「韓国はナッツクラッカーに追い込まれている」という話

韓国には「ナッツクラッカー(くるみ割り器)」と呼ばれていたことがあったんだそうです。私は初耳でした。
価格競争力に優れた中国と、強い技術力を持つ日本の2カ国に挟まれた韓国は、くるみ割り器に挟まれたくるみのように押しつぶされる、と。日本語で「サンドイッチ論」という経済用語がありますが、それと同じような意味だそうです。

1997年のIMFのころに米国のコンサルティング会社が出した韓国関連の分析報告書に出てきた指摘だそうです。
その後、韓国は「(メモリ)半導体強国」となったので、この報告書の提示した「最悪の未来」は回避したことになりますが、最近また似たような状況に追い込まれようとしているのではないか、と。そんな記事です。

 



アジア経済の記事からです。

「くるみ割り機械」に追い込まれた韓国とサムスン電子


(前略)

韓国にナッツクラッカーというニックネームが最初についたのは1997年です。国際通貨基金IMF)の危機が起こる直前でした。米国の有名なコンサルティング会社「ブーズ・アレン&ハミルトン」が韓国を分析した報告書を出しました。タイトルは「21世紀に向けた韓国経済の再跳躍」でした。報告書は当時、韓国経済の奇跡が終わったと指摘しました。特に低価格を打ち出した中国と優秀な技術を誇る日本の間で、韓国が「ナッツクラッカーに挟まれたクルミになった」と指摘し、話題を呼びました。

実際、当時の中国は安価な労働力と為替政策を利用して恐ろしく成長していました。世界銀行によりますと、1991年9.3%だった中国の成長率は1992年14.3%、1993年13.9%、1994年13.1%に跳ね上がりました。

(中略)

1990 年代、日本の技術力は言うまでもなく世界最強でした。1980年にはメモリー半導体DRAMの先頭走者は米国企業のインテルでしたが、日本企業が追い越してしまいました。1989年の半導体市場の順位を見てみると半導体企業ランキング1~3位はNEC東芝、日立の順でした。

(中略)

状況がこうなので、報告書はぞっとするような警告を出しました。ナットクラッカーから抜け出せなければ、韓国は2等国家に転落してしまう恐れがあるという指摘でした。韓国が生き残るためには経済構造、政府の役割、対外関係を大々的に改編しなければならないと主張しました。

(中略)

結果的に韓国はナッツクラッカーの危機を乗り越えました。サムスン電子やSKハイニックスなどの半導体企業が技術覇権を獲得し、ITのような先端分野で急速な発展を成し遂げました。懸念とは裏腹に、価格は日本よりも安く、技術は中国よりも先に進んでいます。

(中略)

しかし最近、ナットクラッカーの危機に見舞われたという分析が再び出ています。今回も対象は半導体企業です。今、半導体市場はファウンドリを中心に企業間の競争が加速化しています。アメリカと中国は半導体の覇権を握るために競争に熱を上げています。過去に私たちの半導体企業が技術を開発し価格を下げて生き残ることができたとすれば、今は主要強大国の「自国優先主義」にまで対抗しなければならない状況であるわけです。

(後略 ※各国の「補助金」政策に言及。韓国の半導体企業家らが産業通商資源部長官に直談判したとのこと)



アジア経済「‘호두까기 기계’에 몰린 한국과 삼성전자[송승섭의 금융라이트](「くるみ割り機械」に追い込まれた韓国とサムスン電子)」より一部抜粋

結論は「もっと補助金出せ」です。補助金だけで源泉技術が湧いて出て来るものでもないでしょうに。サムスンやSKが「自己努力」による「技術開発」だけで(メモリ)半導体の覇権を取れたと本気で思っている限り、先は長くないと思いますが...。

半導体地政学的影響をモロに受けます。日本の半導体は米国に「目障り」だったので潰されましたが、その過程で韓国が反射利益を受けました。
現在は、別に韓国が目障り扱いされているわけではありませんが、韓国は経済を「中国と共に」しています。本人たちがホンネの部分でどう認識しているのかは分かりませんが、少なくとも政府もメディアも「安米経中」を旗頭に掲げ、半導体を「経済」の領域で見ます。
現状がこうですから、日本を潰したときのように韓国を使うわけにはいかないでしょう。当時の韓国の役割を台湾と日本が引き受けて、韓国は「現状維持」を容認されるぐらいがせいぜいかと。