不動産PFの自己資本比率がたったの3%…97%は借金「世界で唯一」という話

韓国でたびたび話題となる不動産PF(プロジェクトファイナンス)ですが、その施工会社が総事業費のおよそ97%を借金で賄っているという調査結果が出たそうです。残りの3%だけが自己資本投入となります。
こんな国は他にありません。韓国以外の調査対象国は自己資本比率30%~40%、韓国のおよそ10倍です。

 



韓国経済TVの記事からです。

「韓国の不動産PF97%は借金...世界で唯一」


(前略)

韓国開発研究院(KDI)が最近3年内(2021~2023年)に推進された総額100兆ウォン規模のPF事業場300ヶ余りの財務構造を分析した結果、施行会社は自己資本を3.2%だけ投入し96.8%は借りたお金で埋めたことが分かった。米国や日本、オランダ、オーストラリアなどが30~40%の自己資本比率を示しているのとは対照的だ。

このように奇形的な構造から2019年基準で100兆ウォン未満だったPFエクスポージャー(融資+保証)は、4年ぶりに160兆ウォン水準に急増した。この十数年間、慢性的に繰り返された問題で2011年に30余りの貯蓄銀行がバンクランで崩壊し、10万人以上の顧客が損失を被った事例がいつでも再発できるという意味だ。

投入資本は少なく収益性は高いため、いわゆる「一発」を狙う行動が現れ、数多くの零細施行会社が乱立する問題につながる。実際に2020年基準で登録された施行社は6万社を越えるが、このような低資本・高保証構造は事業性評価不良と無条件投資、マクロ変動性拡大を通じて結局システムリスクを招き危険を社会化するという指摘だ。

(中略)

KDIマクロ・金融政策研究部のファン・スンジュ研究委員は「主要先進国の中でどの国でもこのような構造は見られない」とし「今後、自己資本を拡充し保証依存度を減らす方向でPF構造を改善しなければならない」と話した。続けて「金融会社に不動産情報と金融情報を同時に要求する法がない点が問題」として「国土部と金融委、企画財政部が不動産と金融情報を統合情報として要求し公示できる権限を与える法が制定されなければならない」と付け加えた。



韓国経済TV「"韓 부동산PF 97%는 빚…세계 유일"(「韓国の不動産PF97%は借金...世界で唯一」)」より一部抜粋

ちなみに他の国の割合は、日本が70%:30%、米国が67%:33%、オランダが65%:35%、オーストラリアが60%:40%です(すべて「ローン:自己資本」率)。

「どうせマンションは値上がりするから借金で購入して利子だけ支払い、値上がりしたところを売って一括返済すれば良い」
「どうせマンションは売れるから借金で建設して利子だけ支払い、売れた後で一括返済すれば良い」

…全く同じ発想ですよね。
記事中に出てくる「一発」というのは要するに「大当たり」という意味ですが、こういう発想が出てくる時点でそれはすでに「投機」とか「博打」と言える状態じゃないでしょうか?

また自己資本比率を高めるという改善策が提案されていますが、言うは易し。そんなことをすれば不動産業界に本気でとどめを刺すことになりかねません。
ただ、そもそもが事業を全うするだけの資金力のない事業所が平然と参入出来ている、という状態が異常なわけで、身の丈に合わないことをしているんですね。それで「一発」を狙う「All or Nothing」状態。
これが是正されるというのであれば長期的には真っ当になるのでしょうが...ハリボテを壊すわけですから、韓国経済への相当の打撃を覚悟すべきでしょうね。