


中国国営の新華社通信と中国中央放送(CC-TV)、共産党機関紙の人民日報が、韓国戦争を米国が起こした侵略戦争と主張した。韓国戦争を中国が北韓を助けて米国に対応したという「抗米援助」戦争の主張よりもさらに進んだ歪曲だ。

(中略)

9日、中国の非政府組織(NGO)を名乗る「中国人権研究会」は 「米国の対外侵略戦争が深刻な人道主義の災難をもたらした」 という7500人余りの報告書を発表した。報告書はただちに中国国務院(政府)が運営する国営新華社通信が電文で伝えた。この日、国営中国中央放送(CC-TV)は主要ニュースの新聞聯播*1で報じ、党機関紙の人民日報は10日付7面に全文を掲載した。

第二次世界大戦後、米国が起こした主要な侵略戦争」を扱った報告書の第一章は「朝鮮(韓国)戦争」から始まる。報告書は「20世紀50年代始めに発生した朝鮮戦争は期間が短かったが血が飛び散った」とし「戦争で平民300万人余りが死亡し、難民300万人余りが発生した」と記した。続いて「韓国側の損失は412億3000万ウォンで、公式為替レートで69億ドルに当たる。韓国戦争中、住宅約60万棟、鉄道46.9%、道路1656個、橋梁1453ヶ所が破損した」と記述した。チャプタータイトルに「米国が起こした侵略戦争」と書いたのみで本文で北韓の南侵、中国軍の介入には言及しなかった。 韓国の被害を北・中ではなく米国の責任に転嫁しようという意図的な記述だ。

(中略)

報告書を作成した「中国人権研究会」は事実上の中国共産党傘下の機構だ。公式ホームページの「中国人権網」は中国の人権分野で全国的な最大学術団体として国連経済社会理事会(UNECOSOC)の特別諮問資格を持つ非政府機構だと紹介した。

(中略)

しかし中国はすでに「6・25は北韓が勝手に起こした妄動」とし、北韓の南侵を認めた。2017年5月4日、人民日報海外版が運営する侠客島という微信(ウェイボー・モバイルメッセンジャー)媒体を通じてである。当時、侠客島は「もし金日成韓半島を統一しようとしなかったら、どのように戦争が勃発しただろうか。中国が巻き込まれ、数十万の生命を対価として支払った」とし「北韓が当時『勝手に』犯した妄動の大部分を中国が支払っている」と述べた。

(中略)

その後、中国では韓国戦争への介入を美化した映画やドラマ制作がブームとなった。韓国戦争当時、金剛川戦闘を扱った映画「金剛川」が昨年10月に公開された。今年始めには40部作のドラマ「鴨緑江」を放映して韓国戦争への介入を美化する「6・25工程」を継続したが、韓国政府は公式に抗議していない。

中央日報「中 인민일보, 대놓고 "한국전쟁은 美침략"..'北남침' 쏙 뺐다(中、人民日報、臆面もなく「韓国戦争は米の侵略」..「北の南侵」そっくり抜いた)」より一部抜粋


一言で言うと「(したた)か」ですかね。
自分の都合に合わせて立場を変える...成り上がれるでしょうけれど、一歩踏み外すと一気にひっくり返されちゃいそうです。
「恩と仇」というより、分かりやすい「力と利害」で関係を構築していくので、いざというときに頼れる仲間には恵まれないタイプでしょうか。

こういう所が日本と明らかに違う所かな、と思います。多分、韓国とも違うでしょう。
日本はコロコロ立場を変えることが出来ない(不器用)...韓国は下心を隠しきれない...そんな気がします。

*1:19:00-19:30に放送されているニュース番組。中国本土で最も視聴率が高い。