サムスン重工業、17隻のロシア船舶契約解除通知を受け仲裁裁判所に提訴した話

サムスン重工業がロシア企業から受注していた船舶17隻の契約解除通知を受け、さらには契約金8億ドル(約1億1000億ウォン)とその利子(延滞金)の返還要求を受けているとのことです。
サムスン重工業側は契約解除を不当としてシンガポールの仲裁裁判所に提訴しています。

 



マネーSの記事からです。

サムスン重、ロシア船舶17隻の契約解除通知を受け…「仲裁裁判所に提訴」


(前略)

14日、電子公示システム(DART)によると、サムスン重工業は2020~2021年にロシアのズヴェズダ造船所から受注した液化天然ガスLNG運搬船10隻とシャトルタンカー7隻、計17隻に対する契約解除通知を受けた。

ロシア・ウクライナ戦争の余波でズヴェズダ造船所が米国政府の特別制裁対象者(SDN)に指定され船舶建造が不可能になり、以後交渉過程で船主社がサムスン重工業との契約を一方的に解約し、手付金8億ドル(約1兆1000億ウォン)返還を要請したのだ。

(中略)

サムスン重工業関係者は「現在SDNに指定された船主会社といかなる資金取引も不可能な状況」とし「今回の船主会社の契約解約通知は不適法なのでシンガポール仲裁裁判所に提訴し契約解約の違法性および返還範囲などを争う一方、交渉を継続する計画」と明らかにした。



マネーS「삼성重, 러 선박 17척 계약 해지 통보받아…"중재법원에 제소"(サムスン重、ロシア船舶17隻の契約解除通知を受け…「仲裁裁判所に提訴」)」より一部抜粋

ロシア企業から発注された船舶の契約が解除されるのは今回が初めてではありません。
2022年にはハンファオーシャンが受注していた液化天然ガスLNG運搬船3隻、約8億7100万ドル相当の契約が解除されています。昨年には現代サムホ重工業が、同じく液化天然ガスLNG運搬船3隻、約5億5000万ドル相当の契約解除を発表しています。
どちらもソブコンフロートというロシアの海運会社からの受注で、この企業がロシア‐ウクライナ事態発生以降、制裁対象企業となっていることから契約解除に踏み切ったものとみられています。ただ、こちらは訴訟に発展してないようです。

今回サムスン重工業が提訴したのは「ロシア企業側が一方的に契約不履行を主張し、契約解除通知および手付金8億ドルと延滞利子を要求したから」とのこと。
ですが、詳しく経緯を見てみるとこの主張に私はちょっと首をかしげてしまいます。

まず、今回解除された契約が結ばれたのは2020年の10隻と2021年の7隻です。その後、2022年にロシア‐ウクライナ事態が勃発すると、サムスン重工業側はロシア現地の人材を撤収させています。この時点で作業は完全に止まりますよね。
そして、相手のロシア企業が西側の制裁対象企業となり、事実上、契約船舶の建造が不可能な状態でした。

サムスン重工業側は「契約維持のための交渉を続けていた」という立場で、それによりロシア側の「一方的な契約解除は不当」との主張になるのですが、この状況で契約維持が出来るとする方が無理がある気がします。「契約不履行による契約解除」の方がスッキリするんですけど、どうなるんでしょうね?

全然関係ないけですけど「ズヴェズダ造船所」の「ズヴェズダ」は「星」という意味だそうです。「サムスン三星)」と相性良さそうな名前ですね。