まだまだ続く「医療大乱」、今度は医大の教授らの集団行動の話

医師たちのストだかボイコットだかが終わりません。 集団辞職した専攻医の中には短期バイトを始める人たちも居るそうです。ローンの返済は待ってはくれないからです。

韓国政府は5000名以上の専攻医・研修医に対して医師免許停止などの行政措置を開始しています。
現場では医師不足が深刻とのことで、韓医師(東洋医学系医師)を配置したり、看護師に本来は出来ない医療行為(救命措置など)を許可したり、引退した医師を再配置するなどの対策が講じられています。

しかし医師側の抵抗は続いています。新たに19の医科大学の教授らが集団辞職する可能性があるのだそうです。
医師と政府の懇談会が不発に終わり…というか、医師協会が邪魔したらしいのですが、その結果、ろくに話し合いの場が持てないまま状況がエスカレートしていっています。

 



世界日報の記事からです。

19の医学部教授ら、15日までに辞職を決定…極端に走る医師・政府の葛藤


(前略)

ソウル大学延世大学蔚山大学、カトリック大学など全国19の医科大学の教授たちは、政府の医大増員に対応して共同非常対策委員会を結成し15日までに各医大の教授たちの辞職可否を決めることにしたと13日明らかにした。

(中略)

全国医大教授非常対策委員会は会議後、「まもなく訪れる専攻医に対する司法的措置と、医科大学学生たちの有給・休学は現在最も支給な非常事態」とし、これを防ぐために「全国医科大学教授非常対策委員会」を組織し連帯することになったと明らかにした。

(中略)

彼らは15日午後7時、オンライン会議を再び開き、大学別に意見をとりまとめ集団行動の時期と方式を決める方針だ。
ソウル医大教授協非常対策委がこの日、国会で与野党および市民団体と共に開催することにした懇談会は、大韓医師協会(医協)と大韓専攻医協議会(大専協)などの反発で無期限保留された。ソウル医大教授協非常対策委員会が前日「医大増員を1年遅らせ対話に出よう」と提案したことに対して医協と大専協はともに否定的意見を明らかにしたことに伴うものだ。

(中略)

専攻医に続き医大教授まで集団行動に出る状況で、医師・政府間の対話が事実上断絶したことに対して政府はこの日、中央災難安全対策本部のブリーフィングで「対話努力を続けている」とし「ただし、対話の前提として増員を1年延期するとか、規模を縮小するなどを前提条件とする対話は受け入れられない」と繰り返し強調した。

(後略)



世界日報「19개 의대 교수들 15일까지 사직 결정… 극단 치닫는 의·정 갈등 [오늘의 정책 이슈](19の医学部教授ら、15日までに辞職を決定…極端に走る医師・政府の葛藤)」より一部抜粋

「妥協」が前提に無いと対話しない、逆に言うと対話に応じた時点で「妥協すると認めた」とするロジックは、日本相手でもよく見られますね。

一部で、政府は事前にもっと医療関係者と話し合うべきだった的な意見を聞いたりしますが、多分それも無意味です。
以前、何度か関連記事を取り上げたときに触れましたが、そもそも医師会側が混合診療廃止を盛り込んだ必須医療政策パッケージを潰すことを目的としている限り、政府側の説明に納得するはずが無いからです。
「事前にもっと話し合って理解を得ればよかった」は、つまり「必須医療政策パッケージなんて発表しなければよかった」になります。医師会が納得するまで発表しないのであれば、納得するはずがないので発表できないと同義になるからです。
そうなれば、医療大乱は起こらなかったかもしれませんが、社会保障費問題を先送りすることになります。

政府のやり方が正しかったとは思いませんが、事前に話し合うことが解決にはならない場合もあるということです。話し合いによる解決を否定するものではありません。しかし今回のような利害対立関係にあり、問題意識を共有しようという意思の無い相手とはなかなか難しいでしょう。
かと言って、韓国政府のやり方は稚拙に過ぎます。もっと社会全体で問題意識として共有できるよう働きかけていくことが先に必要だったように思います。時間が掛かることですけどね。これもバリューアッププログラムと同じでパリパリと拙速に動いた結果ではないでしょうか?

それにしても気の毒なのは一般患者と現場対応に追われている医療従事者の人たちです。