新たな徴用訴訟判決、日本製鉄に1億ウォンの賠償命令の話

韓国大法院(最高裁)がまた徴用訴訟で日本企業の賠償責任を認める判決を出しました。
第3者弁済でまとまっている話ですし、韓国の国内問題との認識で構わないと思いますが一応。
「またか」くらいの気持ちで読み流してください。

 



京郷新聞の記事からです。

最高裁、日本企業強制動員賠償また確定...差し押さえ手続きにも突入


(前略)

最高裁判所1部(主審ノ・テアク最高裁判事)は強制動員被害者A氏の遺族が日本製鉄を相手取って起こした損害賠償請求訴訟の上告審で日本製鉄が遺族に1億ウォンを賠償せよという原審判決を確定した。遺族が訴訟を起こしてから8年8ヵ月ぶりに出た結論だ。A氏は死亡した状態だ。

(中略)

最高裁は2018年全員合議体判決法理により1965年韓日請求権協定で強制動員被害者個人の損害賠償請求権が消滅しなかったと明らかにした。被害者があまりにも遅く訴訟を起こし消滅時効が完成したという日本製鉄の主張も受け入れなかった。最高裁2018年全員合議体判決が出てから被害者が請求権の存在と被害救済の可能性を認識できたので消滅時効が完成したという主張は成立しないとした。

昨年12月28日、日立造船強制動員損害賠償訴訟で勝訴が確定した被害者側は前日、ソウル中央地裁に担保供託に対する差押追審命令申請書を出した。日立造船が裁判過程で裁判所に一部金を預けたことがあるが、この金を賠償金として差し押さえるための手続きを踏むのだ。先立って判決が確定された被害者たちも三菱重工業などの国内資産を差し押さえ、取り立てするための法的手続きを踏んできた。被害者代理人団によると、裁判所に訴訟70件余りが追加で係留されており、今後類似の動きが続くものと見られる。

政府が日本企業賠償金を政府傘下の財団基金として代わりに支給すると裁判所に供託を出したが裁判所は受け入れていない。

(後略)



京郷新聞「대법, 일본기업 강제동원 배상 또 확정···압류 절차도 돌입(最高裁、日本企業強制動員賠償また確定...差し押さえ手続きにも突入)」より一部抜粋

そういえば日立造船って名前変わりますよね。何だったか全く覚えてませんが...「日立」も「造船」も関係なかったのだけは憶えています(意味ない)。

しかし、こうも続くと第三者弁済っていったい何だったんだろうなぁ、とつくづく思いますね。日本企業は基金に参加しなくて正解です。(多分、後日また「資金が足らない」との記事が出るかと...)


「2018年全員合議体判決が出てから被害者が請求権の存在と被害救済の可能性を認識できた」...?何を言ってるのでしょう?
救済の可能性云々は訴訟を起こす/起こさないの判断には関係ありません。例え本人たちが「どうせ救済されないから」と思っていたとしても、訴訟を起こす自由はあったのにそれを行使しなかったのなら消滅時効は成立すると考えられるのではないでしょうか?
それに、救済なら2005年に廬武鉉政権でもやっています。十分救済の可能性は認識できていたと思います。


ちなみにですが、当ブログで徴用訴訟関連の記事を読まれている方や日韓関係事情に詳しい人には周知のことかと思いますけれども、1965年の日韓基本条約とそれに付随する請求権協定で「解決済み」であることと、(自称)徴用被害者たちが「訴訟を起こす自由」は両立します。(日本側がよく言う「求償権は認められている」はコレのこと)
訴訟を起こした上で裁判所が「日韓請求権協定で解決済み」として日本企業および日本政府への賠償請求を棄却すればいいんです。そして必要があれば韓国内で処理すべきことです。

たまに「制度の間で補償を受けられなかった人たちがいる」と問題提起をする人がいます。言いたいことは分かります。
ですが、それこそ日本企業や日本政府の責任を問うのはお門違い。韓国政府に言うべき問題です。そのための請求権協定だったのですから。