日本と韓国の伝統弓術の現状の話

日本の武士の前身は弓馬です。西洋の騎士が槍騎兵から派生したのに対し、武士は騎馬弓兵とされています。

弓術が主要な武芸だったのは半島の方でも同じだったようです。
ただ、現代の両国において、伝統弓術の地位は明暗がはっきり分かれていて、弓道協会の会員数や国際大会の有無、弓術の実践者数に顕著に顕れているとか。


朝鮮日報の記事からです。
※記事中では「弓術(궁술)」、「弓道(궁도)」、「国弓(국궁)」、「弓撃ち(활쏘기)」と、使い分けがされています。意図して変えているのかは分かりませんが、出来るだけ記事に忠実にしたつもりです。

日本では珍しくないが、韓国では珍しくなったこの文化


韓国人なら誰でも知っているように、古来我が民族は弓術を敬った。狩りや戦争とは縁遠い文官儒学者でさえ、弓術の練習くらいは粘り強く行った。射撃は士大夫の基本教養である六芸*1の中の一つに認められたからである。伝説や説話だけ見ても、通りすがりの士人の矢に当たって死んだ大蛇やトラなど挙げたらきりがない。

日本も同じだった。「武士道」という言葉が広く使われるのに先立ち、武人階級の徳目を指す表現は「弓馬の道」であった。侍の基本的な武器も弓であった。(中略)

しかし、現代に至っては、韓国と日本の伝統的な弓術の都合がいかにも変わった。全日本弓道連盟によれば2019年3月基準で連盟に登録した会員数は13万5403人に達する。また、各学校毎に2000ヶ所で伝統弓術を教えている。このため、日本では様々な媒体で弓道をよく見かけることができる。(中略)

一方、韓国は大韓弓道協会に登録された会員数が2万人にとどまっている。両国間の人口差が2倍を上回っているが、それだけで会員数格差が6倍を超える理由を完全に説明することは難しい。正規、あるいは放課後授業で伝統的な弓術を教える学校も珍しい。大韓弓道協会によれば、現在我が国で弓道を学科授業に編成した学校は、ソウル忠武小学校と民族史観高等学校あたりに過ぎない。弓道サークルを運営する学校も韓民高と楽生高など20ヶ所余りに過ぎない。

(中略)

キム・テフン大韓弓道協会事務局長は「日本はかつて国内・外への文化伝播と輸出に積極的に出て剣道、相撲、柔道、弓道を政府レベルで広く推奨し、政策的にも押した」と述べた。

(中略)

韓国は違った。キム所長は「私たちの伝統武芸の中でテコンドーだけを国内・外に知らせる対象として注目しただけで、テッキョン、相撲、弓道などには支援がそれほど活発でなかった」と述べた。

(中略)

韓民族は昔も今も弓をよく射った。国弓でもアーチェリーでも国際大会に出れば賞を総なめにする見込みが充分だった。しかし、国弓は世界の注目を集め目立つほどの国際大会が無かった。一方、アーチェリーはアジア大会とオリンピックでメダルを狙うことができた。

(中略)

ただし、国でアーチェリーに比べてあまり推進しなかっただけで、韓半島で国弓が完全に姿を消したのではない。大韓弓道協会によれば、毎年開かれる伝統弓術関連大会は50件あまりに達する。行事参加者も1000〜1500人程度にはなるとする。

(中略)

この前の4月20日には、文化財庁が「弓撃ち」を国家無形文化財の新しい項目に指定予告したと発表した。予告期間(30日異常)中、各界の意見を収斂・検討して無形文化財委員会審議を経て指定可否を最終的に決める。

朝鮮日報「[문기자 잡담]일본에선 흔하지만 한국에선 희귀해진 이 문화([ムン記者雑談]日本では珍しくないが、韓国では珍しくなったこの文化)」


ごちゃごちゃと書いていますけれど、要は予算が付かない流行らせられなかった、国際試合など評価される場がないから誰もやらない、(日本で弓道が盛んなのは金の力)と言いたいようです。

まあ、多少は必要でしょうね…でもそれよりも、記事を読んで精神修養としての弓術のあり方が忘れられてしまったことが大きい気がしました。
弓術を実践する意義、みたいな部分に全く触れていないんですよね、国際大会での結果の話ばかり。

現代の韓国人は精神修養の必要性を感じていないから廃れたのでは…?と思わず穿った見方をしてしまいました。


なんてことないコラムなんですけど、つい最近、数日掛けて久々にFateUBW(TV版)をイッキ見したもので、「弓」ネタに反応してしまいました。
やっぱりアーチャーはかっこいいです。


*1:古代中国で士大夫の必須教養科目とされたもの。礼・楽・射・御・書・数。六経とも。