パリオリンピック金メダル獲得ランキングは32種目の中で「メダル設定数が多い種目に強い国がトップに上がれる」という話

パリオリンピック前、大韓体育会は金メダル獲得予想数(目標数)を5~6個としていました。
結果的に韓国は金メダル13個を獲得、メダル獲得ランキング8位と、良い意味で予想を裏切る大成功を収めました。
そのことを素直に賞賛する記事が出る一方で、どうも「煮え切らない」記事もいくつかあります。

ひとつは、大韓体育会のメダル獲得予想数精度の低さです。メダル獲得期待値を正しく判断できていないということは、選手の実力や強化育成計画が正しく行えているかの把握が出来ていないからではないか、という懸念です。
日本は目標と実績が一致していますし、韓国のメダル獲得数予想はChatGPTの方が実際に近かったそうです。

もう一つが日本との差です。どちらかと言うと、こっちが大きいかもしれません。
金メダル獲得数が日本・韓国ともに13個でタイだったとき、「日本と並んだ。むしろ銀メダルの数では勝ってるから日本を抜いた」という記事がいくつか出たことがあります。
その後、日本はスケートボードレスリング、やり投げのダメ押しメダルラッシュがあったため、この記事の賞味期限は実質半日程度でした。韓国はそれ以降、金メダルが無かったため最終的には金メダル数で7個の差が付き、日本と韓国を比べる方が無理がある状況になりました。

それでも諦めきれなかったのか、「最もコスパの良い金メダル国家」のような意味不明な指標を持ち出してきました。(朝鮮日報日本語版
人口何人当たりで金メダルを獲得したか計算して「韓国10位、16位の日本に勝った」をやっています。
メダル獲得ランキングに色々と色眼鏡を付けて見せることで上位の国家と8位の韓国との「差」をなんとか縮めよう...あわよくば日本と逆転させようとする、いわゆる「精神勝利」なのではないかと思えます。

今日紹介する記事も似たような感じじゃないかと。
「データ」に基づいて金メダル獲得ランキングを「分析」したところ、全32種目・329個の金メダルのうち、メダル数の多い種目に強い国がランキング上位に上がれる、との結論が出たようです。

 



毎日経済の記事からです。

パリオリンピック、日本は3位だって?...どこで金メダルを取ったのか見てみたら


パリオリンピックが8月11日(現地時間)終わりました。合計32種目で329個の金メダルがかかっていました。アメリカと中国が合計40個の金メダルを獲得し、日本(20個)、オーストラリア(18個)の順で金メダルを獲得しました。大韓民国は13個の金メダルを獲得し、総合8位を記録しました。

(中略)

アメリカと中国は合わせて40個の金メダルを獲得しました。
アメリカを見ますと、40個の金メダルの中で陸上(14個)と水泳(8個)が最も大きな比重を占めました。金メダルの半分以上を2種目で取ったわけですね。

(中略)

総メダル数基準で見ても、アメリカは126個のメダルのうち、陸上(34個)と水泳(28個)を通じて62個(49%)を獲得しました。 アメリカの主力種目は陸上・水泳と言っても過言ではありません。

2位の中国はどうでしょうか?

中国の金メダルの現状を分析してみますと、ダイビング(8個)、射撃、卓球、重量挙げ(各5個)の4種目で合計23個の金メダルを獲得しています。特にダイビングと卓球分野の全種目で金メダルを席巻しました。

総メダル数基準で見ますと、中国は水泳(12個)で最も多くのメダルを取りました。

(中略)

3位の日本は金メダル20個のうち8個をレスリング種目を通じて得ました。パリオリンピックに割り当てられたレスリングの金メダル数は合わせて18個。このうち日本が8個を席巻し、総合3位の基礎を築きました。この他にも日本は柔道・機械体操でそれぞれ3つの金メダルを獲得しています。
4位のオーストラリアは金メダル18個のうち7個を水泳種目で獲得しました。私たちには多少不慣れな種目であるカヌースラローム種目でオーストラリアは3つの金メダルを獲得しました。

(中略)

8位の大韓民国はアーチェリーにかかっていた5つの金メダルをすべて席巻し、合わせて13個の金メダルを獲得しました。他にも射撃(3つ)、フェンシング(2つ)、テコンドー(2つ)から躍進しました。

(中略)

種目別の金メダル数を見てみましょう。
陸上が48で最も多く、水泳(35)、レスリング(18)、柔道(15)、射撃(15)、器械体操(14)、調整(14)、ボクシング(13)の順でした。

陸上は48個の金メダルのうち、アメリカが14個の金メダルを獲得し、独歩的な位置を占めました。

(中略)

水泳は35個の金メダルを米国(8個)、オーストラリア(7個)、フランス(4個)、カナダ(3個)が仲良く分けました。メダル数3位のレスリングは日本が18個のうち8個を獲得しました。

金メダルが15個ある柔道・射撃を見てみますと、柔道は絶対強者がいない状態(日本3個、フランス・アゼルバイジャン2個など)で、射撃は中国(5個)と韓国(3個)が合わせて15個の金メダルのうち半分以上を持っていきました。

(中略)

総合するとアメリカが1位になれる力は、アメリカが強みを持つ二つの種目(陸上・水泳)に最も多いメダルがかかっているからです。アメリカは2008年の北京オリンピックの時に中国に1位の座をしばらく奪われ、それ以降の2012年のロンドンオリンピックの時からずっと1位を占めています。

一種目の金メダルを特定の国がすべて席巻した事例は、計6種目(総種目は32種目)です。

(後略)



毎日経済「파리올림픽 일본은 3위라고?…어디서 금메달 따오나 봤더니 [나기자의 데이터로 세상읽기](パリオリンピック、日本は3位だって?...どこで金メダルを取ったのか見てみたら)」より一部抜粋

つまり、韓国が得意とする競技の競技数(=メダル数)が増えれば、韓国のメダル獲得ランキングも自ずとアップする、と言いたいのでしょうか?
そう読めてしまうのは、私がイジワルな読み方をしているからかもしれません。

ですが、一言で「陸上競技」と言っても、その種類は多岐に渡ります。その分、メダル数が増えるのも当然のことです。
また、単に「陸上競技に強みがあるから」というだけでまとめてしまって良いものでしょうか?それだけの競技人口と選手層の厚みがあることが、米国の陸上強国の地位を確固たるものにしているように思います。