イ・ジェミョン政権が計画している116万人規模の「徳政令」ですが、人数以上の規模になるかもしれません。
というのも、多重債務者の場合は条件に合致さえしていれば全ての債務が減免(最大100%の帳消し)の対象となるからです。
これにより同じような経済状況の人の中で不公平が生じる可能性があります。
例えば、6ヵ所で100万ウォンずつ借りた人と、1ヵ所で510万ウォンを借りた人が居たとします。7年以上返済できなかったという状況は同じでも、前者は全ての債務が減免の対象となり、後者は対象外となってしまいます。
債務整理をして何とか返そうと(結局返せなくても)努力した人がバカを見るようなことになりかねません。
中央日報の記事からです。
借金が複数あっても基準に合致すれば全て減免...借金帳消し基準を巡る議論
(前略)
23日、金融委員会によると、韓国資産管理公社(KAMCO)が出資した債務調整機構は早ければ今年第3四半期に7年以上延滞した5000万ウォン以下の個人債務(担保負債は除く)を金融会社から一括購入する。この時に買い入れる債務の基準はお金を借りた人1人に適用するのではなく、貸出1件当たりに適用する。借金を色々な所に負っていても基準に合えば全て減免を受けることができるという意味だ。
例えば、A氏が10年延滞した5000万ウォンの銀行貸出1件と8年延滞した2000万ウォンの貯蓄銀行貸出1件があれば、両貸出ともに7年以上延滞した5000万ウォン以下の貸出基準に該当するため、買い入れ対象だ。A氏が償還能力がないと判断されれば、最大7000万ウォンまで帳消しにすることができる。金融当局関係者は「個人債務は4000ヵ所を越える金融会社に分かれているが、帳消し基準を1人当りと定めればこれら金融会社の債務情報を電算で統合し選別しなければならない」とし「これは費用や時間側面で不可能だ」と話した。
(中略)
金融当局関係者は「個人の暮らしを救済することが目標であるため、どんな職種に従事したのか、事業内容は何なのかを問わないことにした」と説明した。このために賭博・賭博性事業をして借金をしても条件さえ合えば色々な債務を全て帳消しにすることができる。
(中略)
7年以上延滞した債務は事実上受け取れない借金だ。このため、基準を問い詰めるよりは、ひとまず債務を整理して再起を助けるのがより良い選択である可能性があるためだ。また、多重債務者は脆弱階層である可能性が高く、できるだけ多くの借金を整理して信用回復を助けることがさらに必要になりうる。
(中略)
償還能力を審査して帳消しの可否を決めるためモラルハザードを取り除く装置は用意されているというのが金融当局の判断だ。ムン・ジェイン政府でも1000万ウォン以下の借金を10年以上延滞した159万人の元利金を全額減免する案を推進していた。しかし、返済能力などを判断した結果、実際に政府で帳消しを決めた人数は11万8000人(6000億ウォン)に過ぎなかった。今回も審査などを経れば恩恵を受けた人員はさらに減る可能性がある。
(中略)
にもかかわらず、議論は現在進行形だ。新政府ごとに長期延滞者に対する救済策を用意し、結局返さずに持ちこたえれば良いという認識が拡散する可能性があるためだ。借金帳消し財源の半分である4000億ウォンを金融会社に調達させるという方針も問題だという指摘が出ている。商法改正案を通じて株主利益を保護するというイ・ジェミョン政府が、いざ銀行株主の利益を侵害する結果を招く恐れがあるためだ。
(中略)
梨花女子大学経済学科のソク・ビョンフン教授は「結局、融資を小額に分けて耐えればいいという誤ったシグナルを与えかねないため、いくら長期延滞債務でもモラルハザードを招くしかない」とし「できるだけ1人当たりの帳消し金額の公平性を合わせ、問題になる業種は制限するなど、追加政策の補完を考えなければならない」と話した。
中央日報「빚 여러 곳에 있어도, 기준 맞으면 모두 감면…빚 탕감 기준 논란(借金が複数あっても基準に合致すれば全て減免...借金帳消し基準を巡る議論)」より一部抜粋
実際にモラルハザードが起こっているかどうかは、減免対象者のその後を追跡調査すればすぐに分かるはずです。
仮に追跡調査が難しいのであれば、今回対象になる人が前回・前々回対象者だったかどうかをチェックすれば良いことです。
もし、複数回減免の対象になっているのであれば、債務減免後のケアが充分では無い可能性があります。
特に賭博で借金を抱えた人の場合、何らかのサポートは必須になります。その辺どうなっているんでしょうね?