韓国企業、LCDに続きOLEDでも中国企業にシェアを奪われるか?という話

昨日、サムスンとLGの2022年第4四半期の営業利益がヤバイってよ、な話をお伝えしましたが、それに追い打ちをかけるかどうか...AppleがiPhone15以降の液晶パネル(OLED)の主流を中国製に切り替えるという話が出てきています。iPhone14はサムスンディスプレイ製が7割を占めていますがそれが3割に減り、逆に中国企業製が7割を占めるのではないか、とのことです。

LCD市場における韓国企業のシェアは2018年時点で29.2%でした。しかし2021年には14%台に落ち込み、これによってサムスンディスプレイはLCD事業から撤退、LGディスプレイも昨年末に国内向けのテレビ用LCD事業を終了しました。OLED市場においても、これと同じことが急速に起こるのではないか、そんな予想です。

 



ヘラルド経済の記事からです。

サムスン無しではiPhoneは作れないと思ったのに」アップルの新製品画面、中国に全て奪われるのか[ビズ360]


(前略)

最近、外信はアップル分析家と呼ばれる台湾のクォ・ミンジ・アナリストを引用し、今年下半期に発売されるiPhone15シリーズのベースおよびプラスも出る用パネルの70%を中国企業BOEが供給するという展望を出した。残りの30%をサムスンディスプレイが供給すると見た。昨年発売されたiPhone14シリーズ供給占有率ではサムスンディスプレイが70%を占めたのとは正反対だ。

クォ・ミンジは2024年内にBOEのアップルへのOLED供給占有率がサムスンディスプレイを追い越す可能性があると見た。2024年に発売されるアップルの次々機iPhone(16)シリーズの低温多結晶酸化物(LTPO)パネルを20~30%受注する可能性があると観測した。iPhone15パネル70%に続き、パネルiPhone16パネル20~30%まで受注することになれば、中国BOEサムスンディスプレイとLGディスプレイを抜いてアップルの最大ディスプレイ供給会社に浮上することになる。

(中略)

中国企業サムスンLGディスプレイが主導していた全世界ディスプレイ市場をどんどん奪っている。市場調査業者のピューリサーチによると、昨年第2四半期基準で小型OLEDディスプレイ市場でサムスンディスプレイが38.2%の占有率で1位、BOEが20.5%で2位を占めた。
低価格攻勢で価格競争力を高めて市場占有率を上げ、莫大な資金力を土台に国内企業技術を追撃する方式だ。

(後略)



ヘラルド経済「“삼성 없이는 아이폰 못 만들 줄 알았는데” 애플 신제품 화면 중국에 다 뺏기나 [비즈360](「サムスン無しではiPhoneは作れないと思ったのに」アップルの新製品画面、中国に全て奪われるのか[ビズ360])」より一部抜粋

この通りになるかどうかはともかく、一般論として製造業における一番のコストは人件費なので生産拠点が人件費の安い方安い方へと動くときに技術ノウハウが一緒に流れる、というはよくあることです。それによって製造拠点の国の製造技術が育成されるわけです。
かつては米国企業のシェアを日本企業が奪い、日本企業のシェアを韓国企業が奪い、韓国企業のシェアを中国企業が奪ってきました。今後は東南アジア企業にシェアが流れていくでしょう。まあ、ロボット化・自動化でこの流れも変わるかもしれませんが。
低価格攻勢で一気にシェアを伸ばす戦略というのも別段珍しいものではなく、むしろ韓国企業の常套手段ですよね。

現状を鑑みるに、韓国一の稼ぎ頭であるサムスンのメモリ半導体事業、スマホ事業、ディスプレイ事業等々...あらゆる事業における最大のライバルは中国企業になっているということです。未だに中国を韓国企業の「市場」としか見ない傾向が強いですが、去年から30年間黒字が続いていた対中貿易が赤字に転落したのは象徴的な出来事だったと思います。