円キャリートレードの清算こそが原因?という話

昨日、日経225が1987年のブラックマンデー超えの4451円の下げ幅を記録しました。今日は打って変わって史上最大の3217円の上げ幅を記録しました。しばらくは乱高下しそうな気配です。

原因は米国の景気後退懸念と、日本の政策金利が引き上げられたこと、さらにはAIバブルの縮小、中東情勢への懸念...などが挙げられています。
影響を受けたのは日本だけではなく、韓国も台湾もなのですが、お隣の韓国では日本の政策金利が引き上げられたことで大量の円キャリートレード清算が発生したことに注目しています。というか、時間が経つにつれて「これこそが真の原因」という視点の記事が増えてきているように感じます。

キャリートレードとは、低金利の日本で円貨で資金を調達し、金利の高いところに投資して投資利益+利ザヤを稼ぐことです。
日本と米国の金利差が縮まると、円キャリートレードのメリットが薄れるので清算する流れになるのですね。

で、韓国がこの円キャリートレード清算の流れを気にするのは、韓国証券市場に16兆ウォンを超える日本系資金が入っているからのようです。

 



韓国経済の記事からです。

韓国に背を向ける渡辺夫人…「16兆爆弾」が爆発する


(前略)

6日、金融監督院によると、6月末の日本系資金の韓国上場株式保有額は16兆2910億ウォンと集計された。昨年末(15兆890億ウォン)より8.0%増加した規模だ。韓国上場株式の保有額は2022年末12兆3910億ウォンに留まったが、昨年末15兆ウォンを超えるなど増加傾向を見せてきた。

日系資金は6月にも国内証券市場で1910億ウォン分を純仕入高するなど国内証券市場で活発な動きを見せている。

しかし、この資金が国内証券市場から離脱する可能性もあるという懸念も出ている。日銀は先月31日、金融政策決定会議で年0~0.1%だった政策金利を年0.25%に引き上げた。4ヵ月ぶりに再引き上げに乗り出したのだ。2008年12月(年0.3%)以来、15年7ヵ月ぶりの最高金利だ。円相場が8年ぶりに最低に墜落すると金利引き上げで対応したのだ。日銀は月6兆円(約54兆ウォン)規模の国債買い入れ規模も2026年第1四半期(1~3月)までに3兆円(約27兆ウォン)に段階的に減らすと明らかにした。 市場に供給する流動性を減らすという意味だ。

日本が基準金利を久しぶりに引き上げ、円キャリートレード清算が続くという分析が力を得ている。前日、円相場が7ヵ月ぶりに最高値に急騰した影響だ。円相場が急騰する場合、円キャリー資金の為替差損が大きくなるだけに、海外資産を投売りする兆しが続くだろうという分析が出ている。その分、韓国株も整理する傾向が続くだろうという分析が出ている。日本の証券市場の離脱が他の外国人の離脱と相まって韓国証券市場に及ぼす否定的な影響が大きくなりかねない。

(後略)



韓国経済「한국 등지는 와타나베 부인…'16조 폭탄' 터진다 [금융당국 포커스](韓国に背を向ける渡辺夫人…「16兆爆弾」が爆発する)」より一部抜粋

投資家というのは臆病な生き物ですから、大口の資金引き上げを観測したら、とりあえず離脱しておくことを選択するでしょうが...とはいえ、日系資金が保有している韓国株は、全体外国人保有株式(859兆2440億ウォン)の1.9%程度です。日系資金が全て引き上げたところで大したことにはならないんはずですけれども。

ただ、前述したように「円キャリートレード清算」をやたら強調する記事が増えています。なんというか...「日本のせい」にしたくてウズウズしているというか...そんな空気を感じます。