日本製鉄を相手取った徴用訴訟、一審原告敗訴の話

徴用訴訟で原告敗訴判決が出ました。6月7日8月11日に続いて3つ目です。

裁判官は8月の「消滅時効」のときと同じ人だそうなので理由も同じだと思われます。6月の「請求権協定に含まれる」という模範解答とは違いますが、落とし所としては及第点でしょうか。

フィナンシャルニュースの記事からです。

強制徴用被害者、日本企業相手にまた敗訴...今回が3回目


日本による強占期の強制徴用被害者らが日本企業を相手に起こした損害賠償請求訴訟でまた敗訴した。強制徴用被害者らの敗訴は今回で3回目だ。ソウル中央地裁民事25単独パク・ソンイン部長判事は8日、強制徴用被害者遺族チョン某さんら4人が日本製鉄を相手に「強制徴用による損害を賠償せよ」として起こした訴訟で原告敗訴を言い渡した。裁判所が遺族の損害賠償請求権が満了したと判断したと見られる。


チョンさんは1940〜1942年、日本の岩手県の製鉄所に強制徴用されたと主張した。これを受け2019年4月に日本製鉄に2億ウォン賠償するよう訴訟を起こした。日本製鉄側は被害者の身元が不明瞭で記録が不正確であるとし、賠償できないと対抗した。


裁判所の結論は「棄却」であった。先立ってこの裁判所は先月11日、強制徴用被害者の子であるイ某さんら5人が三菱マテリアル(前三菱鉱業)を相手に起こした損害賠償訴訟で原告敗訴の判決を言い渡した。「消滅時効が過ぎたため賠償責任を問えない」というのが理由だった。


判決後、チョンさんらの弁護人のチョン・ボムジン弁護士は「同じ判事が先月11日に消滅時効経過で請求を棄却したのと同じ趣旨と考える」とし「光州地裁の判例は2018年を起算年と見なし争う必要がある」と言及した。続いて「差し戻し審を基準に消滅時効を算定するべきだと考えており、控訴を真剣に考慮する」と付け加えた。



(後略)


フィナンシャルニュース「강제징용 피해자, 일본 기업 상대 또 패소.. 이번이 3번째(強制徴用被害者、日本企業相手にまた敗訴...今回が3回目)」より一部抜粋

1940〜42年なのであれば徴用工ではなく募集工です。

「強制徴用」の定義が「併合期に日本で働いていた」に拡大解釈されていることが良くわかります。この根底にあるのは併合そのものを「違法(不法)」とする考えなんでしょう。

徴用は違法では無い以前に、そもそも徴用工ですら無いのですから訴訟自体が無効なのですけれど、韓国内の事情を考えるとこの辺りで落とし所を探るのは仕方ないのかもしれません。

ところで、ちょっと失礼な話なんですけど原告弁護士の名前に最初驚きました。チョン・ボムジンさん、ハングル表記だと「전범진」になります。前2文字「전범」って「戦犯」と同じ表記なんですよ。流し読みしてたときに目について、「戦犯陣」って新しい単語が出来たのかと思ってびっくりしました。