オランダは「集団免疫」をCOVID-19対策の頼みにしている?らしい話

ドイツメディアの記事によると、オランダはCOVID-19に対して「免疫の壁」を作ろうとしているようです。
記事では「群れの免疫」とされているのですが、「集団免疫」のことだと思います。
一般的に、ウィルスに一度感染して回復した患者は免疫を持っているため、再び感染する事はありません。
これを利用しようという話です。

※何らかの理由で免疫力が低下していれば再度感染する可能性はあるため絶対再感染はありえない、とは言い切れません。


新種のウィルス感染症の場合、「世界で最大何百万人が感染する」なんて言われるのは、誰も免疫を持っていない状態で指数関数的に感染者が増大することを前提に計算されるためです。

実際は回復者が「免疫の壁」として立ち塞がるため感染拡大はもっと早く停止し収束すると言われています。


理屈は納得できます。ですが、それを主軸(頼み)に対策を行うのは危険です。
「免疫の壁」は飽くまで副次的に出来上がって最終的に防御壁として機能するものであり、最初から防御壁として構築しようとすると初期の段階で大量の感染者を出さなければいけません。

COVID-19患者の殆どは比較的軽症とは言え、イタリア北部のように局所的に感染者が集中すれば医療機関が麻痺する恐れがあります。
「若くて健康」な人に限っているようですが、「若くて健康」でも重症化しないとは限りません。
「若くて健康」であれば、最低限の対策で必要以上に過敏になる必要は無いと思いますけれども、積極的に感染しようとするのは違う気がします。
リスクが高すぎるように思えます。


更に、COVID-19の原因ウィルスであるSARS-CoV-2は、完治後も免疫が残っているかまだ確認が出来ていません。
中国医学アカデミーが調査したところ、回復した4匹のアカゲザルが免疫を持っていることが確認できたそうです。でも、人間ではなくサルです。まだ臨床段階の調査結果です。


対処療法しかない現状で、免疫が獲得できるかも分からないのに国が感染を「積極的に推進」というのは、流石に博打が過ぎませんかね?

微生物学者によると、「免疫の壁」を形成するにはグループ全体の約60%が感染する必要があるらしいのですが、オランダのルッテ首相は「免疫の壁」を形成しながら同時にウィルスの拡散を遅らせると述べています。
大量の感染者を出しながら拡散を遅らせる(感染曲線を平坦にする)というのはどう考えても矛盾する動きです。


日本がこうした「迷走」をしないよう願います。